パーキンソン病で胃ろう : メリットとデメリット
2018年12月に胃ろう(PEG)を造設したパーキンソン病のうちの親。
もうじき3年かあ。
胃ろうのメリットとデメリットは以下のような感じ。
[ うちの親の状態 ]
- メネシットでなければ体が動かず嚥下も復活しない。
患者によって症状は様々。
パッチ薬であるニュープロパッチだけではダメで、小腸で吸収されるメネシットが必須。
胃ろうからメネシットを注入することができればある程度の嚥下の復活が可能ともいえる。
- 嚥下が復活した状態であればある程度の経口摂取が可能。
デイサービス等も含めた在宅生活では基本的に私以外が経口摂取可の判断をすることはない。
飲み物は中とろみでということでとろみ粉はデイサービスに渡しているが、
うちの親はほとんど飲まないみたい。
ちなみに、家では以前は経口摂取もわりと併用していたが、現在はほぼ100%胃ろうからの注入。
嚥下能力そのものが原因ではなく、集中力の欠如や口腔ケアを拒否されるといったことなどが要因。
パン、天ぷら、コロッケなども食べてたし、水分が多いものでは桃も食べることができていたんだよなあ。。。
[ メリット ]
- 栄養、水分をしっかり摂取させることが可能。
カロリー面では経口摂取でも目標を達成できる時があるが水分は難しい。
液体の経口摂取は苦手なので、とろみをつけても十分な量を摂取するのは難しい。
※ 2021年11月11日追記
メリットといってしまうのはなんだけど、食事の準備や介助から解放されるのは大きい。
ずっと介護していると嚥下の見極め自体はさほど難しくはないが、
以下の理由で食事と介助が非常に難しくなる。- 認知症が進行。
少し食べただけで興味を示さなくなるなど、食べさせること自体が難しかったりする。 - 自分で食べられなくなり全介助になる。
ある程度自分で食べてくれると見守り中心でいいが、全介助は大変。
うちの場合はあんぱんなど右手で持って食べられるものは自分で食べることができていたが、
ある日から急に右手がしっかり上がらなくなって口まで運べなくなってしまった。
また、認知症が進行してくるとなかなか食べてくれないし、非常に忍耐が必要。 - メネシットの効きが不安定。
おやつ程度であれば計算できるが、食事となるとある程度時間がかかるので薬の調整が難しい。
食事による血圧低下もあるためか、食事の途中で食べられなくなることがしばしば。 - 食事の準備が大変。
食べてくれるものが段々限られていくので栄養のことを考えると難しくなる。
ただ、食べることは残された数少ない楽しみなので
なるべく美味しいものを食べさせてあげたいという思いはある。
- 認知症が進行。
- 寝ている間にも注入が可能。
夜間にメネシットやルネスタの注入が出来るのが大きく、
それによって夜間の体調を安定させることができる。
また、痰吸引が必要な状況も減らすことができる。
あと、朝の支度も少し短時間で出来るようになった。
症状が進行しているため日中は約2時間間隔でメネシットを服用しているが、
処方通りだと夕食後は12時間以上間隔が空いてしまう。
そのため夜間には30回/分を超える呼吸状態になることも多い。
なお、夜間の薬の注入は私が看護師や医師の役割も兼ねているから可能なのであって
介護施設では夜間は看護師不在なので実施出来ない(病院でも医師の指示がなければ行われることはない)。
これが必須なのであれば受け入れられないと言われてしまう。
まあ注入しなくても命には関わらないとは思うんだけど、
注入すれば呼吸等が明らかに改善することが分かっているので翌日の体調を考えると。。。
※ 2021年11月12日追記
ちなみに、うちの親に対しての困った時はこれ!という注入は以下のもの(医師によるものではない)。
メネシット100・0.5錠+ルネスタ1㎎・2錠。
そして、落ち着いた状態を維持するために3~4時間後にメネシット100・0.5錠。
昨夜も34回/分程度の呼吸数で目を開いて苦しそうで心拍数も80以上あったのが
30分くらい経過すると段々落ち着き1時間弱ですっかり安定した状態で眠ってくれた。
熟睡することでガチガチになった体から力が抜け、レボドパで筋肉の動きと嚥下が復活。
離れたところでも寝息が聞こえるようになり胸が上下してしっかり呼吸しているのが分かる。
なお、嚥下が復活する過程でむせるのだが、あまりにも酷くむせる時は気をつけておく。
- 病院で処方される。
料金は薬と同様に扱われる。
ただ、嚥下状態によっては処方されないこともある。
朝一のメネシットさえ胃ろうから注入できればあとは経口で嚥下食を食べることが可能と判断されたため
うちも最初は処方されなかったので別途PGソフトを購入していた。
あと、デイサービス等には持参する形になるので食費がかからない。
加算はあるけど。
ちなみに、入院中には栄養剤は処方としては出されず、PGソフトなどが食事として出される。
なお、液体の栄養剤か半固形の栄養剤かはこちらの希望を病院に伝えることで選択。
半固形を選ぶと病院側でも半固形に切り替えて消化についての様子を見てくれる。
合わない場合もあるので。
※ 2021年11月12日追記
1か月分のラコール300は5~6箱の量なので一度に処方されると結構な量。
運搬の手段が必要になる点はもしかすると人によっては必ずしもメリットばかりではないかもしれない。
- シリンジで軽く吸うことで胃の中の状態を確認可能。
基本的には異常がないかを注入前に確認するのだが、
便秘などの影響で消化が進んでいないことが確認されることもある。
そうした時には栄養剤の注入をスキップしたりもしている。
[ デメリット ]
- 介護の担い手が限られてしまう。
- 親のきょうだいや私のきょうだいに介護を頼めない。
普通の人には胃ろうの知識がないため頼めない。
以前は面倒を見てもらったこともある親の姉は高齢でもあるし。
幸い私の妹は看護師なので能力的には可能だが、
他県在住だし仕事も休めるか分からない。
- 介護サービスの利用が制限される場合がある。
看護師の負担が増えるためデイサービスの利用が制限された経験あり。
例えば胃ろうの利用者の受け入れは1日2名までとか。
また、看護師の配置が非常勤といったところもあり、
うちの親の利用日にはずっといてもらうようにしていたりする。
- 親のきょうだいや私のきょうだいに介護を頼めない。
- 薬の懸濁が必要。
服用できる薬が限られてしまい、例えばレキップCR錠などのような徐放錠は服用できない。
そして、医師が胃ろうのことをうっかり忘れて処方する場合があるので要注意。
介護者としては1日に何度も行う必要があるため結構面倒。
うちではけんだくボトルを使用しているが、使用後には洗浄が必要。
また、アミティーザカプセルのように溶けにくいものもあれば、
マグミットとメネシットのように一緒に混ぜてはいけないものもある。
あと、減薬のきっかけにもなると思われる。
今では認知症の薬も服用していないし、便秘対策の薬が多いくらい。
- 胃ろう造設部周囲の皮膚のケアが必要。
皮膚が炎症を起こしたり、ただれたり、肉芽が出来たりするので毎日のケアが必要。
うちでは汚れなどを拭き取った後にリンデロンVG軟膏を塗り、Yカットガーゼで保護している。
デイサービス等においても入浴後には処置を行ってもらっている。
なお、Yカットガーゼは病院から支給されている。
あと、入院時にはケアをしてもらえないので面会可能時には私がケアをしていた。
胃ろうを造設した際の入院時にはケアをしてもらえていたが、そうでない入院では放置状態。
下腿への保湿クリームの塗布など、その時の治療に関係ないことはしてくれないんだよなあ。
一方、介護施設ではお願いすれば実施してくれる(爪切りなどはダメだが)。
※ 2021年11月12日追記
1回目のPEG交換時に少し長いものに交換され、以降肉芽はできなくなった。
短いと肉芽が出来やすいようで、医師の判断で長いものに交換されていた。
2回目の交換以降胃からの漏出が起こるようになり、これにより皮膚の炎症が酷くなった。
特に左向きで寝ている時が酷かったがやや右向きで寝ることで改善された。
とはいえ、若干の漏出はある程度仕方がないのかな?
そうしたこともあり、デイサービスには予備も含めて2枚のYカットガーゼを持参している。
- メンテナンスが必要。
色々な道具が必要となり、それらは劣化してしまうため定期的なメンテナンスが必要。- 胃ろう(PEG)そのものの定期的な交換が必要。
うちでは1年毎に交換している。
なお、交換自体はあっという間に終わる。
あと、次は新しいISO基準のものになりそう。
ちなみに、交換の目安については看護師さんによって意見が異なっている。
一般的に病棟の看護師さんは半年と言うが、
内視鏡室の看護師さんは劣化する前なら2年程度でも構わないと言う。
1年経つと接続部が少し緩くなってきたりするので安全を見てうちでは1年にしている。
- シリンジやチューブなどの交換が必要。
シリンジの交換頻度が最も高いが、うちではけんだくボトルを併用していることもあり
5本/月程度しか病院から支給してもらっていない。
薬をシリンジで注入するとすぐに硬くなって使いにくくなってしまうが、白湯のみだと長持ちする。
チューブも長く使っているとキャップが外れたり、ひび割れたり、透明度が下がったりするので
予備を買っておく必要がある。
加圧バッグも壊れることがあり、1回壊れたんだよなあ。
※ 2021年11月10日追記
かかりつけ医ではチューブや加圧バッグが2~3か月以上使用して壊れたら
新しいものと交換する方針になったとのこと。
このあたりは病院毎に違いがあるのかもしれない。
- 胃ろう(PEG)そのものの定期的な交換が必要。
- 外出時に注入道具を持参する必要がある。
経口摂取可能な時にはゼリー飲料や服薬ゼリー、薬を粉砕するためのペンチ、
小さな容器、スプーンを持参していたが、胃ろう用の道具が必要。
メネシットだけならけんだくボトル、チューブ、ビタミン飲料を持参し、
水道が使えない時には白湯も水筒に入れて持参。
溶けにくい薬がある場合には粉砕道具と白湯も持参する。
※ 2021年11月12日追記
私は病院の待合室等で毎回普通に注入しているが、他の人が注入をしているのは見たことがない。
トイレなどの人目につかない所で注入するのがいいのかもしれないが、
注入で多目的トイレを占有したくはない。
胸やお腹等が見えないように気をつければいいだけだし。
- 入院時の注入では身体抑制が行われやすい。
両手にミトン、さらに柵に縛られるといった身体抑制が行われた経験あり。
家でも稀にチューブが外れることがあるが、病院だと放置時間が長いので対策が行われる。
ちなみに、かかりつけ医では引っこ抜かれると危険ということで接続部のロックは行っていない。
ISO基準の新しいものではどうなのかは分からないが。
今だとほとんど動けない状態なので柵を持ち上げて外したりも出来ないだろうし
ミトン程度で済むかな?
ただ、興奮すると凄まじい力で暴れるからなあ。。。