桃井さんが今の気持ちを書いてます!少しだけ載せたいと思ったのでどうぞ!


わたしには、秋葉原の中央通りに、沢山の想い出があります。わたしにとっては、並木道の葉の一枚一枚、道路の色さえいとおしい、想い出が染みついている街なんです。訪れるだけで、心が楽しくなる場所です。そんな秋葉原で、痛ましい事件が起こされた。こんなことなら、少し騒ぎがあったときに歩行者天国をやめてしまっていればよかったと、今言っても、もう取り戻せない。亡くなった人は帰ってこないのです。傷ついた人の傷は癒えないのです。今まで感じたことがない気持ちがこみ上げてきます。もうあそこであんなふうに笑うなんて、できないのかと思います。「みんなの憧れや楽しい気持ちを返せ!」

秋葉原は、わたしにとっても心のよりどころなんです。そこが、悲しい場所になってしまった。

・・・・・・・・亡くなった方々に心から哀悼の意を表し、ご冥福を祈らせていただきたいと思い、9日の朝、お花をお供えに行きました。わたしは献花台の近くまで行くと「すみません」と声をかけて道を開けてもらおうとしました。そうすると、次々に声を掛けてくる人に取り囲まれました。「被害者の方の関係者ですか」「亡くなった方のお知り合いですか」……。同じことを何度も聞かれましたが、わたしはなるべくご迷惑にならないように、早くお花をお供えすることしか考えていなかったので、何も言わず献花台の前でお花の包装を解きました。すると、一斉にすごい数のフラッシュが光りました。わたしは「写真を撮らないでください」とお願いしました。しかし、わたしがお花を置くと、また光ります。もういちど「写真を撮るのをやめてください」と言いました。その後も拝むたびにフラッシュが光るので、何度も「写真を撮らないでください」と言いました。最後のほうはけっこう大きな声になってしまっていたと思います。わたしは心をこめて拝ませていただきたかったのです。

でも、チカチカと光をたいてじゃまする人がいます。手を合わせながら、何度も何度も「やめてください」と言ううちに、涙が出てきました。わたしは、言うのをやめました。 「こんなに悲しいことがあって、わたしがせめて拝ませていただきたくても、させてもらえないのか。 わたしは本当になにもできない。どうしたらいいのだろうか。」と思いました。 短く拝み、去ろうとしましたが、やっぱり心残りがあり、もう一度振り返り、心から深く礼をして手を合わさせていただきました。その時も、カメラを光らせる人がいましたが、もう仕方ないと思いました。言葉では表現できない、今まで感じたことのない、すごく悲しい気持ちになりました。とてもとても悲しかったです。

かつて、アキバの歩行者天国は、楽しい場所だったはずです。自分の歌を聴いてもらいたくて、朝早くから機材を持って歌いにくる、歌手を夢見る女の子がいました。手品をする人、ダンスする人もいました。コスプレしている人もいるようになりました。でも、そのような人はすぐに注意され、逮捕されて警察に行ったという人もいます。 なのに、今ここにいる、大きなカメラやマイクを持って心が傷ついた人を待ち構えていたり、人が亡くなられてお花がお供えしてある場所のすぐ横で携帯電話で打ち合わせのような事務的な話を大声でしている人達は、道路を占領しても、車道に車を停めていても、何も言われないのです。近くには警察官も何人かいましたが、注意したり、献花台の前をあけるように促すことはないようでした。法律以前にあるはずの、人としての思いやりが、すごくほしいと思いました。

多くのテレビ番組では、アキバ系のオタクは気持ち悪く、笑い者にする対象として扱われます。わたしにも「バラエティー番組でオタ芸大会をするので桃井さんとファンに出演してほしい」というような依頼がしばしばあり、お断りすることがあります。もしそのような番組に出ていたとしたら、どんなふうに取り上げられるのでしょう。少し奇抜な格好をしている時もあるし、面白い踊りを踊るけど、ルールを守り、席を譲り合ったり、ごみを拾って帰ってくれたり、紳士淑女であるわたしのファンの人たち。 ここで献花台の前を塞いでいる人たちと、どっちがまっとうなんでしょうか。

お怪我された方のご快復を心よりお祈り申し上げます。 ご家族、ご友人の方の心の傷が少しでも癒えることを願っています。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


2008年6月9日 夜 桃井はるこ


かなり端折ってますが、こんな感じです!


ここでも一種の報道の横暴さや、偏見が存在していますね!もう少し人間同士気持ちを分かり合えるようになって欲しいものです!