報道によれば、

米国疾病管理予防センター(CDC)は、「ルイジアナ州の水道水に致命的なフォーラーネグレリアが含まれる」と明らかにした。

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鼻粘膜から脳に侵入し、脳を蝕む(むしばむ)アメーバの“フォーラーネグレリア”の感染者は、頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、頸部硬直などの症状が現れる。

現地政府は、「鼻から水を吸い込むことを避けるように」と呼びかけている。


この殺人アメーバの“フォーラーネグレリア”は脳を蝕む寄生虫で、

世界各地の水、空気、土壌に含まれる。

CDCのマイケル・ビーチ氏によると、

「湖で泳ぐ人々が浅い水の中を歩くと、底の堆積物をかき回し、そのまま深い水の中に行くと、殺人アメーバの“フォーラーネグレリア”が鼻粘膜から侵入し、臭覚神経に付着、神経組織を破壊して脳に侵入する。感染者が死亡するまで脳を侵食しつづける。」という。

フォーラーネグレリアが脳を蝕む(むしばむ)ということは、脳を食べるわけではなく、脳への侵入により脳組織炎症と脳組織を破壊していくことを指す。

脳に侵入すると急速に繁殖し、脳膜に沿って脳の中心部に拡散することにより、
原発性アメーバ性髄膜脳炎、血管出血、壊死性脳症を発症させる。

自然界では、細菌や他の微生物を餌(エサ)にしているフォーラーネグレリアの体内には多くの細菌が寄生しているため、細菌を脳に持ち込み、細菌性炎症を起こす恐れもある。


治療薬はアムホテリシンB(アンフォテリシンB、アンポテリシンB、amphotericin B)が有効とされている。

アムホテリシンBとはポリエン系抗生物質の1つ。真菌の細胞膜のエルゴステロールと結合し、膜に小孔を作ることにより殺菌的に作用する。腎毒性があるが、ナイスタチンよりは弱いため、全身性の真菌症にはよい適応である。経口投与による吸収はほとんど認められないため注射薬として使用する。

ただし、フォーラーネグレリアの生存例は8例と少ないため、決定的治療法があるとは言えないのが現状だ。