想定を超えた未曾有の災害になった東日本大震災は、福島第1原発の事故で放射性物質(放射能)漏れをもたらした。
放射性物質は目にみえないだけに不安を感をあおる。
前例のない事態になり、海外にも「パニック」が広がっている。
情報ときちんとした知識があれば、対処の方法もみえてくる。
放射能の脅威をどうとらえるか。
何が健康被害か
放射線は放射性物質から出されるエネルギーを意味する。
たとえると、電球が放射性物質であり、その光が放射線になる。
重要なのはどういう放射線にどれだけ暴露されたかという「総量」が健康被害を心配するかどうかの判断になる。
世界保健機関(WHO)によると、健康リスクを示す主な放射性物質は放射性セシウムと放射性ヨウ素だ。
放射性ヨウ素は体内に取り込まれるとノドにある甲状腺に集まる性質があり、甲状腺ガンの発症のリスクが高まる。
チェルノブイリ原発事故のとき、このヨウ素がミルクなど汚染された食品を摂取した多くの子どもに甲状腺ガンが発症したことが報告された。
放射性ヨウ素の半減期は8日。
半減期が短ければ短いほど早く消滅する。
被曝の恐れがあったときは安定ヨウ素剤を服用すれば、甲状腺に先に安定ヨウ素が結びつき、放射性ヨウ素が取り込まれるのをブロックしてガンの発症を軽減させることができる。
平成11年の茨城県東海村のJCOウラン加工工場で起きた臨界事故で救急治療にあたった前川和彦・東大名誉教授は「被曝より6時間前、被曝24時間以内に飲む。それ以降だとすでに取り込まれてしまっており効果はない。被曝によるガンの発症は先の話になるため、40歳以降では発症率が低いため、服用は40歳未満だ。」と指摘する。
子どもは?胎児は?
乳幼児や新生児、赤ちゃんに母乳をあげているお母さんたちの不安は想像に難くない。
医療マニュアルによると、「安定ヨウ素剤は特に新生児、乳幼児や妊婦の服用を優先させる。」としている。
理由としては、乳幼児は甲状腺の細胞の分裂が成人に比べて活発で、放射線によるDNA損傷の影響が大きく、その代わりに安定ヨウ素剤を飲む効果も大きいという。
胎盤を通じて胎児にお母さんから胎児に取り込まれるかどうかの因果関係は不明だが、妊娠中のお母さんには40歳以上であれば服用の対象とすればよいとしている。
副作用とデマ
放射能をめぐってはデマが世界中をかけめぐっている。
「ヨウ含まれるうがい薬や消毒薬などを飲めばいい。」といったものだ。
しかし、これは間違い。必要量を得るためには多く飲まなければならないうえ、胃粘膜を刺激する本来は服用しない成分も混ざっている。
ヨウ素自体に対しても過敏症を有する場合は、ヨウ素を含む製剤を服用するとアレルギー反応を引き起こして、発熱や関節痛などが起き、ひどい場合はショックに陥ることがある。
ヨウ素の服用は医師の管理下で行うことが求められている。
にもかかわらず米国では、安定ヨウ素剤が飛ぶように売れ品薄状態が続くという。
政府が服用の必要性がないといっても在庫切れの状態が続いているという。
原子力災害医療訓練に詳しい国立病院機構災害医療センターの原口義座・救急センター副センター長は、
「臨界事故があった東海村では無論、全員ではないが、体内の放射性物質の種類と量を測定する全身測定装置で調べた。
今の時点では難しいが、まじは外部汚染したかどうかといった情報をすぐに提供できることが不安感をぬぐうのに有効だ。」と指摘する。
食品に検知
福島県で絞った原乳と茨城県内で生産されたホウレンソウから、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出された。値は基準値の3~5倍のヨウ素、ホウレンソウからは3~7・5倍のヨウ素のほか、一部で基準値を超えるセシウムが検出された。
ヨウ素の半減期は前述の通り8日だが、セシウムは30年と長い。
チェルノブイリの事故では、セシウムの土壌の汚染が問題になった。
体内に取り込まれると筋肉や生殖腺などに集まり、がんなどを引き起こす原因となりうる。
枝野幸男官房長官は検知された量について、この放射能濃度と同程度の牛乳を1年間摂取した場合の被ばく量はCTスキャン1回分程度、ホウレンソウは1回の5分の1分程度として「たとえ食べても、健康に問題はない量」と説明してみせた。
わかりにくい放射能を、CTといったイメージしやすい具体的例をひいて説明しているとはいえ、口にする物から放射能の基準を超えた値が検知されたことのインパクトは小さくない。
「健康に影響はない値だ。」といくら科学的に説明したからといっても、できるなら摂取したくないという思いに勝てるわけではないからだ。
放射性物質が漏れているわけだから、いずれ今回のように検知されるのは「想定の範囲内」だった。
とはいえ福島、茨城といった被災地はまたもや大きな試練を抱えることになった。
原発から20キロと80キロの意味
政府は福島第1原発から20キロの範囲を避難指示。
30キロメートルを屋内待避を指示している。
その一方で、米政府は日本国内にいる自国民に対して約80キロについて避難するよう指示した。
英国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国も同様に80キロ、シンガポールは100キロ、スペインは120キロだ。
こうした違いについて、「日本の見立てが甘く、危機意識がない。」と受け止める向きもある。
米ウォールストリートジャーナル紙なども米国が日本の核の脅威についての評価に不満を持っていることを伝えた。
9日朝、日本は20キロ~30キロ圏内の行動について官房長官は「一切外出していけないといっているのではなく、外出した際に放射線にできるだけ接しないように、徒歩での移動を避ける。」といった注意をよびかけた。
トラックなどが物を運ぶのを躊躇(ちゅうちょ)して食品などの生活物資が入らなくなったからだ。
・日本の20、30キロ圏内の制限が何を想定しているかについて西山英彦経産審議官は19日になって会見で、
「複数の原子炉が破損して、放射性物質が漏れる状態」という「最悪のシナリオ」に備えたうえでの避難指示であることを明らかにした。
言い換えれば、この最悪の事態が起こっても退避の範囲は変える必要はないとみているということだ。
何人もの原子力専門家から「今回はチェルノブイリ事故のような爆発は起こらない。」ということはいったが…。
日本は風評を挽回できるか
WHO(世界保健機関)はホームページのトップに日本への渡航制限を行う必要はないとする勧告を掲載した。
海外に広がる放射性物質検査や輸入禁止の動きをめぐって、過度に反応することにも懸念を示している。
日本は、今回の原発事故で対応に追われていたとはいえ周辺住民だけではなく、国際的にも情報開示や情報の共有の点で不信感を芽生えさせてしまった。
津波にあいながらけなげに生きようとする姿は海外の共感をよび、日本は信頼を取り戻した。
この原発事故で失わせてはならない。そして、この国をあげての危機に全力で対処していかなければならない。
放射性物質は目にみえないだけに不安を感をあおる。
前例のない事態になり、海外にも「パニック」が広がっている。
情報ときちんとした知識があれば、対処の方法もみえてくる。
放射能の脅威をどうとらえるか。
何が健康被害か放射線は放射性物質から出されるエネルギーを意味する。
たとえると、電球が放射性物質であり、その光が放射線になる。
重要なのはどういう放射線にどれだけ暴露されたかという「総量」が健康被害を心配するかどうかの判断になる。
世界保健機関(WHO)によると、健康リスクを示す主な放射性物質は放射性セシウムと放射性ヨウ素だ。
放射性ヨウ素は体内に取り込まれるとノドにある甲状腺に集まる性質があり、甲状腺ガンの発症のリスクが高まる。
チェルノブイリ原発事故のとき、このヨウ素がミルクなど汚染された食品を摂取した多くの子どもに甲状腺ガンが発症したことが報告された。
放射性ヨウ素の半減期は8日。
半減期が短ければ短いほど早く消滅する。
被曝の恐れがあったときは安定ヨウ素剤を服用すれば、甲状腺に先に安定ヨウ素が結びつき、放射性ヨウ素が取り込まれるのをブロックしてガンの発症を軽減させることができる。
平成11年の茨城県東海村のJCOウラン加工工場で起きた臨界事故で救急治療にあたった前川和彦・東大名誉教授は「被曝より6時間前、被曝24時間以内に飲む。それ以降だとすでに取り込まれてしまっており効果はない。被曝によるガンの発症は先の話になるため、40歳以降では発症率が低いため、服用は40歳未満だ。」と指摘する。
子どもは?胎児は?乳幼児や新生児、赤ちゃんに母乳をあげているお母さんたちの不安は想像に難くない。
医療マニュアルによると、「安定ヨウ素剤は特に新生児、乳幼児や妊婦の服用を優先させる。」としている。
理由としては、乳幼児は甲状腺の細胞の分裂が成人に比べて活発で、放射線によるDNA損傷の影響が大きく、その代わりに安定ヨウ素剤を飲む効果も大きいという。
胎盤を通じて胎児にお母さんから胎児に取り込まれるかどうかの因果関係は不明だが、妊娠中のお母さんには40歳以上であれば服用の対象とすればよいとしている。
副作用とデマ放射能をめぐってはデマが世界中をかけめぐっている。
「ヨウ含まれるうがい薬や消毒薬などを飲めばいい。」といったものだ。
しかし、これは間違い。必要量を得るためには多く飲まなければならないうえ、胃粘膜を刺激する本来は服用しない成分も混ざっている。
ヨウ素自体に対しても過敏症を有する場合は、ヨウ素を含む製剤を服用するとアレルギー反応を引き起こして、発熱や関節痛などが起き、ひどい場合はショックに陥ることがある。
ヨウ素の服用は医師の管理下で行うことが求められている。
にもかかわらず米国では、安定ヨウ素剤が飛ぶように売れ品薄状態が続くという。
政府が服用の必要性がないといっても在庫切れの状態が続いているという。
原子力災害医療訓練に詳しい国立病院機構災害医療センターの原口義座・救急センター副センター長は、
「臨界事故があった東海村では無論、全員ではないが、体内の放射性物質の種類と量を測定する全身測定装置で調べた。
今の時点では難しいが、まじは外部汚染したかどうかといった情報をすぐに提供できることが不安感をぬぐうのに有効だ。」と指摘する。
食品に検知福島県で絞った原乳と茨城県内で生産されたホウレンソウから、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出された。値は基準値の3~5倍のヨウ素、ホウレンソウからは3~7・5倍のヨウ素のほか、一部で基準値を超えるセシウムが検出された。
ヨウ素の半減期は前述の通り8日だが、セシウムは30年と長い。
チェルノブイリの事故では、セシウムの土壌の汚染が問題になった。
体内に取り込まれると筋肉や生殖腺などに集まり、がんなどを引き起こす原因となりうる。
枝野幸男官房長官は検知された量について、この放射能濃度と同程度の牛乳を1年間摂取した場合の被ばく量はCTスキャン1回分程度、ホウレンソウは1回の5分の1分程度として「たとえ食べても、健康に問題はない量」と説明してみせた。
わかりにくい放射能を、CTといったイメージしやすい具体的例をひいて説明しているとはいえ、口にする物から放射能の基準を超えた値が検知されたことのインパクトは小さくない。
「健康に影響はない値だ。」といくら科学的に説明したからといっても、できるなら摂取したくないという思いに勝てるわけではないからだ。
放射性物質が漏れているわけだから、いずれ今回のように検知されるのは「想定の範囲内」だった。
とはいえ福島、茨城といった被災地はまたもや大きな試練を抱えることになった。
原発から20キロと80キロの意味政府は福島第1原発から20キロの範囲を避難指示。
30キロメートルを屋内待避を指示している。
その一方で、米政府は日本国内にいる自国民に対して約80キロについて避難するよう指示した。
英国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国も同様に80キロ、シンガポールは100キロ、スペインは120キロだ。
こうした違いについて、「日本の見立てが甘く、危機意識がない。」と受け止める向きもある。
米ウォールストリートジャーナル紙なども米国が日本の核の脅威についての評価に不満を持っていることを伝えた。
9日朝、日本は20キロ~30キロ圏内の行動について官房長官は「一切外出していけないといっているのではなく、外出した際に放射線にできるだけ接しないように、徒歩での移動を避ける。」といった注意をよびかけた。
トラックなどが物を運ぶのを躊躇(ちゅうちょ)して食品などの生活物資が入らなくなったからだ。
・日本の20、30キロ圏内の制限が何を想定しているかについて西山英彦経産審議官は19日になって会見で、
「複数の原子炉が破損して、放射性物質が漏れる状態」という「最悪のシナリオ」に備えたうえでの避難指示であることを明らかにした。
言い換えれば、この最悪の事態が起こっても退避の範囲は変える必要はないとみているということだ。
何人もの原子力専門家から「今回はチェルノブイリ事故のような爆発は起こらない。」ということはいったが…。
日本は風評を挽回できるかWHO(世界保健機関)はホームページのトップに日本への渡航制限を行う必要はないとする勧告を掲載した。
海外に広がる放射性物質検査や輸入禁止の動きをめぐって、過度に反応することにも懸念を示している。
日本は、今回の原発事故で対応に追われていたとはいえ周辺住民だけではなく、国際的にも情報開示や情報の共有の点で不信感を芽生えさせてしまった。
津波にあいながらけなげに生きようとする姿は海外の共感をよび、日本は信頼を取り戻した。
この原発事故で失わせてはならない。そして、この国をあげての危機に全力で対処していかなければならない。