バッハ・コレギウム・ジャパン バッハ「マタイ受難曲」 | firebird-daiのブログ

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2017.04.13
バッハ・コレギウム・ジャパン
バッハ「マタイ受難曲」@愛知県芸術劇場コンサートホール


人生初のライヴでマタイ受難曲を体験した。この大作であり人類が産んだ最高の宝物の一つをライヴで体験するのは念願だった。

終始感動と戦慄で鳥肌が立ちっぱなし。
第一曲目の来たれ、娘たちよ、われと共に嘆けから一気にマタイの世界に引きずり込まれる。重力あるよ絶対。

この曲はキリストが裏切られ、逮捕され、裁判にかけられ、十字架上での死の一連の流れを時系列で追うという宗教的、テーマも重い作品だけど、キリスト教信者でないと理解できないわけではないし(実際キリスト教信者でない僕が非常に感動している)、色んな場面が小分けされているので、CDとかならもっと気軽に楽しめる作品だから色んな人に聴いてほしいと思う。

見方によっては突っ込みどころ満載の場面もあるし(特に前半。弟子たち寝るなよ(笑))、物凄く感情の起伏も激しい題材だから音楽もバラエティ豊か。しかもどこを取っても極上の音楽。一大スペクタクルである。

前にニコ動にあるマタイ受難曲の関西弁訳で物凄く笑って、でも感動したのが役に立った。あれでかなりストーリーが分かりやすく楽しめるようになった。きになる人はニコ動へGo !


でもペテロがイエスのことを知らないと3回言ったあと鶏が鳴き、まさにイエスの預言通りになって、自分が言ってしまったことに激しく後悔し「憐れみたまえ、わが神よ」と慟哭しそこで流れるアリアのシーンは、人間の悲しいほどの憐れさを嫌というほど感じるなあ。もし自分が同じ立場になったらということも考えると余計に胸が苦しくなるほどの憐れみを感じてしまう。またアリアのこの世のものとは思えない霊感に満ちた美しさよ!ロ短調が染み渡る…

この曲をライヴで聴くのは一大スペクタクルを堪能するようなものだし、バッハ様も飽きさせないような工夫もされているけど、休憩を挟むとはいえやっぱり長いので、リスナーにとってもある意味感情的にも身体的にも受難なんである。
でも終曲の「われら涙流しつつ跪き」まで差し掛かると全てを包み込むような安らぎが訪れる。


こんなことを言ったら怒られるかもしれないけど、この曲は宗教を超えるものだと思う。

ライヴが終わってから余りに余韻が凄すぎて、一切の音楽どころか、音を聴きたくないと思ったのは初めてだった。頭にずーっと鳴り響いていた…


またライヴでマタイを聴こう。
CDも聴き、DVDも見て、ニコ動で笑い、譜面を買って一部分でもいいからピアノで弾こう。

バッハ様、ありがとうございます。