最近、価格が高騰している「ガソリン」という商品。高騰した理由を考察してみた。

 

※特記なき限り、ガソリンの価格や税額は"1リットルあたり"とする。

 

 

●原油価格が高騰する理由

 

大きく分けて以下の二点でほぼ間違いなく、全てはここに原因が集約されていると言っていいと思う。

 

[1]金融事情

 

・為替レート(円高石油安、円安石油高)

 →輸入コストに反映される。

 

・原油先物市場

 →投機家による多額の投機資金の流入。

 →先物を買い、値上がりしたら現物を受け取る前に先物を売って儲ける。

 

 

[2]OPECら産油国事情

 

・生産量の増減

 →脱炭素や原油発掘企業に投資しないメッセージが全面的に出てしまうと、産油国は原油の価値を危惧するようになる。

 

・政治的背景(治安、紛争、禁輸措置など)

 →供給不安心理が高まりやすい。

 

原油そのものがお高くついてしまうと、それだけで輸入コストもお高くなってしまうし、円安であれば尚更だ。その影響によって、精製されたガソリンの本体価格にもそのまま乗ってしまう。

 

 

●日本国内のガソリン価格の変動要因

 

原油そのものの価格変動と比べれば、日本国内の動きによって起こるガソリンの価格変動など微々たるものだが、念のために挙げておく。

 

◎日本国内の経済

・石油元売り各社の在庫量

・地域の競合店の有無

・自動車の販売台数

・需要と供給

・景気動向

 

◎平日と休日の需要差

・週末はあまり上がらない。

 →価格変動は月曜日か火曜日。

・連休前、お盆・年末年始の帰省時期

 →需要が高く、価格が上がりやすい。

 

他にもあるとは思うけど、パッと思い付くのはこんな感じだろうかw

 

 

●ガソリン価格高騰への対応策

 

このまま、ガソリン価格が高騰し続ければ、国民生活においても非常に苦しくなってくるのは間違いない。自動車産業に多大な影響を与えるし、物流コスト等も上がってしまう。では、その対策としてどんな政治的主導が考えられるか。

 

(1)特例税率そのものを廃止してはどうか?

 

前回のブログでも言ったように、トリガー条項はポンコツガラクタだ。価格の乱高下を繰り返すのは流通市場の混乱を招くだけだ。さすが悪夢の民主党政権が作っただけの事はあるよw

 

となると、ここは思い切って、特例税率そのものを廃止してはどうか?という案が出てきても何ら不思議ではない。当初の目的を概ね達成でき、役割を終えたと言ってもいいはずの「特例税率」を廃止すれば、もはや「トリガー条項」もクソもない。廃止する際は、手持品控除も取り入れる。

 

元々、特例税率の目的は道路特定財源だったが、2009年度から一般財源になり、2011年4月には東日本大震災の復興財源にも充てたいためにトリガー条項を凍結した。だが、復興財源に関しては既に「復興特別税」があり、法人税・所得税・住民税に上乗せされている。(法人税は終了済み)

 

特例税率を廃止すれば税収が減少するのは間違いない。2008年4月の時は、失効による税収減は2.6兆円と試算された。それだけ大きな税なのである。

 

従って、特例税率の廃止による税収減は、一体何で補填したり、どのように財源を賄ったりすればいいのか?という議論も必要になってくるだろう。そう言うと、MMTerやメロリン牛太郎さんあたりが「新規国債発行でOK!」「税は財源ではない!」と言うのかもしれないが、そんな簡単な話ではなかろう。

 

そもそも、「税」は通貨の信用・信認を担保するために必要なものである。日本国は国民から税を日本円で徴収し、国はその税を何らかの形で国民に還元する。これを繰り返す事が通貨の信用・信認に繋がっている。

 

新規国債発行自体は否定しないし、財政出動はしたほうが良いと思うが、かと言って全てを新規国債で賄うという発想が通用するのなら、極端な話、無税国家でもよくなってしまうわけで、そんな国が発行する通貨なんて誰も信用・信認しないだろう。

 

 

(2)石油元売り会社への補助金

 

これは与党・自民党として固まってきた案である。

 

 

資源エネルギー庁が毎週公表するレギュラーガソリンの平均小売価格が、全国平均で170円を超えた場合、石油元売り会社へ補助金を1リットルあたり5円支給して、その週のうちにガソリンの値上げを抑える。灯油や軽油も対象。

 

そういう内容の策のようだ。

 

つまり、石油元売り会社へ補助金を支給する事によって卸売価格の上昇を抑える。

小売業者(ガソリンスタンド)は、その分安く仕入れる事ができるようになる。

消費者にもその分だけ安く販売できるようになる。

 

そういう理屈のようだ。その方法であれば、上手くいけばスピーディーに小売価格を抑える事は可能となるだろう。

 

「補助金を渡しても値下げするかどうかわからないじゃないか!」という意見もあるだろうが、それはおそらくないと見ている。同調圧力があるだろうし、一店舗でも値下げに踏み切れば、他店舗も値下げせざるを得ない状況になってくるからだ。この業界は競争が激しい。

 

それに比べ、トリガー条項の発動は、最低でも3ヵ月は掛かり、告示から発動までにタイムラグもあるので、スピード感のある対応策とは言えない。そこを理解せず「トリガー条項の凍結を解除して発動しろ!」とキャンキャン吠えるだけの人の何と多い事か。うんざりしてくるよ。

 

 

(3)国家備蓄石油の売却

 

11月24日、政府は国家備蓄石油の一部を売却する事を発表した。

首相官邸 (2021.11.24)

国家備蓄石油の売却についての会見

e-Gov法令検索

 

マスコミは、「原油価格の高騰による備蓄石油の放出は前代未聞だ!」(キリッ!)

などと喚き散らしていた。

 

だが、現実は「毎年のように古い物から売却している」と。ただそれだけの事である。

 

そりゃあ売却量がいつもの2倍3倍とかになれば不安にもなるだろうけど、そこは「石油の備蓄の確保等に関する法律」の範囲内で行われる。

 

表向きは「同盟国アメリカと歩調を合わせるため」としているが、そんなものは外交辞令だ。

 

「価格高騰を抑制するため」というのもおそらく建前だろう。毎年行っている事を今年も行うだけで、価格高騰を抑制できるなんて政府はこれっぽ~っちも思っていないと思うし、効果があれば"儲けもん"だろう。

 

そういう意味で、キッシーは上手く立ち回った方じゃないかな。

 

 

 

●全てはアメリカにかかっているのだが……

 

原油価格高騰の問題に関してハッキリ言ってしまえば、同盟国で産油国のアメリカが「シェールガス・化石燃料の採掘を再開します!(キリッ!)」と、ドヤ顔で言うだけでほぼ解決してしまう話である。他の産油国に対して大きな牽制になるからね。

 

だが、金融ヤクザや環境ヤクザのポチである売電政権では無理だろうw

 

もし言ってしまうと、ただでさえ支持率が低いというのに更に信頼を失い、2022年秋の中間選挙に大きな悪影響を及ぼすからだ。かといって、環境ビジネス一辺倒になってしまえば、産油国は原油の増産に踏み切らず、高騰を招いてしまうので、国民の信頼を失ってしまう。売電政権は、もう打つ手無しだ。

 

 

環境ヤクザと言えば、気候問題担当大統領特使としてチョロチョロ動き回っている奴がいるよな。

11月に開催された「COP26」を見てみろ。

ハッキリ言って、ヘドロが出るわ!!

AFP通信 (2021.11.11)

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