2020年7月1日に、「レジ袋の有料化」が施行されたわけだが、ネット上ではすこぶる評判がよろしくないようである。

 

その中でも特に多いのが、

「レジ袋を有料化にしたのは小泉進次郎だ!(キリッ!)」

「レジ袋の有料化は小泉進次郎の肝煎り政策だ!(キリッ!)」

といった類の書き込みである。

 

結論から言うと、それは違うからww

 

そんな事は時系列をザックリでも追っていけばすぐにわかる事だ。

 

 

●レジ袋の有料化が決まるまで

 

2018年6月19日に「第四次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定された。

環境省

 

 

2018年10月2日に、第4次アベ政治第1次改造内閣にて、原田義昭氏が環境大臣に就任した。

 
2018年10月4日のグループインタビューにて、原田環境大臣(当時)が、レジ袋の有料化を義務付ける事も検討すべきではないかという旨の発言が出た。5日の記者会見でも改めてその旨の発言があった。

環境省 (2018.10.05)

 

 

2019年5月31日に、「プラスチック資源循環戦略」を策定した。この時点で、3R(リデュース、リユース、リサイクル)+Renewable(再生可能)に関するマイルストーン(工程)まで組まれており、5年単位かつ2035年までの長期的戦略である事がわかる。

環境省 (2019.05.31)

「プラスチック資源循環戦略」の策定について

首相官邸 (2019.05.31)

海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議

 

 
2019年6月7日に、世耕弘成経済産業大臣(当時)が、

「法改正で時間をかけるよりは、この4省(経済産業省・財務省・厚生労働省・農林水産省)共管の省令をしっかり改正をして、レジ袋の有料化を行っていくということの方が、迅速で、かつ実効性のある対応策になるのではないか。」

と記者会見で述べた。

経済産業省 (2019.06.07)

 

 

2019年6月15日のG20大阪サミットにて、世耕経済産業大臣がレジ袋の有料化に関する発言があった。

 

これが、レジ袋の有料化に関する事実上の国際公約となった。

 

「海洋プラスチックごみ」の議論は、世界各国でも加速しており、海洋に流出しているプラごみの量も増え続けている事から、日本としては過剰使用の抑制を基本線にして、レジ袋の有料化に踏み切ったという事なのだろう。

 

これはアベ政治(アベ、世耕経済産業大臣、原田環境大臣)の決定である。

 

なお、レジ袋の有料化自体は、前述の通り、経済産業省・財務省・厚生労働省・農林水産省の4省共管の省令となっている。環境省は協議官庁という立ち位置である。

環境省 (2019.06.17)

G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の結果について

経済産業省 (2019.06.18)

 

 

●小泉進次郎氏が環境大臣に就任

 

2019年9月11日に、第4次アベ政治第2次改造内閣にて、小泉進次郎氏が環境大臣に就任した。38歳での入閣は田中角栄氏以来の最年少。

 

なお、閣僚は自分の資産に加え、配偶者と扶養する子の資産も公開する事になっており、小泉氏の配偶者である滝川クリステル氏の資産が晒される事となったwww (有価証券など合計2.9億円)

 


●レジ袋の有料化は、原田環境大臣が「大臣主導」で決定した

 

原田前環境大臣(当時)がブログで、「レジ袋の有料化はこの私が大臣主導で決定したもの」と書き記す。

 

大臣は非常に強い権限を持っており、覚悟さえあれば、ほぼ何でも決断できる強い立場にある(キリッ!)

 

…との事ですよ。

原田義昭 (2019.11.03)

 

 

●関係省令が改正・交付されるまで

 

その後、全4回のレジ袋有料化検討ワーキンググループ会議にて、レジ袋の有料化が正式に決定された。

 

レジ袋の有料化の決定はアベ政治の一存で店舗側の意見を無視しているのではないかと思っている人もいるかもしれないが、当のスーパーマーケットやチェーンストア、フランチャイズチェーン(コンビニ)、ドラッグストアは、以前から有料化に賛成の立場を取っており、要望書まで提出していた。

経済産業省 (2019.12.25)

レジ袋有料化に係る背景について

 

 

2019年12月27日に、「容器包装リサイクル法」の関係省令を改正・交付された。

前述の通り、これは、経済産業省・財務省・厚生労働省・農林水産省の4省共管の省令となっている。

経済産業省 (2019.12.27)

容器包装リサイクル法の関係省令を改正、公布

 

 

●レジ袋の有料化が施行

 

2020年7月1日に、レジ袋の有料化が施行された。但し、条件を満たした袋であれば有料化の義務はないとしている。

経済産業省 (2020.07.01)

レジ袋有料化開始

 

 

その後、レジ袋使用状況に関するWEB調査を見てみると、買い物した店舗でレジ袋を貰う事を辞退した人の割合は71.9%と、有料化前の30.4%と比較して倍増以上となった。

 

無料のものは「貰えるものは貰っとけ」となりがちで、扱い方も雑になりがちだが、わずか数円でも有料になれば少しはレジ袋を受け取る人が減り、結果としてレジ袋ゴミも減るのではないか…という意識改革にも繋がっているという表れだと思う。

環境省 (2020.12.09)

 

 

 

 

●マイバッグは不衛生

 

レジ袋を辞退する人が増えた代わりに、マイバッグを利用する人が増えた。また、100円ショップ等で売られているポリ袋を買う人も増えたようだ。

 

だが、マイバッグは、人によって洗濯をする頻度は異なるだろうし、毎回洗濯しない人のマイバッグは言うまでもなく不衛生である可能性が高いw

 

ましてや、このコロナ禍となると…。

 

 

そういうわけで現在は、「1枚3円の有料レジ袋」にするか、「不衛生になりがちなマイバッグ」にするか。この二択となる事が多く、これがすこぶる評判がよろしくない原因の一つなのだろう。

 

 

●自治体指定の可燃ごみ袋

 

名古屋市では、指定の可燃ごみ袋をレジ袋の代わりとして渡してくれる店舗があるようだ。

 

 

 

例えば、以下のサイトで紹介されている店舗。

おいでよ名古屋の食べ歩きログ (2020.06.22)

 

名古屋に長年住んでいる私だが、実は全く知らなかったw

それらの店舗にはほとんど行く事もないし、全く知らなくても無理もないかなw



 

●たかが3円ごときでギャーギャー言うなよw

 

ネット上を見てみると、何とまぁ「レジ袋の有料化ガー」の多い事かw

 

最近だと、桜田義孝議員のツイートにぶら下がっているリプ欄に「レジ袋の有料化をヤメロー!」「無料に戻せー!」という声が殺到し、レジ袋の有料化についてかなりヒートアップしている模様w

 

 

 

それにしても、たかが3円のレジ袋すら買えない・買いたくないなどという次元の低いところでギャーギャー言っている人があまりにも多すぎるわなw

 

大の大人が、まるでガキが駄々をこねているみたいで、情けないと思わないのかw

 

そりゃあ、店員と客とのやり取りが一つ増えて面倒なのはわかる。

「袋、よろしいですか?」「袋は大丈夫ですか?」「いいです。」「大丈夫です。」など、必要・不要のどちらにも解釈できそうな紛らわしい日本語で聞いてくる店員や客にイラつくのもわかる。

 

だが、有料化の施行から1年以上経っているわけだし、慣れていくしかないと思うよ。

 

桜田さんも、ツイッターランドでネトウヨにギャーギャー言わせるのではなく、自らが部会でギャーギャーやってほしいw

 

 

 

●夕刊フジのアンケートは内輪で盛り上がっているだけw

 

夕刊フジzakzak緊急アンケートによると、「止めて「無料」にすべきだ」が91.2%となったようだ。

 

だがしかし、これは自民党総裁選時の「高市氏81%」の時と同じ現象だろう。事実、高市氏の党員算定票は全体の2割程度で、アンケートでは5.9%だった岸田総理よりもかなり低い結果に終わった。結局は、夕刊フジ読者のネトウヨが内輪で盛り上がっているだけのようだwww

夕刊フジ (2021.10.08)

小泉前環境相肝煎り「有料レジ袋」どう思いますか? 「無料に戻すべきだ」91.2% 識者「効果見えず、妥当な結果」

夕刊フジ (2021.08.21)

次の自民党総裁にふさわしいのは誰? 高市前総務相が衝撃の「81%」 菅首相の11.9%を7倍近く引き離す

 
 
●万引きの認知件数はさほど増えていない

 

「レジ袋の有料化で万引きが倍増した」などと言われているが、データを見てみれば、決してそうではない事がわかる。

e-Stat 政府統計の総合窓口

 

2020年1~6月…43044件

2020年1~12月…87280件

 2020年7~12月…44236件

2021年1~6月…44711件

 

件数的に増えてはいるが、その事とレジ袋の有料化とは何の因果関係も示されていない。

 

万引き手法の内訳として、マイバッグが増えて他の手法が減ったと考えられるのかもしれないが、万引きトータルはあくまでも横ばいから微増程度。

 

万引きは、レジ袋の有料化のせいではなく、店舗側のセキュリティや管理が甘いのではないか。
 

 

●レジ袋もタダではない

 

これまで当たり前のようにタダで手に入れていたレジ袋と言えど費用はかかっているわけで、それを当たり前のように無料配布で手に入れられる事のほうがよっぽどおかしな話でね。

 

無料配布になっているという事は、店舗側や他の誰かが費用を負担しているのだ。レジ袋にしてもそう。あるいは送料無料にしてもそうだ。

 

「海洋プラスチックごみ」「SDGs」などの環境的観点も大切だが、それ以前に、サービスはタダではないし、有料化は止むを得ないのではないか……というのが私個人の意見です。

 

 

●スケープゴートにされた小泉氏

 

ネット上では、2019年9月に環境大臣に就任した小泉氏がレジ袋の有料化を推進した事になっているが、それは事実とは異なるのは明らかだし、スケープゴートにされた感が強い。

 

「有料化が正式決定したのは2019年12月下旬だったら、小泉にも責任がある。」という意見も見かけた。

 

「効果がない事がわかったら、さっさと止めろ!」といった意見もw

 

 

だが、そんな事、小泉一人で決められるわけないやろwww

 

「レジ袋の有料化」「海洋プラスチックごみ」はアベ政治の下で取り組まれた事だし、世界的にも議論が加速し、非常に多くの人が動いてきた案件だ。

 

それを、一国のたった一人の国務大臣が卓袱台返しの如くひっくり返せるとでも思ってるのか?

 

そんな事をすれば、間違いなく国際的信用を失うし、日本に味方する国家もいなくなり、イニシアティブも取れなくなってしまうわ!

 

 

こういった環境的な取り組みは、始めてから1年ちょっとで成果が出てくるものでもないし、中長期的なマイルストーンに沿って、やれる事・やるべき事を継続的に取り組んでいくべきだ。

 

それが、今後、日本が国際社会の中で主要な役割を果たす事にもなり、中心的な存在にもなっていくのだ。