これまでにも何度か触れてきたと思うが、自由民主党総裁選挙には「党員算定票」というものがある。
しかし、これには問題点がいくつもある。
●問題点
(1)投票権を8000円で買えてしまう
年間4000円の党費を、総裁選のある前年前々年と2年連続で納めるだけで、投票権を得られてしまう。
例えば、総裁選2021であれば、2019年分と2020年分の党費を払えば投票権を得られる事になる。
所詮、2年で8000円なんて端金だし、極端な話、巨額の資金源さえあれば反政府勢力が大量の投票権を買う事もできてしまう。
そうなると、もはや党員票ではなく動員票(いわゆる組織票)である。
※実際に、党員票の3〜4割は、党と繋がりのある団体による組織票。
(2)日本の国会が議院内閣制である意味は?
日本では、与党第一党の代表者が内閣総理大臣である。「内閣総理大臣指名選挙」では、自分が所属する党の代表者に投票する事がほとんどだからだ。
つまり、自民党が与党でいる限り、事実上「自民党総裁≒内閣総理大臣」となるわけだが、今の党員票システムでは、党員が総理大臣選択選挙に参加できてしまう事になる。
衆議院
(3)投票用紙がザル
投票用紙となる往復ハガキに、党員番号が割り振られているのかと思いきや、ごく普通のハガキである。こんなハガキでは偽造されても文句を言えないよw
●党員算定票のウェイトは下げるべき
自民党員三年生の私が言うのも恐縮だけど、党員票のウェイトを抑えて、国会議員票に重きを置くべきだと思っている。
国会議員とは、国政選挙で国民に信任された人物である。そんな国会議員のみで党の代表者を選ぶ事は、議院内閣制の主旨に沿っているのではないか。
何より、国会議員は候補者を良くも悪くも間近で見ているわけで、党員や国民よりもよく知っているはず。我々にはわからない様々なしがらみはあるにせよ、それ相応の評価をしている事と思う。
ゆえに、国会議員の票にこそ重きを置くべきなのだ。
本音を言うと、党員票など無くしてほしいと思っているほどだ。
だが、そうなると、一部のフルスペック厨たちがギャーギャー騒ぐだろうw
一年前の、アベ辞任による総裁選挙2020でさえ、既存の党則に沿っただけなのにも関わらず、意見を言うというよりも、単にギャーギャー騒いでいるだけの党員がツイッター上だけでも多く見受けられた。
党員でない者が「党員票ガー」と言えば、党員からすれば「部外者のクセに!」となるだろうし、その気持ちもわかる。
だから私は党員になった。(ようなもの)
まぁ私の場合は、知り合いのお付き合いというのもあるのだがw
年間4000円なんて大した金額じゃないし。
●党員票を無くす事のデメリットは?
党員票を無くしてしまう事によってデメリットが生じるのも確かだ。
総裁選にて、党員や国民へのアピールのためにネットやテレビを通じた討論会をすることもなくなるわけで、党としての政策や基本方針をプレゼン・アピールする機会が減ってしまう。
「総裁選挙の党員投票資格」というエサが無くなってしまうと、党員を釣れなくなり、党運営のための党費を稼げなくなってしまう。
党本部としては、党員算定票の問題点を理解していながらも、「密室政治」「派閥政治」などという批判を避けるために、党員も参加できる開かれた総裁選挙をアピールせざるを得ないのだろうと思う。
党員票は、一種のガス抜きのためのツールかなw
それと党員ノルマ制度なんてのも止めたほうがいいと思う。
根性論丸出しのブラック企業の営業マンかよwww
●党員管理システムも見直すべき
自民党員の資格には、こう書かれてある。
・我が党の綱領、主義、政策等に賛同される方
・満18歳以上で日本国籍を有する方
・他の政党の党籍を持たない方
申込書に、氏名・生年月日・住所・電話番号と、紹介者の氏名と住所を書いて、党費4000円を払っただけで簡単に入党できる。
身分証明書なんて要求されない。国籍や他党籍かどうかなんてノーチェック。亡くなった人の所にも投票用紙が届くほどのザルっぷりwww
お付き合いで仕方なく党員になった人、知らない間に誰かが勝手に個人情報を使われて党員になっていた人など様々なケースがある。
デジタル庁も創設された事だし、これからは間違いなくデジタル・ITの世界。
ここは政権・与党として先陣を切って手本を見せてほしいところだ。
●決選投票になってほしいと願望する理由
それは、党員票のウェイトを実質的に排除してほしいと思っているから。決選投票になれば議員票とわずかな都道府県票で決まり、党員の意思はほぼ排除できる。
だからこそ、1回戦の議員票の配分が重要で、それをコントロールできる"演出家"が党内に必要不可欠。議員票を上手く振り分けられれば、総裁選挙のシステム上、決選投票にもつれ込ませる事ができる。
自民党のシステム改革、そして自民党員の世代交代が必要だと痛感する。