自由民主党

総裁公選の仕組み

【自民党総裁選】議員投票・開票(2021.9.29)

 

 

●ガースーが自由民主党総裁選挙に立候補せず

 

2021年9月3日、総裁のガースーが、総裁選挙に立候補しない事を発表した。

首相官邸(2021.09.03)

自由民主党総裁選挙に立候補しない意向の表明についての会見

 

ちょうど一年前に、辞任を表明したアベ政治の本来の残り任期を引き継いだ形となったガースー総裁&ガースー黒光り内閣。

 

残り任期が迫る中での、新型コロナウイルス対策と総裁選挙活動……これらを両立するのには莫大なエネルギーが必要という事で、どちらかを選択すべきと考えた時に、新型コロナウイルス対策を選択したという事で、立候補を模索していた中で断腸の思いでの決断だった事と思う。


内閣支持率が低下していく中で、これまた任期満了が迫っている衆議院議員の総選挙が秋に執行されるという事で、このままでは衆議院選挙を戦えないと思っていたのかもしれない。(憶測)

 

いやっ、もしかしたら、最初からアベ政治の残り任期を全うする考えだったのかもしれない。(これも憶測)

 

ガースーの選択は、まさにギリギリのものだったのではないか。

 

 

アベ政治を継承する形で発足したガースー黒光り内閣から1年、新型コロナウイルスから守り、日本を取り戻す事に尽力された。

 

心から敬意を表したい気持ちでいっぱいです!

 

 

●総裁選挙2021はフルスペックで選任


アベ政治を継承したガースー総裁の任期は、アベの本来の任期であった2021年9月30日まで。

 

そういう事で、以下の日程で総裁選挙2021が行われる事が決まった。

 

 公示日…2021年9月17日(金)

 選挙日…2021年9月29日(水)

 

投票数は、

・自民党所属の国会議員による議員投票…382票(衆274・参108)

・全国の党員党友などによる党員算定票…382票(ドント方式)

※当初は383票ずつだったが、9月17日夜に竹下亘衆議院議員が逝去された事により382票ずつに減少。

 

 

●総裁選挙の立候補者は4名

 

総裁選挙に立候補したのは以下の4名。(クジ引きによる届出順)

 

 ・河野太郎 (神奈川15区/麻生派)

 ・岸田文雄 (広島1区/岸田派の主)

 ・高市早苗 (奈良2区/無派閥)

 ・野田聖子 (岐阜1区/無派閥)

 

 

 

8月26日に、岸田氏が立候補を表明。

 (2020年以来、二度目の登場)

9月8日に、高市氏が立候補を表明。

 (初登場。8月5日に立候補意思の報道はあった。)

9月10日に、河野氏が立候補を表明。

 (2009年以来、二度目の登場)

9月16日に、野田氏が滑り込みで立候補を表明。

 (過去に立候補の噂は何度かあったが初登場)

 

 

●今回の主な特徴

 

・女性議員が立候補。

 (2008年の緑の小池百合子氏(現・東京都知事)以来13年ぶり)

・複数の女性候補者。

 (総裁選挙初)

 

・若手中堅議員による派閥横断グループ「党風一新の会」の登場。

・小石河連合。

 (小泉進次郎氏と石破茂氏は河野氏の支持を表明)

・派閥力学が働かない、事実上の自主投票。

 (宏池会岸田派を除く)

・各候補の推薦人20名は、ごく一部を除いて、派閥に関係なく満遍なく名を連ねた。

 (岸田氏の推薦人も含む)

 

 ・森羅万象すべて担当するアベは、表向きは高市氏を支援支持。

 

だが、このアベの動向こそが今回の総裁選のカギを握っていた。

 

 

●党風一新の会

 

今回の総裁選の特徴の一つとして、祖父と父が総理大臣であった福田達夫氏が束ねる「党風一新の会」という派閥横断グループの登場があった。

 

当選3回以下の衆議院議員の有志で構成され、森羅万象すべて担当するアベのチカラの恩恵で当選した「アベチルドレン」が多く、まだまだ地盤・看板・カバンが弱い。

 

ゆえに、今秋の衆議院選挙で勝つための「選挙の顔」が欲しいだけの保身連中で構成された新たな派閥・グループであるという事は想像に難くない。

 

だが、そんなガキたちをもコントロールするのが、"親"であるアベだ。

 

 

●小石河連合

 

河野氏が立候補を表明した翌日に、小泉進次郎氏が河野氏の支持を表明。

最終的に立候補を見送った石破茂氏も河野氏の支持を表明。

これらの頭文字から「小石河連合」などと報道された。

 

ツイッターで240万超アカウントのフォロワーのいる河野氏。

イチブの党員にだけは何故か人気のある石破氏。

いわゆる"B層"に幅広く大人気だが、ネット上ではなぜか嫌われている小泉氏。

 

 

●狙いは接戦の末の決選投票だった

 

総裁選挙を巡る一連の党内動向……全てはアベの"演出"だった。

 

ガースー黒光り内閣の功績とは裏腹に、内閣支持率が低下し、どちらかというと逆風が吹き荒れる自民党にあって、いきなりワンサイドで決まってしまうと、世間から「出来レースガー」「派閥政治ガー」「密室政治ガー」「古くさい政治ガー」などと批判の的になる事は目に見えていた。

 

従って、今回の総裁選挙では、風通しの良い開かれた政策論争をして、世間に対して自民党という政権・与党をアピールする必要があった。そして、実際の総裁選挙で接戦に持ち込ませる必要があった。

 

そのため、ガースーの不出馬確定以降、「岸田氏vs河野氏」の一騎打ちも予想されていた総裁選2021に、保守層には人気のある高市氏を担ぎ上げて票を割る作戦に出た。

それでも物足りないアベは、過去に立候補の噂が何度かあり、自民党内野党で、当選同期でもある野田氏をお2Fさん経由で担ぎ上げて更に票を割ろうとした。(野田氏の推薦人は二階派が最多)

↑あっ、この辺は妄想ですw

 

全ては、秋に控える衆議院議員総選挙に勝つための作戦。それを考えたら、自民党の"作戦"は当然である。

 

 

●総裁選挙前の大方の予想

 

・決選投票になる。

 (過半数には到達せず。野田氏の立候補で確実な情勢に)

 

・党員票は、河野氏が40~45%を占めてリードする。

 (河野>>>岸田>高市>>>野田)

 

・議員票は、岸田氏がリードする。

 (岸田>河野>高市>>>野田)

 

・1回戦の総合1位は、河野氏が頭一つリードして通過する。

・1回戦の総合2位を、岸田氏と高市氏で争う展開となるが、岸田氏が優勢。

 (河野>>岸田>高市>>>野田)

 

 

ちなみに、選挙日前日までの議員票の動向は、以下の通りであった。

河野氏…84名

岸田氏…99名

高市氏…69名

野田氏…21名

(いずれも候補者本人を含む)

 

態度不明…108名

棄権…1名(山本公一 元環境大臣)

 

 

2位が誰になるか……そこが総裁選挙の勝負の分かれ目だったと言える。

 

決選投票は、「河野vs岸田」になるのか、「河野vs高市」になるのか。

 「河野vs岸田」の場合、高市氏支持議員がどちらに投票するのか?

 「河野vs高市」の場合、岸田氏支持議員がどちらに投票するのか?

 野田氏支持議員はどうするのか?

 

党風一新の会の議員は、党員票の結果次第で変化が生じるのか?

 

例年とは違って派閥縛りがなく、態度を表明していない108名の議員票の動向がなかなか読めない展開が続いた。

 

こんなに結果を読めない総裁選挙は初めてだったが、こんなにワクワクする総裁選挙も初めてだった。

 

 

キッシーが新総裁に!

 

2021年9月29日午後。総裁選挙が行われた。

 

総裁選挙前の大方の予想(前述)を覆し、フタを開けてみれば、岸田氏が1票差の総合1位。

 

河野氏は党員票こそ予想通りだったが、議員票で高市氏に大きく抜かれたのが響き、総合1位を逃してしまった。最後の最後でアベのチカラが働き、河野氏から高市氏へ議員票が20~25くらい動いたのではないか。

 

 

 

過半数の得票を得た候補者はおらず、上位2名となった岸田氏・河野氏による決戦投票となったが、この時点で勝負は既に決していた。

 

岸田氏の勝利はほぼ確実な情勢となった。

そして、決選投票の末に、岸田文雄氏が選出された。

 

 

 

なお、自民党員三年生となった私にも投票権があった。

一党員として『高市早苗』に投票した。

衆議院選挙で勝ちたければ、「女性初」の冠が付いてアベ信者を味方に付けられる高市氏か、党員や国民から人気があってフォロワー数も多い河野氏のどちらかという選択だった。

で、森羅万象すべて担当するアベの腹黒い策略を悟った上で、安全保障と経済政策に目を見張るものがあったというのが理由。

なお、高市氏に取り憑いていた疫病神やビジネス保守は、評価の対象外ですw

高市早苗
 

 

 
●今後の日程

 

この総裁選挙を以て、自民党総裁のバトンは、ガースーからキッシーに渡された。

 

ガースーの肩書きが「"前"総裁」(第26代総裁)となり、アベの肩書きが「"元"総裁」(第21代・第25代総裁)に変わる。

 

キッシーおめでとう!

 

ガースーありがとう!

 
 
 
10月4日(月)の午前中にガースー黒光り内閣は総辞職となる。
 
午後に召集される特別国会(第205回国会)で行われる「総理大臣指名選挙」でキッシーが指名される見通し。
 

組閣した後に、皇居で天皇陛下による親任式を経て「キッシー内閣」(仮称)が発足される予定である。

 

しかも、記念すべき『第100代』の内閣総理大臣である。

 

ガースーの肩書きは「"前"総理」となり、アベの肩書きが「"元"総理」に変わる。

 

 

10月8日(金)に、新総理の所信表明演説。

10月11日(月)~10月13日(水)に、各党代表質問。

 

その後、総裁選の熱気が冷めないうちに衆議院を解散して臨時国会を閉幕し、任期である10月21日よりも後の11月上旬あたりに衆議院選挙が行われるのではないか。

 

衆議院選挙後に改めて「総理大臣指名選挙」が行われるので、記念すべき『第100代』は短命で終わり、『第101代』になる見通し。

 

 

 

さてさて、総裁選挙が終われば、気持ちを切り替えてノーサイドの全員野球。

 

キッシー内閣はどうなるのか。

 

今年の広島東洋カープのような「打高投低守乱」とかいうアンバランスな野球ではなく、攻守ともに優れた政権・与党運営を期待したい。