●前書き
私は大阪府在住ではないので、一地方自治の事に関して口を挟むべきではないのかもしれない。
しかし、この住民投票で、もし可決されれば、次にやって来るのは我が名古屋市であるという懸念がある。無論、他の指定都市にも何らかの影響を及ぼすかもしれない。
そういう思いから、指定都市・名古屋市に住む者として、もしも名古屋でこういう住民投票が行われたら……という気持ちになって、敢えて触れてみる。
●大阪市を廃止し特別区を設置することについての住民投票
公示日…2020年10月12日(月)
投票日…2020年11月1日(日) 7~20時
※期日前投票は10月13日(火)~10月31日(土)
・大阪市
この住民投票は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(大都市法)に基づいて行われ、法的拘束力を持つ。
・電子政府の総合窓口e-Gov
・電子政府の総合窓口e-Gov
例えば、住民投票には、以下の制限がない。
・自動車(街宣カー)や船舶
・拡声器
・ビラ、葉書、パンフレット、書籍、ポスターの枚数や大きさ
・活動費用の額
・テレビCM
更に、大都市法に基づく住民投票は、「公職選挙法」第129条(選挙運動の期間)を準用していないため、「選挙運動」や「選挙運動の期間」は存在しない。
つまり、住民投票は、あくまでも「住民投票」であり、「選挙」ではない。
投票日当日でも投票場の前などで賛成反対を訴える運動ができるのだ。
●公示日初日からやりやがったメロリンQ
ところで、公示日となった10月12日の昼前に、山本太郎ことメロリンQさんが、戎橋(グリコ看板前の橋)の上で大阪都構想に関する街頭演説を行ったところ、大阪府警の警察官に中止を要請される一幕があった。
・れいわ新選組 公式チャンネル(Youtube) ※17:00~あたり
メロリンQさんは「法的根拠を示してください」と説明を求めたが、警察官は中止を要請し続けた。近くにいたれいわ信者らしき人が警察官に詰め寄る一幕もあった。
メロリンQさんは「政治活動というのは基本的に自由なんです。憲法の表現の自由と、それに合わせて、道路交通法第77条に基づいております。」と、あくまでも通行の妨げにならないように演説を行っていると反論。
警察の「許可を得てますか?」の問いにも、メロリンQさんは「許可は要らない!」と譲らない。
さて、メロリンQさんから出てきた「道路交通法第77条」とは何か? また、「政治活動」とは何か?を紐解いてみる。
●「道路交通法」と「大阪府道路交通規則」
メロリンQさんの主張する「道路交通法」第77条第1項に道路の使用の許可(要許可行為)について書かれてある。また、第2項には、所轄警察署の許可について書かれてある。
・電子政府の総合窓口e-Gov
メロリンQさんとしては、「道路交通法」第77条第1項の1~3号はもちろん、4号にも該当しないから、道路使用許可を得る必要はないという主張と思われる。だが、それをメロリンQさん自身が主観的に決めてしまってもよいものなのか??
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者
大阪府では、4号の詳細を「大阪府道路交通規則」第15条(道路の使用の許可)で定めている。
・大阪府
(公職選挙法の規定に基づきすることができる選挙運動のためにするもの及び選挙運動期間中における政治活動として行うものを除く。)
●道路法
見方を少し変えてみる。
メロリンQさんが街頭演説をした場所には、大型モニター機材・カメラ・政党名や氏名が表記されたノボリがあったが、これについてはどうなんだろうか。
「道路法」第32条(道路の占用の許可)に、工作物・物件又は施設を設けて、"継続して"道路を使用しようとする場合の道路占用許可の対象が1~7号に書かれてある。
・電子政府の総合窓口e-Gov
メロリンQさんの場合、これはさすがに該当しないのかな。
なお、大阪府における道路占用規則については以下のサイトで。
・大阪府
●「選挙運動」と「政治活動」
(1)選挙運動
「公職選挙法」第13章(第129条~第178条の3)及び第14章(第179条~第201条)が適用される。
・特定の選挙に向けた運動。
・特定の候補者の当選を目的とした運動。
・直接または間接に必要かつ有利に働き掛ける運動。
→特定の候補者へ投票するように働き掛ける。
→他の候補者へ投票しないように働き掛ける。
「選挙運動の期間」でのみ認められており、公職の候補者の届出のあった日から選挙期日(投票日)の前日までの8~20時に限り可能である。
また、満18歳未満の者は、一切の選挙運動ができない。
(2)政治活動
・特定の選挙に向けた活動ではない。
・特定の候補者の当選を目的とした活動ではない。
・政治上の目的をもって行われる一切の活動から、「選挙運動」に渡る行為を除いた活動。
・政党や政治団体が、自党の政策や主義を宣伝する活動。
また、選挙運動の期間外において規制はないが、場合によっては「公職選挙法」第143条16~19項が適用される事もあるので注意が必要だ。
●上記までをまとめてみると…
大都市法に基づく住民投票は、「公職選挙法」第129条(選挙運動の期間)を準用していないため、「選挙運動」や「選挙運動の期間」は存在しない。
従って、メロリンQさんの戎橋での都構想反対演説は、「大阪府道路交通規則」第15条の括弧書きにある「選挙運動のためにするもの及び選挙運動期間中における政治活動として行うもの」には該当しない。つまり、選挙運動の期間外での政治活動になる。
更に、メロリンQさんが、もしも「公職選挙法」第143条16項にある「公職の候補者となろうとする者」に該当するのであれば、選挙運動の期間外であってもアウトになる可能性がある。
という事で、選挙運動の期間外での政治活動は、「道路交通法」第77条1項4号に該当する可能性があり、メロリンQさん本人の判断で著しい影響を及ぼすかどうかは決められないので、道路使用許可を受けなければならない…という事になる。
そして、「道路交通法」第77条2項1~3号のいずれにも該当しなければ、所轄警察署の判断で許可しなくてもよい事になる。
なお、2013年7月9日にアントニオ猪木が戎橋で演説した時は、参議院議員通常選挙の運動期間中であり、アントニオ猪木自身は候補者なので、「大阪府道路交通規則」第15条の括弧書きが適用され、道路使用許可は不要という事になる。
・(Youtube動画)
そもそも、戎橋は、普段からとても人通りが多く、その場所で演説や路上ライブ等をやれば、一般交通の著しい妨げになる事は容易に想像がつくわけで。
演説や路上ライブ等をした結果、多くの人でごった返すのか閑古鳥が鳴くのかは後で判断する事である。
戎橋に関しては、どうやらアントニオ猪木の一件があってから、選挙運動以外では道路使用許可をしなくなったらしいが。真相は如何に???
●自分自身でよく考えて投票すべし
ゴミ野党が反対しているから、賛成すれば間違いないだろう。
マスコミが賛成へと誘導しているから、反対すれば間違いないだろう。
あの人がああ言ってるから、賛成しておけば反対しておけば大丈夫だろう。
こういった考えは全てキケンですw
奴らが狙っているのはまさにそこだ。
何事もそうだが、そんな周囲の流れに流されず、自分自身で材料を集めてよ~く考えれ!!