一年生の壁 15 | 勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

曙五郎の高校生活、柔道に打ち込んだ青春時代を書いています。

気分で更新しますので気長にお付き合いよろしくお願いいたします。

尚、登場人物はすべて架空の人物です。

昼休憩を挟んで午後からは予定通り合同練習。

準備体操、打ち込みを30分ほど行い、各高校に赤帯を3本渡されての立ち技の元立ち5分×8本の3セットだった。

柏陵高校は最初に重量級の織元さんと増川さん、中量級の富田さんの3人に赤帯が渡った。

ほかの高校を見ていると、九州チャンプは赤帯をもらって立っているのが見えた。

五郎は、最初は九州チャンプとやるまではずっと当たりに行くと決めていた。

 

最初の元立ちの選手が前に並び挨拶をしてから、ブザーが鳴ると同時に赤帯を持った選手に残りの学生が向かっていった。

五郎もブザーと同時にダッシュしたが、全く似合わなかった。

3本目までは九州チャンプと練習出来ず、動きをずっと見ていたが、組んでから相手を崩して技に入るまでが桁違いに早いように感じた。

そして4本目でやっと捕まえることができた。

五郎は礼をして組もうとした瞬間、先に釣り手を取られて、嫌がって切ろうとした瞬間、今度は引手も取られてしまい、五郎は背負い投げで宙を舞っていた。

次は先に組もうと釣り手を出した瞬間、今度は釣り手をうまく利用されて袖釣りで投げられた。

その後も自分の組手になることなく、担ぎ技、足技でコロコロ投げられて終わりのブザーが鳴った。

先日から、絶対あたりに行くと決めていたのになにもできないまま終わり、五郎は何もできなかった自分がとても悔しかった。

2回目の元立ちで五郎は赤帯をもらった。

5分×8本での元立ちはほとんどが同じ階級の同級生があたりに来てくれた。

中には全中(全国中学校柔道大会)で見た選手や見たことのある名前の選手だったが、練習とはいえ力の差を感じる選手はおらず、五郎はこの元立ちでは自信がついた。

3セット目の元立ちはひとつ階級の上の選手にあたりに行った。

結果8本中2本しかできなかったものの学年が上の選手にも組負けることなく、いいところを持って投げれた。

最後に時間があったので自由乱取りが5本あったが、5本とも九州チャンプとは出来ずに2日目の練習が修了した。

 

個人的に今日の練習内容を整理すると、九州チャンプ以外はある程度満足の行く練習だったように思った。

しかし、福岡先生からは「ひとりとやることばかり考えるんではなく、せっかくこんなに選手が来ているんだから、もっと周りを見ながら練習をせんとあかん」と自分の動きが見透かされていたんだと思った。

 

練習後は先日と同じで消灯まで夕食、風呂を済ませての自由時間だった。

しかし、五郎はさすがに疲れが出てきていて、消灯前から睡魔が襲ってきて、気が付くと朝練の準備をしてる大国の物音で目が覚めた。