一年生の壁 13 | 勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

曙五郎の高校生活、柔道に打ち込んだ青春時代を書いています。

気分で更新しますので気長にお付き合いよろしくお願いいたします。

尚、登場人物はすべて架空の人物です。

夕食後は各自で入浴などを済ませて23:00の消灯まで適当に時間をつぶした。

五郎は内心では疲れていたので早く寝たかったのに、織元さんがポータブルテレビを持ってきており、林さん、大町さんと一緒に騒いでいたのでなかなか寝る事ができなかった。

五郎は宿舎にいてもすることがなかったので大国と外に出てみることにした。

しかし、12月と言うこともあり外はかなり冷え込んでいて広島よりも寒く感じたため、直ぐに中に入ろうとすると、グランドで誰かが走っている姿が見えた。

誰かと思い見える位置まで近づくと、なんと夕食で昔ばなし級のご飯を食べていた九州チャンピオンだった。

その姿を見て前に父が話していた事を思い出した。

その話とは、父が現役時代、ある大学で合宿をしている時、深夜なかなか寝付けなく宿舎をでて散歩をしていると、体育館の裏から「ガチャン、ガチャン」と音が聞こえてきて、父は気になり見に行くと、当時の中量級の世界チャンピオンで、中量級ながらアジア選手権の無差別級を制した藤井省吉

がベンチプレスを上げていたという話だった。

 

この時、五郎はチャンピオンになる人間は陰で相当の努力をしているんだと痛感した。

 

結局眠気も覚めてしまい、五郎は23:00の消灯になっても、先ほどの事が頭から離れずなかなか寝付くことができないまま朝を迎えた。

 

翌朝5:00過ぎに周りが騒がしくなり目を覚ました五郎だが実施は全く寝た気がしなく絶不調の状態で朝練に向かった。

 

6:00にグランドに集合して各学校で点呼を取り全員が円になり嘉山高校のキャプテンの号令で体操を始める。

しかし、面白いことに嘉山高校は高台にあり、朝は霧がすごく隣の人の姿がかろうじて分かるレベルで号令だけがグランドに響き全くなんの体操をしているのかわからない。

それでも、寒かったのでしっかり体を動かしておかないといけないので自分なりに入念にアップをした。

 

結局最後まで霧で前が見えずダッシュやサーキットなどどうしていいのかわからないまま合同トレーニングは終了した。

 

トレーニング後は宿舎に戻り物回りの整理をして朝食に行き9:00からの練習試合の準備をした。