一年生の壁 5 | 勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

勝者=敗者 ~越えられない背中を目指して~

曙五郎の高校生活、柔道に打ち込んだ青春時代を書いています。

気分で更新しますので気長にお付き合いよろしくお願いいたします。

尚、登場人物はすべて架空の人物です。

地方大会も終わり、今週末は全日本ジュニアの県予選である。

 

この試合は地区予選はなく唯一県大会からある大会で地区予選がない代わりに各学校、1階級に2名までしか出られない決まりとなっていた。

五郎の階級は3年生はおらず、2年生の大町さん、五郎、松木の3人で先月の地区予選で松木のみが県大会の出場権を獲得しているため、松木本人は文句なく自分は出場できると思っていた。

しかし実力では五郎が3人の中で一番強く、松木は残念ながら一番弱い、あとは誰が出るかは福岡先生の采配しだいだった。

試合の出場選手は毎回、練習中に福岡先生が道場の黒板に書いていき、その後先生の合図で黒板の前に集合して発表となっていた。

とある練習中に今回の選手を福岡先生が黒板に書きだしていった。

福岡先生が書いている間、五郎は練習中でも気になって黒板にチラチラ目をむけるも、大柄な福岡先生に隠れて全く見えなかった。

その後集合がかかり、黒板を見てみると、そこには五郎と大町さんの名前が書いてあった。

五郎はちらっと松木は見ると、納得いかない顔で不快感を全面にだしていた。

 

その日の練習後にトイレに行くと、大国と松木が先に入っていて、松木が大国に「あれはおかしい、俺は県大会に出るのに3人で県に出るのは俺だけなのに、五郎は親父が強かったからって福岡先生はひいきしている」と言っている声が聞こえてきた。

その声を聞いて、五郎はトイレに入りずらくなりドアノブから手をはなして道場に戻った。