けじめの日 | ライフイズビューティフル

けじめの日

今井くんと付き合い始めて三日ほどたった時
「俺の家も彼氏の家も近いからずっと怯えて暮らしていくのは嫌じゃない?彼氏とちゃんとけじめ付けたほうがいいと思う。俺もついていくから一緒に行かない?」って言われた。

私もずっと考えていた。バイト先や、周りの人に迷惑をかけるようなことになるかもしれない、
ちゃんと別れたわけではない。
逃げただけ。

外出も怖かったし
新しくバイトとか見つけても
堂々と外出して働けないんじゃないかとか考えてた。

いつまでも逃げてばっかりじゃダメだ。

でも今井くんとケンに会いに行くことはできない。
私は考えて
「一人で行きたい。今日携帯を買いに行く。今日全部新しく生まれ変わってみる」って言って
すぐに携帯を買いに行った。

今井くんにだけ教えてその足でケンの家に行った。

ケンのいえにいくまでの道は今井くんの家からあるいて10分もかからない。

怖かった。
逃げ出したくて足もガタガタ震えた。手にいっぱい汗をかいてた。

ケンの家の前で
立ち止まって一歩も動けなくなった。
明日にしようか、行ったことにして帰ろうか、
考えていた。

でも新しい携帯が鳴った。
今井くんからのメールだった。
「頑張って」それだけ。でもそのメールに背中を押されるように玄関まで進んだ。

チャイムを鳴らした、玄関は思うより早く開いてケンが立っていた。
ケンは私の顔を見て、涙を浮かべた。
「どこに行ってたの?」弱くてケンの声じゃないみたいだった、
久しぶりに聞いたケンの声だったけど

私が依存して好きだったケンはもういない

「けじめつけにきた。あと荷物取りに来た。」って行ったら

「話そう。」と言って中に通した。
私は最後に殴られる覚悟だった。
でもケンは
「別れたいの?俺、ゆうきがいない間ずっと反省してたよ?もう絶対傷つけたり手を挙げたりしないからまたやり直そう」と言った。
ケンは泣いてた。

三年以上も一緒にいた人
涙はやっぱり心に痛い。

でも私は生まれ変わってココに来たんだと自分に言い聞かせて

「もう無理だよ。」と言ったら
ケンは私を壁に押し付けた。
「殴ればいいよ。蹴りあげたらいいよ。どこにも行かないように骨を折ったらいい。
でももう私はケンの所有物じゃない。
殺されてもこの家を出て行くから」

って言ったら
ケンは泣きながら
私の目の前に土下座をした

「ゆうき…そんなこと言わないで…俺…お前がいなくなったら…どうやって生きてけばいいんだよ…いなくなんないでよ…ずっと…お前がいない毎日…辛くて…心配で…なんもできなかった…もう許して…」って大泣きした

私がケンを見下したのは始めてだった。
いつもケンの後ろを歩いてケンの下部だった。

大泣きするケンに
私は
「私がそうやって、やめてって泣いた時ケンは殴るのやめてくれた?ケンには一生痛みなんかわかんないよ。私が友達と旅行に行きたいって言った時も行かせてくれなかったし、気にくわないって殴ったじゃん。私の三年返してよ!殴られたことも私の痛みもケンに返してあげるよ。私だって普通の女の子だったんだよ。今、それを感じてるんだよ。もう戻れない。」って言って
私も泣いた。

ケンは
頭を上げないで泣いてた。情けないほど大泣きしていた
自分の荷物をまとめていた時に
ケンがバイトの初給料で買ってくれたマリーちゃんのぬいぐるみを眺めた


ケンも優しかった。
私を独占する時は殴ったけど、私のためにしてくれたことはたくさん感じてた。

私もいけなかったのかもしれない
ケンをそうさせた私もダメだった。ケンには言わなかったけど私はケンの泣き崩れた姿を見てそう思った。
もうやり戻せないけど、私がもっとケンに痛みを教えたらよかった。

「ごめんねケン
失うことは痛みなんだよ。
もっと思い出作れたらよかったね。
私はケンといれたこと後悔はしないから。次。彼女ができたら大切にしてあげて。失わないように守ってあげてね。」
って言ってマリーちゃんを袋に詰めた。
二人の物が多い。
私だけの物なんて少なくてすぐに荷物が詰め終わった。

ケンは泣き崩れて立ち上がらない。
私は荷物を持って玄関に向かった。

ケンは泣きながら
「どうにかならないの?俺の罪はゆうきに償えないの?」って言ったから
「私を失うことが償いだと思う。」
って玄関を開けて最後に振り替えてケンの部屋を見渡した。

私が馬鹿だった。
いっぱい泣いた部屋だけどいっぱい笑った部屋。
ケンとずっといた。

もう来れないから
目に焼き付けて玄関を閉めた。

ケンの叫び声が聞こえた。
戻って抱きしめてあげたかった。
まだ好きだった。

本当は大好きだった。何度も何度も逃げる機会があったのに逃げなかったのは私だった。

愛していたから。

どこから狂ったんだろう。
ごめんね。
愛してるよケン

軽い荷物を持って
マリーちゃんのぬいぐるみを出して抱えながら
人目を気にせずぐしゃぐしゃに泣きながら今井くんの家に戻った。

今井くんは
殴られなかったか心配しながら泣く私をずっと抱きしめててくれた。

でも私はずっとマリーちゃんを抱きしめてた。
痛い痛い。
21歳最後の冬。