自慢ではないが、私は小さい頃から胃腸が強かった。高校生くらいまではあまりお腹を壊すこともなく、嘔吐等ほとんどなかった。

社会人になって、食生活が不摂生となり、最近は年齢のせいか、ニンニクや油を多量摂取すると胃腸の調子が悪くなることはあったが、トイレに行くとすぐに改善。嘔吐にあっては若い頃にお酒を飲みすぎた時以外はほとんどした事がなかった。

そんな私が、この日の朝は腹痛と嘔吐から始まった。


朝5時30分。下腹部痛と便意で起床しトイレに行く。便意はあるものの、中々排便できず、一度ヨーグルトを飲んだ。直後から腸が“ギュルギュル”となり始め、再度トイレへ。

少しだけ便が出たと思ったら、今度はとてつもない胃の痛みに襲われ、脂汗が止まらない。すると今度は激しい吐き気が襲ってきたため、嘔吐。あまり呼びたくなかったが、堪らずにナースコールを押下。

看護士『どうされました?』

トイレ内でうずくまりながらも事情を説明。カロナールを渡されるが、案の定嘔吐。

『そりゃ出るよ…』と思いながらも痛みが治まるのを待つ。少し落ち着いたところでベッドへ移るが、また激痛がやってくる。

再度ナースコールを押すと看護士がきて、経過を説明。すると医師を呼んでき、痛み止めの点滴をしてくれた。すると、徐々に腹痛は改善。 点滴の即効性を体感した。


様子を見ていたところ、昼前にはやや改善したが、胃痛があり昼食はほぼ食べれなかった。

恐らく、これまで便秘知らずの私の腸が、3日程の便秘に驚き、悲鳴を上げていたのであろう。便秘持ちの方々は呆れてると思う。『3日ごときで…。』と。


夕方シャワーの時に鏡を見た。すると、上半身の異常なむくみに気づく。なんだかプロレスラーのようにパンパンになっている!!

先生に相談したが

医師『足のむくみはないので、少し様子を見ましょう。』

と。

自分の中では、上半身のむくみがなんだか胃を圧迫しているように感じたため、利尿剤等で対処してほしかったのだが…。無口の主治医に少し不安感を抱いた。


この日の夜は、本当は高校時代の友人と飲みに行く予定があった。

みんなには『急遽入院する事になったから、飲み会欠席するわー🙏ごめんねー🙇』とだけ伝えてはあった。

21時過ぎに飲み会中の友人に連絡。私も少しは参加した気分になりたかったため、ビデオ電話を繋いでもらった。

向こうは2軒目のお店らしく、カラオケも出来る居酒屋個室のもよう。みんな笑顔で楽しそうだ😊すぐに軽いテンションで問われた。


友人『本当に入院してるじゃん✋(笑)てかどうしたの?なんで入院してんの?』

私『いや、実はさあ。』

楽しそうな雰囲気を壊すのは嫌だったけど、隠していてもいずれは伝わると思い、続けた。


私『ちょっと前から体調悪かったんだけど、病院行ったら病気が見つかって。白血病だって。』

友人『…えっ?マジか…。』


病床でベッド上の私の姿が映っているからなのか、不意を突かれたのか、『冗談でしょ?』と誰も疑わなかった。カメラを通してだが、一瞬にして向こうの空気が変わったのを感じた。

それから病気に至った経緯や今後の治療予定等を話す。

さっきまで雰囲気から一転。冷めきった空気感が嫌で思わず突っ込んでしまった。


私『いや、急にテンション下がりすぎでしょ!ちょっと元気だしてよ!!』

友人『いや、こっちが驚きすぎて声出んわ。』

なんだか雰囲気をぶち壊したようで申し訳なかった。


その後、話しているうちに私の元気そうな姿を見て安心してくれたのか、少しずつみんな話すようになった。

私『絶対元気になって、またみんなと飲むから!その時はよろしくね👍』

私を元気づける動画を送るよう指示をして電話を切った。


『みんなを暗くするようで悪い事したかな。』そんな思いを抱き、飲み会に参加できていないことも含めて、なんだか悲しくなった。

その後、いつも通りスマホとにらめっこしていると、一通のラインが届いた。

さっきの友人とのライングループからだ。早速開くと、動画が。再生するとカラオケルームで私を元気づけるように湘南乃風を歌いながら、途中から一人は服を脱いでタオルのように回し始める。最後はみんなから『頑張れよー!!』とメッセージが。

動画を見て、笑いながらも涙が出た。

みんなの言葉に凄い勇気づけられる。

『絶対に治そう!』って改めて強く思うようになった。

高校生の時から20年近く経過したが、それでも未だに付き合いのある“ツレ”の存在が大きく、特別な存在なんだなと感じながらも、入院4日目は終わった。


続く…。