約15年程前、私より6つ程年上の同期が心臓を悪くした。筋力トレーニングや持久走、過度のトレーニングをした後に動悸や胸痛を発症。病院を受診したところ、『心房細動』と診断。


心房細動とは、何らかの拍子に、脈が不規則になる不整脈という病気の1つで、心房が細かく動いてけいれんしている状態を指す。時間経過と共にけいれんは治まるのだか、稀に治まらずにそのまま心臓停止に陥る可能性のある病気でもある。


そんな心臓の病気を過去に経験した同期が、今は同じ所属の上司にあたる。


6月18日。

この日は勤務日であり、上記のことを思い出した私は相談した。


私『唐突なんだけど、〇〇さん(同期の上司)って、昔心臓悪くしてましたよね?あの時ってどんな症状あったんですか?』

同期上司『なんか少し動くと、時折心臓がバクバクするような動悸がするんだけど、少しすると収まるんだよね。』

私と同じ症状である。

私『病院行って、結局手術したんですよね?』

同期上司『アブレーションしたよ。』

アブレーションとは、血管を通じて心臓にカテーテルという管を挿入し、不整脈の原因となっている部分を心臓の内部から焼き切る治療である。

同期上司『でも、別にやらなくても良かったかなって。なんか若い人とかは特に手術せずにも薬飲んだりしたら勝手に治るらしいよ。』

なんだか心強い言葉だ。

続いて最近の自分の体調不良を相談する。


私『最近、少し走ったりするだけで、動悸と息苦しさが治まらないんですよね。僕もヤバいですかね?』

同期上司『もう30後半でしょ?そりゃなるわー。俺もすぐハァハァしちゃうよー。』

やはり私の考えと一緒、年齢の影響であると言われて納得する。

私『本当に大丈夫ですか?心臓止まらないですか??笑』

同期上司『大丈夫、大丈夫。そんなもんだって。』

私『ですよねー!いつまでも若い気でいましたわ!ちょっと様子見よっかなー😊』

過去に心臓を悪くした経験者の意見は妙に説得力があり、またまた病気受診を先送りにしようと思う私であった。


6月19日。

私の通勤手段は基本は自転車、前日降雨があったりすると、10キロ程の道のりをランニングする。

勤務明けの朝、この日は先日からの体調不良もあったため、近くの駅から電車で帰ることとした。

直近の駅まで約1km弱。走り出した私はまだ心の中では『体が慣れてないだけ』と思っていた。

案の定少し走ると息苦しくなる。ただ、下り坂が多かったからかこの日は1km近くは走れた。

『これは!体が暑さに慣れてきたのでは!?』

ハイパーポジティブな私は調子に乗って直近の駅を通り過ぎる。

しかし、平面や登り坂になるといつもの動悸がすぐにやってくる。その都度ウォーキングを挟み、職場から2.5キロ程離れた駅から電車に乗車し帰宅した。


帰宅し、シャワーを浴びた後にリビングのソファに座り、妻に相談する。

私『やっぱり走るとすぐ調子悪くなるなぁ。ボチボチ体も慣れてくる頃なんだけど…。』

妻『やっぱり病院行った方が良いって。あのアザも絶対おかしいし…。私病院調べるよ。』

そう言われ、『これのこと?』と言いながら右の太ももを確認する。すると、前日の内出血がまた更に広がっている。

妻『やっぱりおかしいって!!』

確かに異様な程の内出血だ。それに加え、シャワーの時に口の中にまた血液が溜まっていたのを思い出す。これまでは循環器(心臓系統)の病気を疑っていた私だったが、この2つの共通点として、少し異なる病気を疑い始める。

『口の中にしても内出血にしても血が止まらないって事は血液に異常があるのかな?』

ソファに座りながら、血液検査を出来そうな近くの病院をスマホで調べる。

すると、家から約1km付近のところに、血液内科と謳っているクリニックを見つける。しかも、レビュー評価は4.5/5!!

『この高評価なら!自分を安心させるためにも!!』

早速クリニックに電話する。


私『先日から〇〇〇〇の症状があって、そちら受診したいんですけど…。』

受付『こちらで診ますよ。ただ、今日は午前診だけで受付12時までなんですよ…。』

時計を確認すると時刻は11時45分。

ホームページには即日で血液検査の結果もわかると記載されていたため、安心感を求めていた私は『今すぐ行きます!』と返答。

そこから直ぐに妻に車で送迎してもらい、病院到着。時刻は11時58分。


私『先程電話したものですけど…。』

受付『あっ、まだ大丈夫ですよ。』

待ち合いには患者さんは1人しかおらず、午前業務終了の空気を肌で感じながらも、『間に合ったー💨これで安心して今日も夜まで過ごせる😊夜は何を飲もうかなー🍻😆』

待ち合いで待機しながらも今日の午後と晩酌の予定を立てる私。

この時はまだ、ここから長く、衝撃的な1日が始まるものとは思ってもいなかった。


続く…。