スタバの裏のコインパーキングに車を預け、急ぎ
足で向かった店内に、しかし彼女の姿が見当たら
なかった。
ここにくれば当然にあの人に逢えるものと思い込
んでいた浅墓な僕は、目の前につきつけられた事
実に愕然とした。
(あ、そうか、彼女は今日、休みなのか・・・)
動揺しながらも諦めきれずにレジに近寄り、よく
よく中を見回してみたのだけれど、やっぱり彼女は
どこにもいない。
ひどく落胆したせいか、軽い眩暈に襲われた。
頭の中が瞬間、真っ白になる。
(いや、でも、待て待て。ま、まだわからないさ。)
僕は慌ててそう思い直した。
(もしかしたら今、彼女は休憩時間なのかも、だ!)
そうなのだ。
彼女の不在を、すぐに認めてしまうわけにはいか
なかった。だって、諦めてしまうのは、僕の感情は
あまりにも強く彼女の姿を求めていたから。
仕事が手につかない僕のこの状況をどうにか緊
急回避するためには、一目でいいのだ、どうしても
彼女の姿が必要だった。
「ご注文が決まりましたら、どうぞー」
と笑顔を作る、あの人ではない店員に、僕は本日
のコーヒー(ホット)のショートサイズを注文し、店の
奥の席に腰を下ろした。
どうか、休憩時間であってください。
コーヒーを啜りながら、そう祈る。
レジカウンターの奥にあるスタッフルームの扉。そ
こから忙しそうに出入りする店員の顔を眺めながら、
今にもあの人が出てくるのを、心待ちにしていた。
お願いだから。
一目でいい。
一目でいいのだから。
彼女の姿を見せてください。
結局、1時間ほどそうした後で店を出た。
あの人の姿を、僕はみることができないままに。