伸びてきた両手で腰を押さえつけられて
逃げることもできない、けど
視線だけは外さない。
どんな表情してるのか全部見逃したくなくて
ジーット見つめてる。
笑ってても、真剣な顔してても
したい事はひとつなんだよね?
身体を背もたれギリギリまで引いてても
触れてくる手は、遠慮を知らない。
合わせたブラウスは
今すでに肩からズリ落ちてる。
腰か脇腹き伝う指の感覚が、でもこそばゆくて
体制を整えようと身体を起こしても
逆に距離が近づいてしまうから
これ以上、動けない

あたしの肩を掴んでそのまま強く背もたれに押し付けて
いつものように口の端を少し上げて、イタズラな笑顔
息が届く距離までゆっくりと近づいてくる。

このまま目を合わせてたら
じっとしていられなくなる。
やわらかそうな前髪をそっと掻きあげたり
そのくちびるに、噛み付きたくなったり…しちゃう。
そうならないように目を閉じたのに。
彼の指が肩からうなじにそっと這うだけで
そこからの熱がすぐに全身に回って思わず声が漏れた。

「…ユキ?」
あたしの反応を面白がって
耳朶を食み、そして舌でなぞられると
堪らなく…なっちゃうでしょ。
思わず彼の胸元にしがみついて
「待って」
って言っちゃってる。
待って欲しくなんてないのに。

うつむくと、ソファーに落ちてる自分のブラウスが
視界に入ってくる。
あたしだけ脱がされてるよね。
なんか悔しい…。
その気持ちだけで彼のTシャツを強く引いて脱がそうと企てる。

「あたしだけこんなんじゃ恥ずかしもん」
って拗ねスネ風に言ってみる。
「恥ずかしいの~?」
「当たり前でしょ?」
「…分った」
そう言うと、勢いよく上着を脱ぎ捨てて
「これでいい?」
って…大げさに両手広げてる。
ドキドキしてるから直視できないの分ってるクセに

正面から抱きしめられると
思ってたより筋肉質の腕が男らしくて
居心地がいい。
直接触れ合った肌からは
彼の鼓動が一層近く感じられて
胸が苦しいよ。
こんなに側に居るのに
目の前にいるスンリが恋しくて苦しい。

だからあたしからキスをする。
苦しい気持ちを直接ぶつけたら

少しは楽になれるはず
そして、もっと彼を知りたい…。

彼の肩に手をかける
もちろんキスは続けたままで。
首に抱きつくと彼はあたしの身体を強く引き寄せ
ソファーから身体を浮かせたまま
器用にスカートを脱がせてしまう。

「また、ずるいよ、自分だけっ」
って言って下唇に噛み付いたら
「ん~」
って良くわかんない返事してくる。
「スンリもこれ…」
と彼のベルトに手をかけると
「じっとしてて」
と穏やかな声で言われて何も出来なくなる。

彼は自分のベルトを引き抜いてボタンを緩めてる
けど脱いでるわけじゃない。

あたしの胸にそっと触れながら
くちびるを押し付けてくる。
「気持ちいい?」
と胸元で囁かれて。
触れている手はそのままで
彼の舌に胸の先を捕らえ瞬間
身体の熱が疼きに変わる。
ゆっくりとした舌の動きに身体が震える。
強めに胸を掴まれて、少し痛いくらい舌で責められても
押さえ切れずに声が出てしまう。
右手は彼女の内股から
薄い布で隠された場所にまでゆっくりと滑り
ユキの反応を楽しんでいる。
「ねえ気持ちいいって言って?」
って聞かれても頷くのが精一杯で
不意にくちびるが奪われ、深く探られる度に
彼のことだけを感じられる幸せに泣きたくなった。

離れるくちびる。
触れ合っていた肌からも
体温を感じ取れなくなって初めて
彼が側にいないことに気付く。
そっと目を明けようとするより前に
大きな布がそっと身体に掛けられると
「じっとしてて」
と彼の声が振ってくる。
布越しに彼があたしを抱き上げて
運ばれた先はスプリングのきいた大きなベット…。
身体に掛けられた布は真っ白なシーツで
もぞもぞともがいてそこから顔を出すと
すぐ目の前に不貞腐れた顔の彼。

あたし、なんかイケナイコトしちゃった?

心配がモロ顔に出ちゃってたよね?

目の前に投げ出されてる大きな彼の手
そっと指を絡めると
そのまま強く引っぱって来る
逃げられないように足まで絡めてきて
それでも不機嫌な表情はそのままで…。
「嫌なら何もしないから安心してて」
って…。

上手く答えられてなかった。
気持ちいいって言えなかったけど。
キスで感じてくれてるって思ってた。

「スンリ?」
彼の頬に手を置いてそっと顔を覗き込むと
何も映さない瞳であたしを見てる。
キスをするけど反応してくれなくて苦しくて
「好きなの」
って始めて口にしていた。

「ほんとに?」
「うん、でももう言わない」
「なんで?もっと言ってみて」
って何度もこういうの言わせたい人なんだね。

「気持ちのこもったキス、もっとしてくれたら言ってみてもいいけど~」
って言うと。
嬉しそうに顔近づけてきて
「はいチュゥ~」
って口とがらせてるから笑っちゃうw
迫ってくる彼のキスから逃げてキャッキャ言ってる
そういうのが今は楽しい。

彼の気持ちはわからないけど。
自分の気持ちは、もう隠せないから。
これからは素直に行動しちゃうので
覚悟しててね。



☆★☆END☆★☆