昨日からおっかしなメールしてきてるよね。
「今日は仕事早く終わるの?明日は?」
とか・・・さ。
「今日は残業決定だよ、明日は明日にならなきゃわかんないけどね」
って適当に返してみた。
今日は今日で聞いてもないのに
「俺午後からオフ~」
って一行だけ。

変だって!

予定聞くのはいつもあたしの方で
忙しいと返事くれない事も多くて
それに前もってオフって教えてくれたこと無かったよね?
だから何人も居るんだって思ってる。
友達以上恋人未満な女の子が何人もね、で休みの当日
自分の会いたい子にだけ連絡取ってるイメージ
確信はないけどそんな気がしてた。

そっか、スンリは午後からオフなんだ
何が言いたいメールなのかはわかんないけど
こっちは残業になりそうな予感・・・。
「仕事終わってからなら逢えるかも」
って返信したいけど。
何時に終わるかはわからないし
待っててくれそうもない。
『それなら他の子誘おう』
って思われるのが一番嫌だから
返事はしないって決めた。
でも逢いたい気持ちは消えてくれなくて
今日逢う約束してる訳じゃない…。
ケド、仕事は速く終わらせて、連絡したらもしかして…。
ってついつい考えちゃってランチも取らずに仕事してるあたし。
でもさ、絶対他の予定入れちゃってるよね

あぁぁ凹んできたぞ~。
それでもいいんだ。
目の前の仕事して終わったらメールしてみる。
そのことだけを考える。
流石にお腹が減ってきたので
買い置きお菓子を食べながら
甘めのコーヒーを何杯も飲んで誤魔化して。
やらなきゃならないこと全部を
超人的な速さで終わらせて時計を見た
と同時に、終業のチャイムが鳴り響く。

デスクの回りを慌てて片付けながら
「仕事終わったよ~何してるの?」
と右手でメールを打ちつつ、左手でカバンを掴んだら
「お先に失礼します」
と勢いよく外に飛び出した。
でも、どうしよう。

約束してるわけでもないし
待ってくれてるハズもない・・・。
なのに、もしかして会えるかもしれないって
一方的な気持ちだけで行動しちゃってる。

追い討ちをかける様に、急に雨が降り出して
会社の置き傘を取りに引き返そうか
迷い始めた途端、彼からのメールが届いた。

「雨降ってきたからむかえに来て~」
と甘えたメール。
「今ドコにいるの?」
と返すとすぐに電話が架かって来て。
「駅前のカフェだよ」
って楽しそうに話してくる。
「駅前?ココの最寄り駅?」
「うんうん」
「そこで何してるの?」
「ん?待ってたんだけど、もしかして都合悪かった?」
「!!!!っそんなことない!」

駅前のカフェに着く頃には
雨はすっかり止んでしまって
傘なんて必要なくなってた。
あたしの姿を見つけてカフェを出てきた彼が
「雨止んじゃったね」
と残念そうに言いながら
そっと傘を持ってくれる。

「七夕だから晴れてた方がいいよ」
とあたしが言っても
「う~ん」
としか言わない。
「何なにナニ?ふたりでひとつの傘さして歩きたかった、とか?」
思いつきで言ったのに
ニカっと嬉しそうに笑って
「そーそー」
と素直に認めるから、こっちが恥ずかしくなっちゃうよ。

傘を持ってくれたのと同じように
そっと手を伸ばしてきて
当たり前のように繋いでくる。
そしてその手をブンブンと大きく振りながら
「今日はユキの行きたいトコに行って、したいコトしよう」
って!
それってそれって!!!!