Fuyuko Matsui 松井冬子 | 途中下車前途有効 Ameba Version

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第1389回 Fuyuko Matsui 松井冬子
 

 『かつて、幽霊画は一種の厄払いの装置として機能していたという。現代において、松井冬子 の絵を一度でも観た者は、そこに描かれた「痛み」「恐怖」「暴力」に視覚神経から感染し、覚醒する。それは厄払いか、輪廻の環か? そして、彼女はなぜ、このような絵を描かなければならなかったのか。』とは08年1月号「美術手帳」誌『特集 松井冬子 ~絵画に描かれた痛みと贖罪~』のリード文。その松井冬子が公立美術館では初の大規模個展を開催し話題をよんでいる。今日は松井冬子の絵との対話です。お好きな方はお楽しみください。
*3月18日まで松井冬子展ー世界中の子と友達になれるー 」開催中。横浜美術館(西区みなとみらい3-4-1)電045-221-0300






世界中の子と友達になれる
2002年/絹本着色・裏箔・雲肌麻紙
この絵の題名とした「世界中の子と友達になれる」という
絶対的に実現不可能な狂気のイデアを
私は幼児期に確信したことを記憶している。
誇大妄想に等しい全能的思い込みではあるが、
今でも私の心的窮状を鎮める呪文、
琴線を震わす言葉としてあてはめた





優しくされているという証拠をなるべく長時間にわたって要求する
生まれたばかりの赤児が最初に母親に求めるものを示した。
2004年(平成16年)絹本着色、軸 55.3×47.5cm





夜盲症

情念と重力には共通の関係を見いだせる。「落ち込む」という言葉通り、
心理的な外傷にさらされた場合、心は重力に引っ張られるように落ち、
這い上がれない。パラドクスのようだが、幽霊は重さを伴いながら浮遊する。
幽霊の浮遊がただふわふわしたものではなく、情念を伴った
重力感のある浮遊であることが、この上なく魅力的な素材であると感じた。
2004年(平成16年) 絹本着色、軸 29.5×79.3cm (財)平野美術館寄託





浄相の持続
「私はこんなに立派な子宮をもっている」という攻撃的な態度は、
自傷行為の原因となる防衛目的から発現した破壊的衝動である。
私はこの女に対し自己投影し同一視している。
また彼女の周りに咲く花々も、彼女に同調するように切断し、
雌しべをみせびらかしている。私はこの作品に共感し、
同調しうるであろう女性達に向けて作品を制作した。
同調に関しての優れた能力は、卵をつくる、分身をつくる、
という子宮を持つ者の強い特権であるからだ。
2005年(平成17年) 絹本着色、軸 138.4×49.5cm 個人蔵
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松井冬子(まつい ふゆこ)
 日本画家。東京芸術大学美術博士。1974年1月20日 静岡県森町に生まれる。1994年女子美術大学短期大学部造形学科油彩画専攻卒業。 後、東京藝術大学美術学部入学。
2002年、東京芸術大学美術学部日本画専攻卒業。
2007年、東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域修了。博士論文「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」で博士 (美術)号取得。 女性、雌に焦点を当て、幽霊、内臓、脳、筋肉、人体、動物を題材に採った作品を発表している。絹本に岩絵具を用いて描く。







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