1.伊豆半島 河津七滝(かわづななだる)ループ橋

 

国道414号、天城峠の南側にある河津七滝(かわづななだる)ループ橋は、全長1064m・高低差45m・直径80mの、大迫力の720℃二重ループ橋です。

 

 

規模が大きくて、橋梁とトンネルと土工部でつなぐニ重ループの奥出雲おろちループと異なり、橋梁のみの二重ループはグルグル感が増します。橋脚の迫力も半端ない!

 

 

なぜ?このようなループ橋ができたのでしょうか。

それは、1978年の伊豆大島近海の地震の影響で、道路が崩落したことにあるそうです。[

 

 

このときの土砂崩れの教訓を生かし、安全な通行を確保することを目的として、大きな高低差を限られた範囲でつなげるループ橋を採用、1981年に完成しました。

 

 

 

この橋は土木学会田中賞を受賞しています。

土木学会田中賞とは?

関東大震災後の首都の復興に際し、帝都復興院初代橋梁課長として永代橋・清洲橋(隅田川)といった数々の名橋を生み出した田中豊博士に由来しており、1966年土木学会が橋梁・鋼構造工学での優れた業績に対して設けたものです。田中豊博士は当時の橋梁・構造工学界の権威者であり、あげられた業績は文字どおり日本の橋梁界、鋼構造界の育ての親と呼ばれるにふさわしい方だと言われています。毎年多くの橋が受賞しているので、受賞価値については少し疑問符(受賞が多すぎる)がつきますが・・・

 

 

現在駐車場になっているループの中央部に巨大なクレーンを立てて、分割した橋梁を吊り上げながら下から順に造っていったそうです。

 

 

走ってみるとこんな感じです。

片道1回、往復1回と3回も走行させていただきました。

 

 

3階建てって言う感じです。

 

 

 

その他代表的なループ橋

・埼玉県と山梨県を結ぶ国道140号「彩甲斐街道」の雷電廿六木橋(らいでんとどろきばし)

・北海道の朝里スカイループ

・岩手県国道343号の小黒山ループ

・大阪市の木津川河口にある千本松大橋の二重ループ(両端)

・大阪市の木津川河口にある新木津川大橋の三重ループ(両端)

・奥出雲おろちループ

・国道221号の人吉ループとえびのループ

高速道路のインターを含めると全国にいっぱいありますが・・・これくらいで

 

 

2.蓬莱橋(大井川)

 

大井川にかかる蓬莱橋(ほうらい)は、全長897.4m現役の木造歩道橋です。

通行料金は100円。渡っている人をみているとほぼ観光客ですが、現在も農道として利用されており、貴重な歴史的土地改良施設としての役割を担っています。

 

 

橋名の由来は、徳川家達が牧之原台地を宝の山を意味する「蓬萊山」に例えたということだそうです。

お散歩気分で歩いて渡るには丁度いい距離です。

 

 

箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川

子供心に、大井川は東海道屈指の難所という印象が植え付けられたのですが、取水のために現在は水量の少ない川で、通常時は橋がなくても渡れそうな川となっています。

 

 

木造橋は維持管理されているとは言え、結構危ない箇所がありました。そこが良いところなんですが事故がおきれば大きな騒ぎになるのでしょうか・・・

 

 

東海道最大の難所として名高い大井川、技術的に未熟だったことや様々な目的(軍事的な面が大きい?)から、架橋や渡船は許されておらず、川を渡るためには川越人足に頼るしかなかったそうです。その方法は、肩車、連台越しという複数人の川越人足と台車からなる方法、二人の川越人足が持つ棒に捕まる棒渡し、武士のみに許された川越人足が馬を引き乗馬したまま川を渡る馬越しなどがあったようです。

 

 

その大井川に、1879年(明治12年)に架けられたのが蓬萊橋で、架設後は大井川の氾濫で幾度も被害を受けたため、1965年(昭和40年)に橋脚部分だけはコンクリート製になりました。その後も2000年、2003年、2007年、2011年と3~4年毎に橋脚流失などの被害を受けており、近年の豪雨災害を考えるとこのままでの存続は難しいのではないかと心配してしまいます。

 

 

歩道橋とはいえ橋脚は頼りない感じです。

 

 

高水敷には木の橋脚が残っています。

 

 

構造は単純です。

 

 

積み木の感覚?

失礼いたしました。永遠に残ってほしいですね。

 

 

3.静岡県道381号島田岡部線 大井川橋

 

新潟市阿賀野川の泰平橋(橋長932m、14径間連続のプラットトラス)にそっくりな旧国道1号の橋長1026.4m、17径間連続のプラットトラス橋です。この橋の歴史は、1870年(明治4年) 川越人足廃止に伴い渡船が運行開始され、1875年(明治9年)には木製の仮橋がかかるものの増水で流されました。1883年(明治16年) 本設の木橋が完成するものの1895年(明治29年) 増水で流失し、渡船が復活。その後1928年(昭和3年)このトラス橋が完成し、2003年(平成15年) 土木遺産になりました。

 

 

4.東海道本線 大井川橋梁


下り線は1888年(明治21年)竣工、上り線は1959年(昭和34年)開通、下り線の橋脚はレンガ造、上り線の橋脚はコンクリート製となっています。

 

 

橋長は1018m。下りの橋梁が2023年(令和5年)土木遺産に認定されました。

 

 

土木遺産に認定された下り線の大井川橋梁(大正時代に製造)は、リベットによる剛結合の曲弦プラットトラス桁で歴史的価値の高い橋梁となっています。

上りと下りで歴史的価値が違いますが、17径間のトラス橋が二つが並んでいる姿は圧巻です。東海道本線の列車の先頭かぶりつきがおすすめです。

 

 

静岡県の川はどの川も川幅が広く、橋梁王国といっても過言ではないと思います。