1.飛島は日本の中心?
ブラタモリの酒田編で紹介された「山形・酒田はなぜ日本の中心に!?」
もう忘れてしまいましたが、たしか番組では、飛島の自然や歴史について紹介されていたと思います。飛島は、かつて「日本の中心」と言われるほど繁栄した北前船の寄港地であったことから、そのような表現がされたのかもしれません。
なぜ?これほ小さな島が繁栄したのでしょうか?SUPをこぎながら少しだけ考えていきたいと思います。
酒田港から「とびしま」で1時間15分、距離は39kmです。
今朝は、昨日からのうねりが残っていたせいか、船の揺れがきつかった・・・
島の少ない日本海にこれほど良好な寄港地があれば、近くを通りかかった船はみな寄りたくなりますよね。特に海が荒れた日は・・・
2.館岩の西から島をSUPで1周
日本海では珍しく、西海岸にはうねりが届いておらず勝浦港の西側にある館岩の西の小松浜海岸から島をSUPで1周することにしました。
ここにある舘岩があることで、北西の波風をブロックし、飛島に天然の良港ができたことがわかります。今日は珍しく西側の海岸が穏やかで、SUPに最適な条件となりました。昼過ぎには北東うねりもおさまるはずです。
舘岩の西にある百合島はウミネコの繁殖地で国指定の天然記念物となっています。
このあたりの岩は流紋岩が多いようです。
烏帽子群島と御積島にいきたかったのですが、帰りの船の時刻を考えると余裕がないので今回は見送りました。
鳥海山の山頂が噴火によって吹き飛んで島(飛島)になったという伝説がありますが、飛島は約1000万年前に海底噴火によって形成され、奥尻島まで続く海底山脈の一部が海面上に出て島となったといわれています。
このあたりは、沖まで水深が浅く(20cmくらい)、島の形状をみてもなんとなく平らな層がいくつもあるのがわかります。
調べてみると、この島は標高50m以上、40m、20m、5mの段丘、海岸低地面、海蝕台からなり、ほぼ扁平な台地上の地形になっているようです。
海の透明度は抜群、梅雨時ですが最上川(濁流によるにごり)の影響もありません。
イシダイの正面顔の撮影に成功しました。このイシダイに「海ゴリラ」という名前をつけさせていただきました。なかなかの面構えです。
横から見るとこんな感じ。このイシダイだけやたらと顔が黒いのです。
飛島の海は対馬暖流の影響で、東北なのに暖かいのです。年平均気温も12℃と、先月まで山スキーをしていた対岸の豪雪地「鳥海山」とは対照的です。
北端の岬「八幡崎」を越えるとその「鳥海山」が・・・
鳥海山を見ながらSUPを漕げるなんて、なんという幸せか・・・
まだ少し波が残っていたので、少し戻って八幡崎に上陸してお昼ご飯にしました。
飛島の北側の海岸線は道がないようで、人影はゼロ。
飛島の自然を独り占めです。
この美しい海岸ですが、実は・・・・・
3.飛島はゴミの島だった?
1990年代から多量の海ごみが目立ち始めたようで、同時に島の少子高齢化が進み、島民の力だけではごみの処理ができなくなり、2001年当時、飛島の海岸には海ごみが1.5mの高さまで堆積していたということです。
そこで、毎年5月下旬に海ごみを清掃するイベント「飛島クリーンアップ作戦」が開催されるようになりました。
毎年100人のボランティアが結集し、高く積み上がった飛島の海ごみがすべて回収され、元の砂浜が見える状態になったのは10年後の2011年のことだそうです。2012年以降は毎年新たに流れつく海ごみを清掃しているそうで、このように気持ちのよい空間を独り占めするのは、感謝とともに、なんとなく申し訳ない気分です。
トビシマカンゾウが咲いていました。
海のブルーと山のグリーンとイエロー、最高ですね!
ウネリがおさまり、北東海岸をクルージング。
ここにも数々の無人島があり海岸地形が楽しめます。
飛島には、新第三紀の地層と第四紀の段丘堆積物などが分布しており、新第三紀前期中新世末期(約1700万年前)に相当する飛島層の凝灰質シルト岩部層からは、ウルシ、カエデ、ハコヤナギ、ヤナギなどの植物化石が産出しているそうです。
波食棚に守られているからか、日本海の海岸としては洞窟が少ない印象ですが、そのような地形だからこそ、天然の良港として発展したといえるのではないでしょうか。
寄港地でなくなった現代、過疎化と島の衰退は止められないと思いますが、関係人口を増やすことは可能であると感じました。
舳倉島~佐渡島~粟島~飛島のラインに特別な魅力を感じるのはわたしだけでしょうか?