1. 伝説「雄国沼のとらんぼう」
標高1,000m以上の天空にある神秘的な雄国沼には、昔からこの沼の主の大どじょうが棲んでいると伝えられている。胴回りは仁王さまのきき腕ほどあり、口は耳まで割けて、本当にこわい化け物みたいだといわれていたが、誰も見たことがない。村の人たちは、沼の主のいるこの沼に近づくこともなかったので、沼や流れ込む小川には、たくさんのどじょうがうようよしていた。
ある日のこと、ひとりの男がこの沼に行ってどじょうすくいをしてみたいと思い、登っていった。網を入れてすくう度にいっぱいのどじょうがとれて、たちまち大きなハケゴいっぱいになってしまった。喜び勇んで家路を急ぎ、沼の峠にさしかかったときであった。沼の方から「とらんぼう! とらんぼう!」と呼ぶ奇妙な声がした。振り返って沼の方を見たけれど、誰もいない。あたりはシーンと静まり返っていて、ハケゴに入っているどじょうだけが、「キュッ、キュッ」と泣くだけだった。
男は空耳だと思って歩きだしたら、また「とらんぼう! とらんぼう!」と、先程よりはっきりした声で男に呼びかけた。あんまりどじょうを取りすぎたから、沼の主が怒っているんだなと思うと不気味になり、男はハケゴごとどじょうを坂下の川に投げ込むと、転げるように逃げ帰った。しかし、身も心も疲れ果て具合が悪くなってしまったという。
村中にこの話が伝わり、沼の主のことをいつしか「とらんぼう」と呼ぶように なったんだと。
昨年から、とりこになった雄国沼。今回で3回目です。どじょうには興味はありません。
今日は最高のコンディション、但し午後から天気が崩れそうなので午前中が勝負です。
冷え切った朝イチの会津盆地、いい感じです。
磐梯山もバッチリです。
今日の目的地、雄国沼のある雄国山が見えてきました。
裏磐梯の檜原湖付近にクルマを止めて雄子沢から雄国山を目指します。
2. 雄子沢から雄国山へ
簡単なコースなのですが、毎回踏み跡(トレース)が変わるので少し迷ってしまいます。
ただ、なんとなく歩いていると目的地に近づくので難しいコースではありません。但し、勾配が緩いので帰りが大変です。
霧氷がきれいです。
途中に滑りたいところがいっぱいあって、頂上まで行くのがもったいない???
標高が高くなると着雪がきれいです。
頂上近くにくるとエビのしっぽも
磐梯山が見えてきました。最高の景色です。
雄国沼は、以前は火山噴火に伴う陥没によって形成された陥没カルデラに水が溜まってできたカルデラ湖と考えられていました。しかし現在では、山体崩壊により生じた爆裂カルデラ内に新たに山体が形成され、そこにできた凹地に水が溜まって誕生した湖沼という説が有力となっています。
雄国山頂です。今日は誰もいません・・・
湖面の標高1,090m、周囲の山々はブナが多く、初夏にはレンゲツツジ、6月末から7月初めには沼の南の湿原地帯でニッコウキスゲの大群落が咲き誇り、この時期は大にぎわいになるようです。私は人のいない厳冬期が好きですね~
3. 大塩平左衛門、まさかの土木工事
かつては沼の面積は現在の半分程であったそうですが、江戸時代初期に大塩平左衛門がおこなった灌漑工事により面積が拡大したとか・・・まさかこの自然いっぱいの雄国沼が土木工事で広げられていたとは、まったくの驚きです。
350年前、大塩平左衛門は雄国沼からトンネルで水を引いて新田を開発したという。この土地では開村の父として村人から崇敬されているそうです。ファンドールンが猪苗代湖でおこなった安積疎水と同じようなことをはるか昔に実行していたとは、本当に驚きです。
350年前の土木工事、まわりの自然と一体になっていて、なんら問題ないんですね。
ん~考えさせられます。