1.国道が集まるところに「道路原標」あり
国道の集まるところを想像してみましょう。
①日本橋
国道が集まるところをイメージするとまず浮かぶのが東京の日本橋です。
国道1号、4号、6号、14号、15号、17号、20号と名立たる国直轄の国道7路線の起点となっており、日本国 道路原標が設置されています。
日本橋を日本国の道路の起点と定めたことは江戸時代までさかのぼり、「府内備考」にて「此橋江戸の中央にして諸国よりの行程もここより定められる故、日本橋の名あり」との伝えによるものだそうです。
②ウメシン
道路交通情報で常に登場する大阪の中心地?梅田新道交差点は、国道1号、25号、176号の終点、国道26号、163号の起点となっており、5つの国道が集まっています。意外と少ないですね・・・関西人は梅田新道交差点を愛情を込めて?「ウメシン」と呼んでいます。
道路元標(どうろげんぴょう)とは道路の起終点を示す標識ですが、設置基準については法的な根拠はなく道路の付属物の扱いで記念碑的なものとして設置されています。下の写真は新潟市の道路原標です。
2.日本で最多の国道が集まるところ、本町交差点
現在私が住んでいる家から歩いてすぐのところに、新潟市の道路原標があるのです。
国道7号:終点青森市
国道8号:終点:京都市下京区
国道113号:終点:福島県相馬市
国道289号:終点:福島県いわき市(八十里越、途中点線国道)
国道350号:佐渡島経由、終点:新潟県上越市
国道17号:起点:東京都中央区日本橋
国道116号:起点:新潟県柏崎市
国道402号:起点:新潟県柏崎市(シーサイドライン)
ここには国道の起点が5つ、終点が3つもあり合計8つの国道の起終点が集中しており、意外にも高知市の県庁前交差点と並んで日本最多となっています。地理的に新潟は納得ですが、なんで高知やねん!と突っ込みたくなります。それにしてもなんで高知やねん・・・
道路原標の由来とともに、各国道の起終点までの距離がわかるようになっています。
そこで疑問です。国道7号、8号はわかるけれどなぜ国道17号が新潟終点なの?
また、国道8号の終点がかつての日本の中心地京都で、起点がなぜ新潟なの?
更に悩ましいのが北陸自動車道(E8)の起点は米原JCTで終点は新潟中央JCT!
などなど、自宅の神戸と仕事場のある新潟を行き来するなかで様々な疑問が湧いてきます。
また、道路で仕事をするものにとって起点と終点が逆になるのはちょっとややこしいのです。
3.国道の番号の付け方
昭和27年まで1級国道といわれていた1~2桁国道(国道1号から58号まで)は東京を中心として、国土の骨格を形づくるように、順次番号がつけられました。101号からあとの路線名は、北から南へ順次番号をつけていくこと原則としており、国道の追加指定ごとに北から順番に番号が付けられているようです。国道の路線はまず、起点と終点が定められ、国道の始まりの地点を「起点」、終わりの地点を「終点」とし、「上り」は起点に向かっていくこと、「下り」はその逆の終点に向かっていくことになっています。大正時代の国道は、全ての起点が東京日本橋だったとか・・・国道8号(京都)も国道7号(青森)も東京に近い新潟が起点になったということでしょうか?
現在、起点と終点については、道路法第5条第1項に掲げる指定基準の各号で示されている重要都市、人口10万以上の市、特定重要港湾、重要な飛行場または国際観光上重要な地などが「起点」に該当し、それらと連絡する高速自動車国道または道路法第5条第1項第1号に規定する国道が「終点」となるのが一般的となっています。
4.国道の重複区間
国道17号の終点は長岡だと思っている人は多いと思います。新潟県人ほとんどがそう思っているのではないでしょうか?
道路地図を見ると一目瞭然、国道17号は長岡市の川崎ICからの表記は国道8号とされているからなのです。
国道は主要都市(重要都市、人口10万以上の市、特定重要港湾、重要な飛行場または国際観光上重要な地)を起終点として指定されています。このため、同じ区間が2つ以上の国道番号で指定されることがあるのです。このような区間を「重複区間」または「重用区間」としています。国道8号と国道17号の長岡新潟間は重複区間ということになります。つまり長岡市は主要都市ではないということなんでしょうね。人口10万人以上というところはクリアしているのに・・・
一般に道路標識や地図などの案内では、重複区間は小さいほうの番号(17号より8号)、あるいは、国道と県道の路線が重複するときは国道のほうが優先的に表示され、国道の大きい路線番号や県道の方は省略されてしまうのです。場所(田舎が多い?)によっては両方の標識が串団子のように表示されていて親切かなと思うこともありますが、逆に混乱するときもありますよね・・・
一般国道459路線ごとの延長を合計した総延長は7万7257km ですが、、実延長は6万7427 kmなのです。
つまり、それを差し引いた9830 kmが重用区間の延長ということなのです。ある意味驚きですよね・・・
延長の半分以上を他の国道と重複している路線があったり、3本や4本(新潟県魚沼市(国道17号・国道252号・国道291号・国道352号)が重複している区間もたくさんあります。
5.高知と新潟に国道が集まる理由
新潟市と同様、高知市には鏡川・仁淀川などの大きな河川が流入し、これら河川に沿って並行する道路ができたことと、徳島市・高松市・松山市など四国を代表する都市と、太平洋側で唯一の大きな都市である高知市を結ぶ国道が定められたこと。つまり、道路法上の一般国道を指定する要件である「主要な都市間を結ぶ道路」という規定によって、高知市の周辺で事実上終わる国道路線であっても、法律の縛りによって高知市まで起終点を引っ張ってくる必要があったため。と、つまり高知と新潟は山に囲まれた他地域と隔絶された地方の大きな都市という側面が国道の集まる都市になったということなんですね。
本町交差点は国道7号と国道116号しか表記がありません。なぜだろう・・・