3.11からもうすぐ10年になります。福島県双葉郡双葉町に東日本大震災・原子力災害伝承館がオープンしました。2018年にオープンした東京電力廃炉資料館とともに尋ねました。
1.東京電力廃炉資料館
福島県双葉郡富岡町にある東京電力廃炉資料館、2018年11月30日に開館しました。
元々存在した、福島第二原子力発電所のPR施設のエネルギー館を流用したものです。
現在は予約制で約1時間のガイドツアー形式になっています。
3.11の衝撃は、私が生まれ育った姫路の現場事務所のテレビで見た津波の映像から始まりました。
その直後に現場の安全協議会を開催したのですが、仙台出身の同僚がいたこともあり安全協議会には気が入らなかったことを覚えています。
あまりにも津波被害への衝撃が大きすぎたこともあり、3月14日の3号機の水素爆発くらいまで原発事故のニュースはあまり気にならず、なんとかなるだろうくらいに思っていました・・・
その後4号機の水素爆発映像の衝撃や、爆発していない2号機が最も深刻だったことがニュースなどでわかるようになり、徐々にその深刻さを感じていくことになりました。
下の写真は3号機建屋の爆発の様子を再現した実演模型
入館後は、ごあいさつパネルを呼んで放射線情報・コミュニケーションスペースで時間まで待機。
ガイドとともに2Fに移動し、原発事故の概要の説明となります。
3.11時のオブジェからシアターホールへ移動、当時を再現した映像を見ることになります。
その後は、原子力発電とは→福島第一事故の対応経過→1~4号機の事象→その時、中央制御室では→福島第二の対応→反省と教訓→あの日、3.11から今→福島原子力事故時系列と進みます。
1Fに降りると廃炉状況の説明になります。
大きな課題となっているトリチウムを含む処理水をどうするのか?
海洋放棄と風評被害、なんとも難しい問題です。
ある意味、新型コロナの問題と重なるような気がします。
F・CUBE「廃炉作業の現場」→福島第一で働く人々→廃炉への取り組みゲート→汚染水・処理水対策→燃料取り出し・燃料デブリ取り出し→労働環境改善→廃棄物処理→技術開発と研究施設の紹介→福島第一・中長期ロードマップ→廃炉現場のロボット→福島第二原子力発電所の安全への取り組み→世界の廃炉対応で終了です。
下の写真はロボットによる調査状況の説明コーナーです
土木、建築、設備、機械、ロボットなどなど、様々な工学を集結させて終わりのない?廃炉作業が続くのです。
廃炉作業にかかわりたいという若者も多いと聞いて、少しうるっときました。
40年で終わるよう、今後の技術者に期待したいと思います。
質問はあらかじめしておくと、当日答えていただけます。
廃炉作業を批判的にみるのではなく応援していきたいですね・・・というより
何かできることを考えなくては・・・
東日本大震災・原子力災害伝承館に向けて、帰還困難区域に入ります。
2. 東日本大震災・原子力災害伝承館
2020年9月に開業。東日本大震災・原子力災害アーカイブ拠点施設基本構想の一環で開館費用の53億円は全額国が負担したとかで、事実状の国立災害伝承館といったところです。
さすがに施設(建築)は立派で期待は大いに膨らみましたが、東京電力廃炉資料館と連携しているような様子はなく、もっと連携を考えた方がいいのではないかと感じました。残念ながら展示物は撮影禁止なので、写真はありません。
プロローグの大型スクリーンは、原発が果たした役割と事故後の未来について考えるコーナーで、2Fに移動して1.災害の始まり→2.原子力発電事故直後の対応→3.県民の想い→4.長期化する原子力災害の影響と続きます。その他、語り部講和・フィールドワーク・研修など多彩な内容ですが、何かが足りないと感じました。全体的に展示が無難な感じというか、広島の平和記念資料館や神戸の人と防災未来センターほど心に響かないのです。53億円かけてこれか~という落胆が大きく残念でした。
本日、オープンしたばかりの双葉町産業交流センターと合同のオープンイベントが行われていました。
堤防等の土木防災施設はほぼ完了しています。
隣にあるのは、除染で発生した土壌の中間貯蔵施設です。
復興はまだまだ・・・
福島の原発事故は日本史上最大級の事故ですから・・・
ベテランの技術者やこれからの若い技術者にもっと訴えるような内容がほしかった・・・
事が起きた後にその処理ができない施設をつくってしまった反省を・・・
技術者が社会に出る前に必ずここを訪れる、そんな施設であってほしい・・・
多くの人に訪れていただいて、いい施設になってほしいですね。
偉そうなこと言ってすいません。