11. 廃線危機の石北本線と釧網本線の駅

 

平成28年、JR北海道から衝撃的な発表がありました。

「当社単独では維持することが困難な線区」として輸送密度2,000人未満の10路線13線区を発表しました。発表された単独維持困難線区の延長は北海道の鉄道総延長の半分を超え、この中には、石北本線と釧網本線が含まれています。ある資料によるとどちらも輸送密度が昭和50年から42年間で1/5にまで減少してしまったようです。想像はできますが改めて鉄道の限界を感じてしまいます。

 

 

19歳の時、北海道周遊券とスキーを持って2週間、夜行列車とYHを宿にしながら北海道の鉄道をフル活用したのが懐かしいです。そんな危機的な状況の石北本線と釧網本線を36年ぶりに尋ねました。

 

①新旭川駅

 

1978年の乗降客数338人、2014年の乗降客数74人

大都市旭川の市街地にありながらこの乗降客数、昔から鉄道が機能していないことが明確です。そもそも都市政策(自治体と鉄道会社が連携していない)の問題ではないでしょうか・・・

旭川市規模の全国の都市では近郊鉄道が機能しているのをみると、クルマ社会の北海道とは言え、せめて旭川くらいは頑張ってほしい・・・

 

 

② 上川駅

 

1978年の乗降客数1238人、2019年の乗降客者312人

層雲峡の玄関口上川。高専時代に同級生3人がバラバラ(私は自転車、他の二人はバックパック)に北海道旅行をしてここで落ち合ったのを覚えています。

 

 

石北本線は特急列車より普通列車の方が楽しいですね。

 

 

駅構内はホームが二つもあり、拠点駅の風貌があります。

この上川駅から次の白滝駅まで37.3km、50分以上もかかる在来線で最も長い駅間距離です。

これは途中の駅が次々と廃止になり、信号場になったからという事情があります。

 

 

③ 上越信号場(旧上越駅)

 

新潟在住の私は「じょうえつ」と呼んでしまいますが、「かみこし」と呼びます。

1975年から信号場になっています。標高634mの秘境で、信号場の人員交代の様子を見ることができます。その様子を見る鉄道ファンを観察するのも楽しい?というか、ほのぼのとした感じがいいですね。

 

 

④ 旧?駅

 

信号場が多くて、旧?駅だか不明

1975年以前、上川~白滝の間に2001年廃止の「天幕」(当時乗降客6人)、2001年廃止の「中越」(当時2人)、1975年廃止の「上越」、2001年廃止の「奥白滝」(当時4人)、2016年廃止の「上白滝」(当時16人)の5駅が存在していました。

 

 

⑤ 遠軽駅

 

2019年の乗降客数400人、1978年の乗降客数3064人、遠軽町の人口19500人(1975年30700人)

私が大好きな、行き止まりのスイッチバック駅です。元々は名寄本線がオホーツク海まで伸びていたので、名寄本線が廃止(1989年)になって出来たスイッチバック駅です。

 

 

「立ち食いそば屋」があったのですが昨年5月に閉店・・・残念

 

 

拠点駅の風貌は、石北本線随一では?

線路がどこまでも続いているような・・・

 

 

かわいいラッピングの列車が見られました。

 

 

⑥安国駅

 

2014年の乗降客数24人、1978年の乗降客数216人

1914年下生田原駅として開業。駅舎に「木のおもちゃ王国」があります。

神道の祝詞にある「安らかな国」の語から、地名が改称されてたことから、駅名も「安国駅」(1946年)となったそうです。

ここには、「ちゃちゃワールド」という木のおもちゃと影絵のミュージアムがあり、藤城清治ファンにもおススメの施設となっています。次回は是非訪ねてみたいところです。

 

 

⑦ 金華信号場(旧金華駅)

 

2016年廃止で信号場、1978年の乗降客数40人

北見~遠軽でも駅が廃止になっている現状を見ることができます。

 

 

⑧ 留辺蘂駅

 

2014年の乗降客数190人、1978年の乗降客数1486人

特急が停車する無人駅です。るべしべYHに泊ったことがあり、懐かしい記憶のある町です。

 

 

⑨ 相内駅

 

2018年の乗降客数54人、1978年の乗降客数566人

「あいのない」と呼ぶので、夫婦や恋人どうしでは行きたくないところです。元々は相ノ内駅だったようです。1997年に改称。

 

 

⑩ 北見

 

2019年の乗降客数1436人、1978年の乗降客数7172人

現在の人口は115000人、1980年頃の人口は130000人なのでそれほど人口は減っていないという印象です。乗降客数の減り方が室蘭駅(7706人→1238人)とほぼ同じになっています。立派なバスターミナルと女満別空港があることから、鉄道離れがかなり進んでいると思われます。

 

 

人口10万以上の地方の拠点駅としては物足りないものを感じてしまいます。

 

 

⑪ 網走駅

 

2019年の乗降客数676人、1978年の乗降客数3628人

網走市の現在人口が34700人、1978年頃の人口が44700人なので北見市より人口減がやや進んでいるようです。

 

 

駅の雰囲気は、ターミナル的(終着駅)な要素を備えており、吹雪の中にも関わらず、北見駅よりは賑やかな雰囲気を感じました。実際には北見駅の方が大きいですが・・・

 

 

北見駅には観光客はいませんが、網走駅は中国人がわんさかと・・・

 

 

週末だったので、てっちゃんおじさんも目立ちました。

 

 

石北本線の普通列車はそこそこの乗客でしたが、北海道の特急列車はどの列車も混んでいました。根本的に少ない乗客を効率的に輸送しているJR北海道の経営努力を感じます。

 

 

⑫ 緑駅

 

2014年の乗降客数4人、1978年の乗降客数216人

すれ違いのための長い停車時間を使って降車しました。乗客は中国人とてっちゃんのみ?

 

 

釧網本線も石北本線と同様、廃止の危機ですが、観光客の数や観光資源の数を考えると石北本線よりは生き残るべき路線だと思っています。観光列車をブランド化させて高単価路線として生き残ってほしい・・・

 

 

日本人はほとんどがてっちゃんで、すれ違い停車毎に写真撮影です。

 

 

⑬ 摩周駅(旧弟子屈駅)

 

2019年の乗降客数90人、1978年の乗降客数1058年、1990年摩周駅に改称。

摩周駅???そんな駅あったっけ?高専時代、自転車でもスキーでも随分と通いました。なので弟子屈駅が摩周駅になってたなんて・・・なんじゃそれ!って感じです。

 

 

観光のために駅名を変えるのは個人的にNo!です。平駅がいわき駅になったのもNo!です。拠点の駅名は簡単に変えるものではないと個人的に強く思っています。

 

 

昔、雪の摩周岳に登った印象が濃くて、今回時間に制限があり摩周岳まではいけませんでしたが、クロカンスキーでスノーハイキングをしました。1月末時点で摩周湖が凍っていない!

 

 

大好きな道東の景色、最高です。

 

 

⑭ 茅沼駅

 

2014年の乗降客数9人、1978年12人

観光客専用の駅という感じです。乗降客数が奇数ということは片道の人が多いのかも?

 

 

標茶から乗客が減ってきました。

 

 

⑮ 塘路駅

 

2014年の乗降客数18人、1978年の乗降客数232人

ここは地元の人が使わなくなり、観光客専用の駅になってしまったようです。

 

基本的に北海道は、昔から道路を使って自転車とクルマ(+川でカヌー)で回っています。鉄道は36年ぶり2回目の私がいうのもなんですが・・・

廃線危機の釧網本線。JR北海道には荷が重すぎると思います。しかし、なんとか観光専用路線として生き残ってほしいと思います。