1.華やかな廃線跡(日中線記念自転車歩行者道)

 

これほど華やかな廃線跡があるだろうか?

 

 

日中線の廃線跡(昭和59年廃止)を取り上げるのは、今回で3回目です。

コロナ対策で県外移動が自粛になったため、昨年の紀行を振り返りました。

 

 

ここの枝垂れ桜は、いかにも人工的(ドボク的)・・・ではあるものの、華やかで本当に気持ちがいいのです。

 

 

「旧国鉄日中線の歴史的・文化的遺産継承としだれ桜植栽延長のまちづくり」として、しだれ桜並木を整備しています。現在のところ約1000本だということです。

現在は3km程度(3kmでも凄い!)ですが、しだれ桜オーナーを募ることで最終的に11.6kmの完成を目指しているそうです。と、言うことは4000本のしだれ桜が咲き乱れる!ということになるわけですね・・・

 

 

いつも夜明け前に出かけ、自転車を使って人のいない早朝に走っています。

 

 

自転車歩行者道となっていますが、左右に歩道があったり、ILB(インターロッキングブロック)舗装がされていたり、砂利道であったりと多様な姿を見せてくれます。

 

 

昭和59年廃止、昭和63年に「日中線記念自転車歩行者道」(日中線しだれ桜散歩道)1030mが完成したということです。その後整備が進められ現在(3km)の日中線しだれ桜散歩道となっています。ここまでは公共工事として整備されたようですが、2013年春に市民有志による「日中線しだれ桜プロジェクト」が始動して、日本一の「しだれ桜散歩道」の完成に向けて様々な活動が行われています。素晴らしい地域ですよね!

 

 

廃線跡には様々なサイクリングロードがありますが、ここまで徹底的にこだわった所は記憶にありません。

 

 

しだれ桜と言えば、奈良県の「又兵衛桜」「大野寺のしだれ桜」、京都醍醐寺の「太閤しだれ桜」、福島県の「三春滝桜」などが思い浮かびますが、散歩やポタリング(自転車)ができるココが最高です!

 

 

今私たちがみている桜は、ほとんどが植樹されたもので、土木工事の一部分だとも言えます。

河川堤防や道路並木など、公共工事として植えられるものや記念樹・環境ボランティアなど様々です。

人工的ではあっても、人々に癒しを提供してくれる空間はあったほうがいいですよね!

 

 

鉄道ジャーナル2015年8月号で詳しい話が載っていますが、「日中線しだれ桜プロジェクト」と「熱塩駅よみがえらせ隊」が協力しあって、旧

日中線廃止跡はますます魅力を増していくことでしょう!

 

 

2.危うい現役路線 福島交通飯坂線

 

旧日中線とともに福島駅と飯坂温泉を結ぶ市内電車、福島交通飯坂線を訪ねました。

福島駅についたものの駅舎がありません、駅がどこにあるかわからないのです。

JRと共同でもないし、特に案内もないし・・・観光は意識してないのか?

しばらくうろうろしていたら、ありました!「電車のりば」

地上駅でこれはないやろ~って感じです。だけど好きです。このローカル感!

 

 

切符を買おうとしたら、駅員から「乗りますか?」と聞かれ「はい」と言ったら、切符は車内で買ってくださいと言われ、私を待っていた電車にダッシュで乗り込みました。このローカル感、好きです!

阿武隈急行線との共同駅になっていました。地方都市に私鉄が2つも存在しているなんて・・・福井と似た感じですね。福島市286742人(県庁所在地全国36位)、福井市262530人(全国40位)

 

 

福島交通飯坂線は福島駅と飯坂温泉駅を結ぶ9.2kmの路面電車のような短い私鉄です。もともとは路面電車だったようで、駅の造りや乗車感覚は路面電車に近い感じがあります。福井鉄道のように軌道で市街地まで乗り入れたらいいのに・・・今更無理なのはわかっていてもですが。

 

 

曽根田駅の駅舎は立派です。

 

 

まさかまさか・・・全線でNORUCAというICカードが使えるそうです。2015年からだそうで、びっくりです。しかしSUICAは使えませんでした。

 

 

日中の運転間隔は25分で、私の自宅がある神戸市北区の神戸電鉄とあまりかわりません。地方都市としては十分なサービスであると思われます。そんな福島交通ですが、平成5年をピークに旅客運賃収入が年々下がってきており、乗車人員では昭和51年の632.4万人/年から平成29年の240.8万人と大幅な減少傾向が続いています。

 

 

花水坂駅から飯坂温泉駅を見ます。この距離感がいいですね~このような鉄道がなくなっていくのは寂しいかぎりです。福島交通飯坂線がなくなるわけではありませんが、最近の東北では2002年南部縦貫鉄道・2012年十和田観光電鉄・2007年くりはら田園鉄道が廃止になっています。

 

 

飯坂温泉駅です。神戸電鉄の有馬温泉駅といい勝負です。

 

 

車両は東急電鉄の1000系が使われていました。

 

 

駅舎も悪くないです。良いとも言えないかな?

1日約1000人の乗降客者がいるようです。

 

 

少し街をぶらぶらしてみます。

 

 

観光客が1973年の177万人から半分以下になったものの、他の温泉街と比較して廃れ感はあまりなく、歴史・規模とも日本を代表する温泉という感じはしっかりと維持していると思いました。

 

 

歴史は古くヤマトタケルにまで遡るとか・・・

有名なのは1689年の松尾芭蕉にはじまり、正岡子規・与謝野晶子・ヘレンケラーなどなど

多くの有名人が訪れたようです。

 

 

松尾芭蕉像と十綱橋(土木遺産)です。

十綱橋の歴史は平安時代にさかのぼります。

橋の両岸を十条の藤の綱で結び、板を渡してその上を歩行していたので「十綱橋」と言っていたと言われています。現在の橋は3代目(大正4年)で51.7mの鋼上路2ヒンジブレーストリブアーチとなっています。

 

 

年表が看板になっており、飯坂温泉を代表する建造物としての存在感を高めています。

 

 

福島交通飯坂線が、廃線にならないことを祈っています。