1.スウェーデン国鉄(SJ)
スウェーデン内の移動に利用したSJ(スウェーデン国鉄)、その一部を見ていきたいと思います。
スウェーデン国鉄は、現在7つの事業体に分かれて運営されています。
各事業体は下記のとおりとなります。
①SJ AB(国家鉄道株式会社)旅客列車運行事業体
②Green Cargo AB(グリーン・カーゴ株式会社)貨物列車運行事業体
③Euromaint AB(ユーロメイント株式会社)鉄道工場および車両保守点検事業体
④Interfleet Technology AB(インターフリート・テクノロジー株式会社)鉄道技術開発事業体
⑤ Unigrid AB(ユニグリッド株式会社)IT事業体→ノルウェーのEDBビジネスパートナー社が買収⑥Jernhusen AB(イェルンフセン株式会社)不動産および国鉄線駅舎管理事業体
⑦TraffiCare AB(トラフィケア株式会社)ターミナル駅構内営業事業および列車清掃事業体
アーランダ国際空港内にあるアーランダ中央駅から、スウェーデン国内をSJで移動します。
アーランダ空港とストックホルムの間には、SJとは別にアーランダエクスプレスという空港アクセス特急が走っています。成田空港のJR東日本と京成のような感じです。
アーランダ中央駅、吹き付けだけという日本では考えられない地下駅です。
強固な岩盤なのでしょう。
SJの列車種別は下記の4種類となっています。
①スナッブトーグ(Snabbtåg) X2000及びX50を使用 →高速特急列車
②インターシティ(InterCity) →長距離特急列車
③ナットトーグ(Nattåg) →夜行列車
④レギオナールトーグ(Regionaltåg) →中距離急行?快速?列車
それでは、今回乗車した各列車と駅を紹介していきましょう。
2. ウプサラ中央駅
北欧最古のウプサラ大学があるスウェーデン中部の都市で、人口は15万人でスウェーデン第4位となっています。駅舎はややこじんまりした感じです。
1950年、スウェーデンを代表する製薬会社ファルマシアがウプサラに移転し、ウプサラ大学との共同研究により成長したということです。その後ファイザー等による買収などでウプサラにおける拠点は縮小しましたが、ファルマシアを源流とする多くの生命科学企業が現在もウプサラで活動しており、15万人都市とは思えない活気のある街です。残念ながら、新潟(79万人)より活気がありました・・・
ウプサラには右側のインターシティ(IC)に乗ってきました。イエーブレやファールンへの直行列車もありますが、この駅で折り返す列車が多いことがわかります。
ストックホルム行の列車はダブルデッカーでした。
SJの列車には、高速列車・特急列車・急行列車・普通列車のほとんどの列車に1等車と2等車が連結されています。
シンプルな時計と木を使った屋根、所々に黄色を使ったデザイン。スウェーデンらしいですね~
スウェーデンは他のヨーロッパと同様、改札のない信用乗車となっています。
SJ X2000などの高速列車スナッブトーグ(Snabbtåg) は、基本的に予約が必要(日本でいう全席指定)で、インターシティなどは任意予約制となっています。予約は駅構内やホームなどで、クレジットカードで買うシステムとなっています。
3.イェヴレ中央駅
スウェーデン中央部ノーランド地方のイェヴレボリ県の県都イェヴレ(人口7万人)の中央駅です。
スウェーデン13位の都市イェブレには、スウェーデン鉄道博物館があります。後で知ったのですが、行きたかったな~
なんと、川の上にホームがあるのです。阪神電車の芦屋川駅を思い出しました(笑)
時計と電光掲示板がカッコいいんですよね~なぜ、そう感じるのでしょうか?
ローカル列車が渋い!
大きな駅にはだいたいKIOSKかセブンイレブンがあります。
但し、ビールなどアルコール飲料は売っていません。スウェーデンはアルコール規制が厳しいので、街のスーパーに行っても3.5%のビールしか売っていません。それも冷やしていないんですよ!
駅周辺をブラブラして、目的地のリンシェーピングを目指します。
ストックホルムをスルーしてリンシェピングまで直行するIC(インターシティ)です。
ダブルデッカーの1等車です。テーブルもあってJR東日本の通勤用グリーン車よりゆったりしています。
スウェーデンの列車は速い!150km/hは出ていると思う。ちなみにX2000は200km/hでした。
4.リンシェーピング中央駅
スウェーデン南部のイェータランドのエステルイェートランド地方の中心地リンシェーピング市の中央駅です。スウェーデン第7位の人口10万人の都市で、リンシェピング大学とIT関連企業の進出など発展が顕著な賑わいのある街です。
ホームの横にバス停があります。駅に改札がないことで可能となる、シームレスな交通結節点と言えるでしょう。
スウェーデンも機関車牽引の客車列車が減少しているようです。
特に南部ではほとんど見かけませんでした。
カルマル行きのディーゼル列車の一等車は超豪華、新幹線のグランクラス並でコーヒー付きでした。
ローカル線なので速度は遅い、100km/h出ていない。
鉄道移動には、ヨーロッパ鉄道時刻表 EUROPEAN RAIL TIMETABLEを使いました。元々はトーマスクック社が出版していましたが、現在は倒産して別の出版社が発行しています。1997年の時刻表より冒頭の日本語表記が増えて多少見やすくなっています。
歴史を紐解くと、1847年にブラッドショーのコンチネンタル・ガイドがヨーロッパの時刻表を掲載したのが始まりで、旅行会社のトーマスクック
が旅行者向けに「Cooks Continental Timetable」を創刊したのが1873年でした。創刊以降「鉄道旅行のバイブル」として140年以上の歴史を持つ優れものなのです。たとえ空想でも、これ1冊で夢のヨーロッパ旅行ができるのです。
5.カルマル中央駅
スウェーデン南東部のスモーランド地方のバルト海の田舎町カルマル、人口は3.5万人でスウェーデン第29位の都市です。
ここでコペンハーゲン行きの列車に乗り換えます。
列車とバスの距離がわずか5m。まるで京浜東北線と山手線の乗り換えみたいですね。
ここは行き止まり式の駅なので、列車は折り返すように発車していきます。
13世紀から17世紀にかけ、カルマルはスウェーデンの主要都市の一つだったそうです。
乗り換えだけの短い滞在でしたが、なんとなくその面影が感じられました。
コペンハーゲンに向け、列車は幹線でスピードアップ!
スウェーデンの列車はとにかく早い!ICでも150kmは出ているでしょう。
人はまばらなのに、どの駅もホームが広い。
もしかして・・・スウェーデン国鉄Ra型電気機関車?
※「Rapid」型→Ra形と言われるように、高速列車牽引を目的に開発された電気機関車
貨物列車もよく見かけます。
1等車の車内です。スウェーデンパスのフレキシブル3日用の1等車用を購入しているので、1等車乗り放題です。座席数は少ないのですが、すいているので大きな荷物を持っていてもらくちんです。スウェーデンはどこでも携帯電話し放題、列車の中は電話の声で賑やかです。みんがしゃべっているので違和感がないのです。不思議ですよね~
6. ルンド中央駅
スウェーデン南部、スコーネ県の都市ルンド、人口は7.6万人のスウェーデン第11位の電気通信関係の会社が多いハイテク都市です。時間がなかったので、そのままスルーしました。
スウェーデン第3の都市マルメに近づくにつれ、大きな車両基地が現れます。
いい感じの客車が止まっていました。
SJの長距離列車には食堂車が連結されています。
これは高速列車SJ X2000のBISTROです。
これは客車列車インターシティのBISTROです。
7.オーレスン・リンク
下の写真はスウェーデンのマルメとデンマークのコペンハーゲンを結ぶオアスン海峡橋です。
上部が自動車道路、下部が鉄道となっており2000年に開通しました。
東京湾アクアラインのように、海峡橋が8km島部が4km海底トンネルが4kmの合計16kmの複合構造となっています。これらの総称をオーレスン・リンクと言うそうです。
8. ダーラナ地方へ
ストックホルムからインターシティに乗って、スウェーデン中部ダーラナ地方に向かいます。
1等車の座席はイマイチですが、テーブルがしっかりしていて作業がしやすいです。
朝のビジネス利用が多く、2等車は大混雑で1等車もかなり埋まっていました。
8.ボーレンゲ駅
ダーラナ県の県都ファールン行きの列車から、ムーラ行きの列車に乗り換えます。
田舎の小さな乗り継ぎ駅ですが、なんと空港があるのです。採算とれるのかな?
ムーラ行きのローカル列車に乗ります。この列車にも1等車が連結されています。
スウェーデンの中部地方に来ると、材木専用の貨物列車が目立ってきます。
湖畔の町レットウィークです。
9.ムーラ駅
美しい森が広がるダーラナ地方の観光都市ムーラ。
ムーラのあるダーラナ地方は、スウェーデンで最も古い原生林が残る場所としても知られています。数多の湖が点在し、川が幾筋も流れる、北欧の湖水地方です。時間の流れもなんだかゆったりとしています。北海道の道東のような雰囲気です。
2時間に1本という超ローカル線なので、ホームも一つしかありません。
落書きだらけの貨物列車、スウェーデンの落書きは相当ひどい!ほとんどの貨車に落書きが・・・
数少ないディーゼル機関車です。
これほどの田舎でも電化されているので、電化率はかなり高いと思われます。
スウェーデンの踏切です。
跳ね橋です。日本ではもうほとんどありません。
シンプルな構造です。
ストックホルムから北側は比較的機関車牽引の客車列車が多く走っていました。
ストックホルムに戻ります。
到着時刻を発車時刻と間違えてしまい、発車まで1時間列車の中で過ごしました。
日本だったら一旦車庫に行くでしょう?
そういうスウェーデンの大らかさが好きになりました。
暖房も聞いてるし快適でした。
ボーレンゲでエーレブルー行きに乗り換え、さらにエーレブルーからストックホルム行きに乗り換えました。最後は空いていたので2等車に乗ってみました。
2等車でも十分快適です。日本の特急列車とほぼ同じシートでした。
ガラガラなのに検札はなし。
10.ストックホルムのトラム
ヨーロッパの都市=トラムのようなイメージがありますが、北欧は違うようです。
確かにトラムが走っていますが、1路線のみで札幌並みといったところでしょうか・・・
乗車は1回券を買えば、地下鉄・トラム・バスが75分間乗り放題というシステムです。24時間券や72時間券、7日間などもあるようです。私は歩くのが好きですが、基本的に便利ですよね。
面白いことにバスとトラムがまったく同じラインを走っていました。縦列走行という意味です。
線路上がバスレーンになっているってことです。
日本でも富山や宇都宮で路面電車が進化し始めています。
広島や長崎などは路面電車で、観光がめいいっぱい楽しめます。その点でスウェーデンは遅れているのかもしれません。
レトロな列車も走っています。日本でも低床式とレトロが混じってます。
自転車政策では負けていますが、トラムでは日本が勝っている。鹿児島・熊本・長崎・高知・松山・広島・岡山・大阪・京都・大津・福井・高岡・富山・豊橋・江の島・東京・函館・札幌と各地でゆっくりですが確実に進化している・・・それは自慢してもいいかも?