マンションが水を堰き止めている?

 

 

これは丸沼ダム。日本一の提高(32.1m)のバットレスダムなのです。

群馬県の片品村にある利根川水系のダムで、東京電力の発電専用ダムです。

 

 

このダムですが、非常に珍ししいのです。

自然の湖(丸沼と大尻沼)のど真ん中の狭い部分にダムを建設?

それもバットレスダム。

 

 

SUPを使って最下流部に行ってみましょう。

下流部は至ってシンプル、堰といった感じです。もともと自然にできた堰止湖なので、中間にダムを設置したほうが効率的と判断したのでしょう。しかし、自然の湖?(沼)にダムとは・・・すごい発想ですね!

 

 

背後には丸沼高原スキー場のゴンドラが見えます。

 

 

ドローンから見た丸沼ダムです。

単純に丸沼の貯水量を増大させるためのダムで、昔の丸沼はもと小さい普通の沼だったのでしょう。

 

 

SUPで漕いだのは下流側。

インフレータブルSUPを背負い登山道を下っていくので誰もいません。

湖面はどフラットの面ツル、最高のコンディションです。

 

 

丸沼ダムは4階建てのマンションって感じです。

このバットレスダム、日本では8機しか建設されていません。このダム、重力式ダムと比較してコンクリート量が減らせるので民間の電力会社が低コストで建設できるということで採用をしたということです。

 

 

しかし、当時は高価だったコンクリート用のセメントの値段が安価になり、複雑な構造とメンテナンスにコストがかかることから、バットレスダムは8機の建設で終わってしまいました。

 

 

8機のバットレスダムの内、長野県の小諸発電所第一調整池は崩壊、新潟県の高山ダムはロックフィルダムになり、残るのは6機となっています。この丸沼ダムが、もっとも当時の姿を残すダムとして価値があるといわれています。

 

 

ダム湖につながる沢は意外と少なく、透明度は高いと感じました。

 

 

日本に現存するバットレスダムは、この群馬県の丸沼ダム、北海道の笹流ダム、富山県の真立ダム・真川ダム、岡山県の恩原ダム、鳥取県の三滝ダムの6機となっています。

 

 

2003年に重要文化財に指定されています。

 

 

目の前で見ると、なかなかの迫力です。

巨大なアーチダムとはまた違った迫力を感じます。

 

 

対岸に渡れるように、見学用の施設も設置されています。

 

 

堤体の上は立入禁止となっています。

 

 

下流側は大尻沼、上流側は丸沼です。

 

 

上流側の丸沼です。

 

 

一大観光地の奥日光の一角にあるのに、誰もいない隠れた穴場です。