① GIS(地理空間情報システム)の達人たちといく黒部川扇状地

 

GISフォーラムのオプショナルツアーとして、黒部川扇状地を訪れました。ワクワク!です。

出発は富山駅ですが、ガイドツアーは黒部宇奈月温泉から始まりました。

 

 

黒部宇奈月温泉駅の施設内にある立山黒部フィールドミュージアムで、だいたいの地形を叩き込みます。

立体模型をみれば一目瞭然!

黒部川河口が立山連峰と後立山連峰から流れ出た土石流で形成された扇状地であることが・・・

 

 

黒部川扇状地の扇角は約60度、黒部川を基準にすると扇端までの距離は約13km、面積は約96km²だそうです。

扇状地は必ずしも扇形をしているとは限らないのですが、黒部川扇状地はきれいな扇形を形成していて、等高線も一定間隔でほぼ円形に描けるのが特徴となっています。バスから見ていても、本当にきれいな扇状地だということがわかります。

これは黒部川が扇状地上で流路を左右に変遷しながらほぼ均等に上流から砂礫類を堆積した結果によるといわれています。

 

 

富山湾の深さを考えると、どれほどの土砂が流れ込んだのか・・・

それにしてもきれいな扇状地です。

 

 

ここが黒部川扇状地への出口です。現在は黒四ダム等のダム群があるため土砂が流れ出ることはないと思われます。余程のことがない限り・・・

 

 

この出口にあるのが愛本橋です。

かつては下の写真のように全長61.42m 、幅3.62 mの刎橋(はねばし)であったため、岩国市の錦帯橋、大月市の猿橋とともに日本三奇橋の1つといわれていました。現在は近代的な鋼ニールセン系ローゼ桁橋(130m)に架け替えられています。

 

 

刎橋とは、橋脚を立てずに架橋することが可能な橋のことです。

その方法とは・・・

岸の岩盤に穴を開けて刎ね木を斜めに差込み、中空に突き出させる。

その上に同様の刎ね木を突き出し、下の刎ね木に支えさせる。支えを受けた分、上の刎ね木は下のものより少しだけ長く出す。

これを何本も重ねて、中空に向けて遠く刎ねだしていく。

これを足場に上部構造を組み上げ、板を敷いて橋にする。

残念ながら、現在、日本に現存する橋はないそうです。

 

②扇状地ど真ん中に発電所群

 

扇状地のど真ん中に,黒西第一~第三発電所,黒東第一~第三発電所の6か所の発電所が存在しています。普通発電所といえば山の中を思い浮かべますが、こんな平らな土地になぜ発電所が6か所もあるのか・・・黒部川の水資源の豊富さを表す施設のひとつです。

そのひとつ黒東第三発電所は、一部が発電所美術館「入善町下山芸術の森発電所美術館」となっています。

 

 

杉沢の沢スギ

 

入善町吉原の海岸近くにスギの多い林があります。これが昭和48年8月4日国の天然記念物に指定された「杉沢の沢スギ」です。

 

 

昭和44年頃には約45haあったといわれる沢スギの林も、圃場整備事業によりそのほとんどが水田へと姿を変えてしまいました。わずかに残った杉林の中を透明な水があちこちで流れ出ています。

 

 

現在はわずか2.67haのみが保存され、全国でも珍しい平地の湧水地に生育する自然林として保護されています。水の中を撮影すると・・・めちゃめちゃきれい!海岸沿いとは思えません。

 

 

④高瀬湧水

 

入善町の高瀬公民館横に湧き出る湧水は、黒部川右岸の湧水地帯で代表的なものとなっています。

 

 

井戸は1961年に掘られ、地下36メートルから自噴しており、水温は年間を通じて11℃程度(通常の地下水は14℃前後)で、清冽で豊富な水がこんこんと湧きだしています。駐車場も整備されていて市民の憩いの場になっているようです。

 
 

 

 

 

⑤入善海洋深層水パーク

 

富山湾は、広さが約2,120Km2、最深部が1,000m以上あり、駿河湾や相模湾と並んで我が国で最も深い湾の一つとなっています。

富山湾は大きく分けて三つの層で構成されており、海岸に近いところには河川などの影響を受けた塩分濃度の低い「沿岸表層水」、その下層から200~300メートル付近には「対馬暖流系水」、そして300メートル以深には低温の「日本海固有水」が無尽蔵に存在し、この日本海固有水が「海洋深層水」と呼ばれ、富山湾の容積の約6割を占めているといわれています。トヤマエビやカキの養殖に利用されているようです。

 

 

高さ3000mの北アルプスと深さ1000mの富山湾、すばらしい自然環境です。うらやましい~

 

 

⑥黒部清水の里「生地」

 

北アルプスの山々から流れ下る黒部川の水は地下水となり、生地(いくじ)のあちこちで清らかな湧き水となって地表に出てきています。この湧水のことを「清水(しょうず)」と呼び、生地の人々は昔から飲み水、炊事、洗濯などに利用してきたそうです。

 

 

2007年の富山県の調査では、黒部市で約750か所の自噴井戸が確認されたそうです。

黒部漁港のある生地地区には全部で20か所の湧水スポットがあり、湧出量や水質、味わいがそれぞれに異なるそうです。水温は1年を通じてほぼ11℃前後で、適度なミネラルを含んだ「おいしい水」です。いろいろと飲み比べましたが、違うような・・・同じような・・・

 

 

清水庵の清水

当地の経妙寺に松尾芭蕉の弟子が北陸行脚の際に立ち寄り、境内の小さな庵に「清水庵」と名付けたことが由来で、毎分600Lという生地最大の湧出量を誇る「共同洗い場」です。普通の住宅地の間にあります。

 

 

黒部漁港と生地中橋の中間点、海面から地下10mにある全国でも珍しい海底地下道を歩いて地下水巡りを続けます。

 

 

弘法の清水

代表的な「共同洗い場」のひとつで毎分500ℓ、生地で二番目に湧出量が多い清水です。

 

 

生地中橋

日本初の片持ち式旋回橋です。

 

 

「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選定されています。

カーブのジョイントがなんとも美しい・・・

 

 

橋のたもとにある操作管理室からの操作により、橋を持ち上げる2本の油圧シリンダーと、旋回用の2本の旋回シリンダーによって橋長38.4m重さ約307tの橋が、片側を軸に78度回転する仕組みで、現在は1日約7回から30回ほど稼働しているそうです。24時間体制だそうです。

 

 

1982年3月完成の橋だそうです。ただただ感動・・・黒部おそるべし