1. モエレ沼公園
小高い丘から見る広大な大地、それが北海道の最大の魅力だと思います。
人工で造られた、このモエレ沼公園のモエレ山に登り、あらためて北海道の魅力をふりかえってみました。
15歳の時から北海道に憧れ、16歳・17歳の夏に北海道を自転車で2週。
19歳の冬はスキーを担いで姫路から鈍行と夜行急行と青函連絡船を使い、夜行列車に寝泊りしながら北海道一周スキー場巡り。
29歳の夏はクルマとテントで寝泊りしながらカヤックで道央・道東の川巡り。冬はニセコでパウダーというか・・・ほとんどホワイトアウト
39歳の時は家族4人でクルマに寝泊りしながら北海道一周子どもの遊び場巡りとSLすずらん号・ノロッコ号にも乗りました。
その他2回北海道に来ていますが、いつも感動するのは小高い丘やなだらかな山から見る広大な大地の風景です。そして行く先々で旅人同志とすぐ友達になり、また別の場所で会って昔話に花を咲かせたりできる素敵な場所なのです。
今回は土木学会の全国大会で北海道大学に来たので、旧ゴミ処理場を埋め立てて建設されたゴミの山?イサム・ノグチ(正直どんなにすごい人なのかは良くわからないのですが・・・名前だけは良く知っている)のモエレ沼公園にやってきました。
モエレ沼公園は、1978年(昭和53年)に札幌市が自然の沼地としては危機的な状況にあるモエレ沼を、保全を兼ねた大規模な水郷公園とする事業に着手することになったのが始まりといわれており、本格的な着工は1982(昭和57)年で、2005(平成17)年に グランドオープンしました。23年もかけて造られた?構想からだともっと長い時間だと思われます・・・いろいろとあったのでしょうね。
世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチが手がけ、「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトのもとに造成が進められたということです。札幌市の市街地を公園や緑地の帯で包み込もうという「環状グリーンベルト構想」における拠点公園となっています。
モエレ山
それは、不燃ゴミと公共残土を積み上げ造成された人工の山(麓からの高さは52m)で、登り口は3方向5ルートあり、10分程度で登ることができます。登山道(階段)が整備されており、階段は山肌を回遊するものと一直線のものがありますが、結構しんどいです。普段山登りをしている人は、この人工山をバカにしてしまうかもしれませんが、なかなか登り応えのある山ですよ・・・?
山頂部分は、札幌市内全体を見渡せる展望台となっています。本当に気持ちいいです。
展望台の幅はイサム・ノグチの生誕100年にあたる完成年にちなんで2004cmとなっており、その中心部には三角点(二等基準点)が設置されています。2004cmってなんかおかしくないっ?
冬にはスキーやソリ遊びができ、冬季の公園利用の拠点となっています。吹雪の日など、極寒のバックカントリ-スキー・スノーボードの練習にいいかも?麓の広場も広く、楽しい雪遊びができそうです。
立派なテニスコートもあります。
野球場は気持ちのいい芝生で覆われていて、特に外野席は最高に気持ちい観客席になっています。
こんなところで野球ができたら幸せやろな~
芝生の広場も半端ないっ。ラグビーの練習にもってこいやな。
プレイマウンテン(下の写真)
モエレ沼公園のホームページによりますと、イサム・ノグチが1933年に発案したNYのセントラル・パークに遊園地をつくるプラン「遊び山」(実現しなかった)という、長年温められてきた構想が、この公園で初めて実現されたいうことです。99段ある花崗岩の石段は、私が昔SUPで渡ったアートの島、あの犬島(瀬戸内海)から運んできたそうです。そういうことを知るとなんとなく愛着が湧くんですよね~
ホームページから抜粋→
【この大地に直接作品を彫り込むというコンセプトは、ランドスケープアートの先駆的なアイディアとも言えるでしょう。 その斜面はギザのピラミッドなど古代の遺跡を連想させ、公園の重要なフォルムの一つとなっています。石段の反対側の斜面には、白い一本の道が頂上へと続いています。誰もが緩やかなスロープに誘われるかのように歩みを進め、山頂から雄大な風景を楽しんでいます】
2. モエレ沼公園、ありか?なしか?
ゴミ処理場の跡地を公園化したことや、屋内施設であるガラスのピラミッドに地域固有の自然エネルギーである雪を活用した冷房システムを導入していることから、自然環境保全の観点からも注目を集めています。しかし、この広大な公園を管理するには莫大な維持管理費がかかるはずです。こんな大きな公園があっていいのでしょうか?
私も最初は「たががゴミの山でしょ」とか「人工で造ったモノなんて・・・」なんて少しバカにしていたのですが、その場所に行ってみると・・・自然の山とは違う、なんか感じるものがあるのです。それって人間特有の感性によるもので、自然には造れないところがいいのもしれないですね・・・同じ時期にできた金沢21世紀美術館(2004年開館)にはあまり反応しなかった私がこのモエレ沼公園に反応したのは、私が単にドボク屋だからでしょうか?
この公園を素晴らしいものにしようとたくさんの人が働きかけたようです。
札幌市は、「長い間温め続けてきた数多くのプレイグラウンドのアイディアを実現できるかもしれない」という有志達の熱心な働きかけによってイサム・ノグチに公園の設計を任せたいと考え、それが現実となってこの地のゴミ処理場がタナボタ?で選ばれて事業が進んだようです。1988年3月に視察したノグチは「すごく空が広い。ここには、フォルムが必要です。これは、僕のやるべき仕事です」「人間が傷つけた土地をアートで再生する。それは僕の仕事です」とコメント、2005(平成17)年、この公園が生まれたのです。
早朝なのでガラガラですが、この駐車場の広さを見るだけでこの公園の価値がわかります。
年間の利用者数は85万人で、施設利用等による収支は赤字になっていないことを考えると大成功と言えるのではないでしょうか?
麓にあるガラスで構成されたアトリウムは、「ピラミッド」と聞いたときに思い浮かべる四角錐状ではなく、一辺が51.2mの三角面と四角錐、立方体が組み合わされた複雑な形態となっています。これもアートのひとつとなっています。
こんな公園が大都市の近郊にあるなんて、なんてうらやましいことか・・・こんな公園が近くにあって、子どもが小さかったら毎週連れてきているでようね~新潟市でこれを造っても冬は使い物になりません。積雪はほとんどなく毎日雨か湿り雪ですから・・・
モエレ沼公園
子どもがいなくても、おひとりさまでも、ゴミの山とバカにしないで、一度訪れてみてほしいですね。