体験型環境教育プログラムのドボクへの活用について Part.1からのつづき

 

 

Ⅲ.ドボクと体験学習型環境教育の現状と課題

 

これらの体験学習型の環境教育活動は、環境教育・学校教育を職業とされている方以外では、リタイアされた方が中心となっており、土木技術者の方を見かけることがありません。

学習指導要領の改正で、学校教育の中に防災教育が取り入れられることになり、今後は土木技術者による学校支援が必要になってくると考えられます。最近は各現場で工事見学会などが頻繁に行われるようになり、ドボクへの関心や理解に貢献していると思われます。しかし、重機や工事現場を見て「凄い!面白そう!」と思うだけでなく、対象とする土木構造物がどのような歴史を経て、どのような役割を果たしているのかを深く学んでほしいと思っています。その役割を担うのが体験型の環境教育で、現場にあった内容にアレンジして実践することで、ドボクと自然環境及び防災について理解しやすくなります。しかし、1回のみのイベントでは関連付けが難しくなかなか深い学びに結びつかないことが課題と言えます。

 

 

Ⅳ.安全・防災教育、工事見学会等への積極的な活用

 

各団体が主催する指導者講習会に参加することで、地域で活動されている方(ボランティア)とのつながりができ、指導者として活躍できる他、各種イベントへの協力を求めることも可能です。また、各団体では指導者を育てるファシリテーター講習会やトレーナー養成講習会も用意されており、ファシリテーターとしての資質向上も図れるようになっています。ファシリテーターとしての実力がつけば社内外の安全教育・防災教育を参加者の主体的・対話的で深い学びに導くことも可能となります。その先には工事説明会やドボクをアピールするための住民参加型イベントの成功、そしてその先に生まれる地域の人とつながる仕組みづくり(コミュニティデザイン)など、地域や学校とのつながりが深まり、連続的・継続的な活動が可能となります。

 

 

Ⅵ. おわりに

 

 自然環境だけではなく土木史にも触れてもらうことで、過去の災害や先人たちの苦労や工夫を知っていただくことも大切です。それには右図に示すように、土木技術者と地域の様々な方々とお互いに学びあう「場」と「心」をつくりあげていくことが必要です。     

最後に、土木技術者が実施する社会貢献の心がけとして「よそもの・若者・バカ者」「モノより心」「利他主義」「コミュニティづくり」を意識した仕掛けを行うことで、ドボクを取り巻く様々な課題解決につながっていくことを期待しています。