2018.8.29~8.31 土木学会全国大会(北海道大学)
共通セッション 土木教育一般
Ⅰ.はじめに
ドボクには,経済活動を支えつつ自然の脅威から人間の生活を守るという大きな使命があります。明治以前は自然の驚異を受け流す自然共生社会であったと思われますが、明治~昭和に築かれてきた高度なインフラ社会となった今、頻発する自然災害とインフラのあり方について、私たち土木技術者は自信を持って丁寧に答えられるのでしょうか。今こそ、私たち土木技術者は自然環境及び防災への関心と知識を身に着け、様々な人達に伝えていかなければなりません。日本には、自然環境(防災を含む)を学ぶための様々な環境教育プログラムが存在しています。ほとんどが米国で開発されたものですが、日本向けそして地域向けにアレンジされており、地域で活動している人の協力があれば1~2日間の講習を受けるだけで即実践可能となっています。以下に、私が各地で実践してきた代表的な環境教育プログラムを紹介します。
Ⅱ.日本で実施されている主な体験学習型の環境教育指導者養成講座の種類と内容
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プロジェクトワイルドエデュケーター本編・水辺編(公園財団)1日(受講料のみ)
「自然を大切に」と理解するだけでなく、「自然や環境のために行動できる人」を育成するための野生生物を題材とした米国で開発された環境教育プログラムです。アクティビティの大半が室内でも可能で、天候に左右されることなく学校・地域イベント等に使うことが可能です。
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プロジェクトワイルドエデュケーター鳥編(公園財団)1日(受講料のみ)
日本の指導者向けに作成した、鳥に関する最も新しいプログラムです。身近な野生生物でありながら長距離の渡りを行う鳥の生態を知ることで、地球規模から身近な地域まで幅広く自然環境を学ぶことが可能です。
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グローイングアップワイルドエデュケーター(公園財団)1日(受講料のみ)
「子どもを自然につなげよう!」を合言葉に、子どもたちを野外に連れ出す様々なアイデア・手法を実践する幼児向けに米国で開発され、日本向けにアレンジされた環境教育プログラムです。
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プロジェクトWETエデュケーター(河川財団)1日(受講料のみ)
主体的・対話的な手法で「水」に対して学びを深め、「責任感と社会参加意識」を高めるための水を題材とした米国で開発された環境教育プログムです。室内で実施可能で、地球規模から身近な水環境まで幅広く学ぶことで、防災教育のツールとしても優れたプログラムであるといえます。
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ネイチャーゲームリーダー(シェアリングネイチャー協会)1泊2日(受講料+年会費)
身近な自然を様々な「感覚」で感じ、自然との一体感を感じ、「自然への気づき」に導くための活動で、ジョセフ・コーネル(米国)が考案し1982年に日本で紹介された自然体験プログラムです。組織体制がしっかりしており、全国各地の地域の会で様々な活動を行っており、最も気軽に体験できるプログラムです。
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自然観察指導員(日本自然保護協会)1泊2日(受講料+年会費)
「自然観察からはじまる自然保護」を合言葉に、地域に根ざした自然観察会を開くボランティアリーダーです。虫・鳥・花・樹木など専門的な知識を持った方々と交流できるメリットがある反面、ドボクに対して厳しい見方をされる方が多いのも事実です。そこから学ぶべきことは多く、逆に自然愛好家にドボクのことを知ってもらえる機会にもなります。
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インタープリター(インタープリテーション協会)3泊4日(受講料のみ)
体験や地域性を重視して、自然・文化・歴史を分かりやすく伝える人。1900年代の初め、米国の国立公園で始まり、世界中に広まり発展してきたと言われています。