1. 秋田県道2号線「樹海ライン」の釣り針カーブ

 

今回は、秋田県側から十和田湖へのマイナールート秋田県道2号線「樹海ライン」を紹介します。

秋田県大館市から小坂を経由し、秋田県鹿角市側の十和田湖発荷峠(103号)に至る46.2kmの短い県道で、愛称は「樹海ライン」です。1972年に全線が県道に認定されました。十和田湖へのメインルート、国道103号線と比較して線形が良くスノーシェルターもあり、秋田大館方面から十和田湖へは最短ルートとなっていますが、知名度は低く県外のクルマは少ないようです。

「樹海ライン」、どこかで聞いたことあるような・・・そうです会越国境の国道352号「樹海ライン」です。

1993年にこ県道を活用するため秋田県・大館市・交通機関で組織する「樹海ライン活用懇談会」が発足したということで、このころから「樹海ライン」の名称が使われ始めたのではないかと推測されます。

 

下の写真、見事な「釣り針カーブ」です。おまけ?先っちょに餌がついています。スノーシェルターが赤色だったら・・・ミミズ

 

 

十和田湖周辺道路の開拓は、1693年五戸郷藩士木村又助秀春による十和田道開削が始まりと言われています。

それ以前ではアイヌ人の存在及びマタギ伝説の他、平安時代初期(807年)に創建とされる十和田神社が存在していますが、よくわかりません。十和田(とわだ)はアイヌ語のト・ワタラ(岩の多い湖)が「十渡(とわたり)の湖」となり、十和田湖の字が当てられたということです。

 

その後、1883年五戸~宇樽部の新道開削、1903年奥入瀬林道開通、1914年発荷峠馬車通行可、1934年十和田湖までバス通行可、1967年十和田湖一周道路開通、1974年国道103号発荷峠改修、1986年樹海ライン開通へとつながり、現在に至っています。

 

北側に十和田湖のカルデラと八甲田山が見えます。

 

 

樹海の中を気持ちよく走ります。とにかくこの道路、線形がいいのです。道路景観としては素晴らしいデザインだと思うのですが・・・

これほど素晴らしい森の中に道路を建設するのはどうか?という意見も当然あると思います。

 

 

周辺の森も本当に素晴らしいです。

八甲田山~十和田湖~八幡平~秋田駒までの森は日本の中でも別格です。

 

 

熊さん(ツキノワグマ)がいっぱいいるのもうなずけます。

この道路、小坂のはずれから発荷峠まで集落がないので、位置づけは「観光道路」に近いものがあります。但し、あまりアピールをしていないこともあり交通量も少なくひっそりとした感じがいいのですが・・・

 

道路でメシ食ってる私がいうのもなんですが、集落がなくて交通量の少ない道路なんて撤去しちゃえって思ってしまいます。2010年~2040年人口減少率全国No.1の35.6%(週間東洋経済2018.4.7号)の秋田県、このような道路の存在意義を考えなくてはいけません。

 

 

2. 二重式のカルデラ 十和田湖

 

約20万年前から始まった火山の噴火によってできた、周囲44km、湖水面積59.6平方キロメートル、最深部327mの二重式のカルデラ湖(カルデラの中に新しいカルデラができた)です。但し、「二重カルデラ湖」とはなっていません。残念ながら内側のカルデラの周辺は一部崩れているので、カルデラ湖は繋がっているので「二重カルデラ湖」ではなく、「二重式のカルデラ湖」なのです。

 

 

突き出した二つの半島が、二重式のカルデラであることを示しています。これが十和田湖の大きな魅力なのです。また、十和田湖は田沢湖・支笏湖に次いで3番目の深さ(最大深度326.8m)で透明度も高く、神秘的です。

 

 

南側の西寄りに尖がった中山半島、東寄りに丸い御倉(おぐら)半島が突き出しています。この間を「中湖」(なかのうみ)と呼んでおり、これが後でできたカルデラです。ここが最深部になっており最大深度は326.8mとなっています。

 

十和田湖の観光は、1908年に大町桂月さんが雑誌「太陽」に十和田湖紀行文を発表したことで注目されるようになりました。1956年(40万人)から右肩上がりで上昇し、1991年(平成3年)に320万人を超えました。しかしそれをピークに減少を続け200万人を下回り、現在も減少傾向に歯止めがかかっていません。

 

 

3. 「イトムカの入江」で光あそび

 

凪の湖面を楽しむ為に、誰もいない早朝に西側の大川岱のプリンスホテル前から十和田湖を横断、、SUPで中山半島の先端経由で中湖を目指しました。

 

 

5月も終わりなのにさくらが・・・

 

 

歩いても近づけない中山半島「イトムカの入江」に入ります。イトムカとはアイヌ語で「光輝く水」の意味です。北海道網走支庁管内常呂郡留辺蘂町にイトムカ鉱山という水銀が採れる鉱山がありますが、その地区は光り輝く土地だったのでしょう。こことはぜんぜん関係ありません。

 

 

このイトムカの入江、おおまかに場所はある程度わかるのですが、現地で自力で見つけるのはなかなか難しいです。見つけた時のうれしさはまた格別です。

 

 

入江の中は、湖面が鏡になっていて美しい森を下(湖面)から見ることができます。

 

 

木々の間から光が差込み、様々な青色を奏でてくれます。

 

 

水の中はこんな感じです。水中の写真は2016年、太陽が真上にあるお昼に撮った写真です。

 

 

とにかく幻想的です。

 

 

魚類はヒメマス、ニジマス、イワナ、サクラマス、コイ、フナ、ウナギ、カジカ、ヨシノボリが生息していると言われていますが、カルデラ湖なので、人間が持ち込んで定着したものと考えられます。

 

 

2016年はシュノーケリングで小魚たちと戯れました。

今回(5月)はまだまだ氷水?なので潜るのはやめました。セミドライスーツでは無理です。

 

十和田湖は4つのアプローチ道路があります。その内のひとつが有名な奥入瀬渓流のある国道102号線です。おそらく観光客はこのルート(102号~103号)で八甲田山から八幡平に抜けていくのでしょうが、十和田湖は水深も深いが、見るもの感じるものすべてで奥が深いのです。今回は十和田湖へのマイナールート「樹海ライン」を紹介しました。この道路、必要なのか?鳥海グリーンロードと同様、静かに存在しているということで、とりあえずヨシとしましょう・・・