1. 廃スキー場巡り

 

 人口減少、趣味の多様化によりスキー・スノーボード人口の減少はさけられません。それに伴いスキービジネスも変化せざるを得なく、スキー場の廃止ラッシュも避けてとおることは出来ないでしょう。今世紀に入り廃止になったスキー場も相当な数にのぼっており、そのスキー場がどのような状況になっているのか?また、「昔行ったあのスキー場どうなってるんだろう?」というノスタルジックな気分もあって、昨年から廃スキー場巡りをはじめました。

 これまで訪ねた廃スキー場は、こどもの頃よく連れて行ってもらった名色・新戸倉スキー場(兵庫県)と、憧れのスキースクールが存在した浦佐スキー場とその近くのアクシオムスキー場(新潟県)です。今回(2/25)は、マウンテンパーク津南スキー場(新潟県)を訪ねました。

 

 下の写真は、まだ雪の少ない12月(2016.12.18)のアクシオムスキー場のハーフパイプ跡です。

 

 

2. スキービジネスが成り立たない!世界有数?の豪雪地帯(飯山線沿い)

 

 下の写真は2/25(土)AM11:00頃のさかえ倶楽部スキー場(ここは営業中)の様子です。2月の休日の午前なのにファミリーの姿もほとんどなくガラガラ・・・

 首都圏の湯沢地区や関西圏の妙高地区は別格として、休日には下越・中越地区のローカルスキー場が家族連れで賑わっているのと比較すると、この飯山線沿いは世界有数(と言われている)の豪雪地帯なのにスキービジネスが成り立たない特殊な地域といえるのではないでしょうか?

 

 

3. スキー場より賑わうバックカントリー

 

 さかえ倶楽部を跡にして、信越トレイルとブナ林で有名な関田山脈の鍋倉山の麓に移動しました。ここはバックカントリースキー・スノーボードで有名なところで、駐車しているクルマのナンバーはほとんどが首都圏ナンバーです。さかえ倶楽部スキー場より賑わっている・・・この人たちが地元にお金を落とすのは温泉代くらいでしょう。

 このような傾向はますます高まっていくものと思われ、よそモノと地元の人たちが交わることで、自然と共生した新しいスノービジネスが生まれてくるのかもしれません。

 

 

4. 教育施設としてのスキー場

 

 鍋倉山観察を終えて向かったのはマウンテンパーク津南です。ここは2015年に一般営業を休止して、町内小中学校のスキー授業や課外授業等を対象とした教育的なスキー場として運営されているそうです。圧雪車には津南町教育委員会の名称が・・・

 

 

 

 このスキー場は、標高727mの茶屋峠山頂から2.5kmダウンヒルコースがとれ、、最大斜度35度、ペアリフト5基を備えていたそうです。下の写真の右端で1本のリフトが運行(一般の人は乗れません)されていて、ポールが立てられてゲレンデも整備されていました。中央から左側は整備されずにそのまま残っています。

 

 

クロスカントリーコースも整備されていて、練習に励む選手の姿もみられました。

 

 

5. 廃スキー場サイドの里山スキー

 

 スキー場は教育施設となっているので、スキー場の脇の里山を登ってスキー場の全貌を見学させていただきながら、滑らさせていただきました。

 

 

頂上付近からの眺めは抜群で、信濃川の雄大な河岸段丘をみることができます。

 

 

頂上付近の尾根には雪庇もあり、注意が必要です。

 

 

いい感じの間隔で立っているブナ林のツリーランは格別です。雪質もギリギリパウダー。

 

 

昔のゲレンデは日射の影響もありクラストしており、見た目よりかなり厳しい滑走条件でした。

 

 

6. 廃スキー場とドボクとのかかわり

 

 教育施設としてのスキー場という新しい形態をみせていただくとともに、バックカントリースキー・スノーボードの入門施設としての可能性も見出せました。関田山脈という素晴らしい自然を持つこの地域は、従来のスキービジネスよりも、なにか新しいスノーライフを提供する場所として輝きを持っていってほしいなと感じました。

 スキー場の建設は、まさにドボクのお仕事です。しかし、スキー場が廃止された跡はどうなるのでしょうか?

 まずは2つの選択肢があって、①「保持」か②「復元」かのどちらかになると思います。①「保持」にも3つの考え方があり、「保存型」・「保全型」・「保護型」で、ドボクとのかかわりはほとんどないといってもいいでしょう。②自然復元に関してはどうでしょうか?「修復型」・「再現型」・「創出型」という3つの働きかけが考えられます。「修復型」は人為的にかつての自然に誘導・回復させることで、「再現型」は完全に一度自然が破壊された後に、過去に存在していた土地本来の自然を再現する行為、「創出型」は、本来の自然にとらわれず、新しい自然をつくりだすことで、これらはドボクのお仕事になると思われます。

 

 何が正解か?はわかりません。

 個人的には、自然のままほったらかして自然の遷移に任せて自然林(原生林ではない)にするか、手入れをして半自然林(里山林)として地域で育てるのがいいと思っています。

 また、地域を活性化したいという思いがあって大きな資本が投入されるなら、新しい自然を創造するのも選択肢のひとつかもしれませんが、そのような「創出型」は関田山脈には合わないでしょう。

 もし、ドボクがかかわるとしたら防災工事を実施した上で自然環境を修復させる「修復型」か、防災工事と昔のブナ林にするための植林のお手伝いをする「再現型」なのではないかと思われます。

 今後もそのようなことを考えながらスキー場を見ていきたいと考えています。