1.久比岐自転車道

 

 糸魚川から直江津間の国道8号線沿いに気持ちの良さそうなサイクリングロードが確認できます。これは旧国鉄の北陸本線の廃線跡で、現在の線路(えちごトキめき鉄道)は長大トンネル区間となっており、特に筒石駅はトンネルのど真ん中にあるモグラ駅となっています。

 なにか大きな謎がひめられているようです。

 

 

サイクリングロード33kmのほぼ全線が旧国鉄北陸本線で、国道8号の郷津交差点付近を起点に、ほぼ海岸と国道8号に沿って走っており、起伏が少なく、日本海・佐渡島・能登半島を望むことができる風光明媚な自転車道となっています。

 

 

 

全線の1割弱はトンネルで、大小8箇所のトンネルは照明もついており快適に走行できます。

 

 

途中、自転車道から離れて、筒石の集落に寄り道することをおすすめします。

 

 

【筒石の集落】

江戸時代はじめは高田藩領、1681年幕府領、1742年高田藩領だったとか・・・漁業のまちとして栄えたようです。
この辺りの海岸線は断崖・絶壁が続き、平地がほとんどないことから、筒石集落も東側は山の急斜面、西側は海岸線にへばり付いた集落となっています。2階建て3階建ての板貼りの民家がぎっしりと建ち並んでおり、狭い道路の両側に木造板貼り3階建ての建物が建ち並ぶ様は独特の圧迫感で迫ってきます。

 

 

 

2.旧国鉄北陸本線から複線電化の新線へ

 

【複雑な地質】

 魚川駅 - 直江津駅間は、フォッサマグナの西縁部にあたり、付近に存在する糸魚川静岡構造線の影響も相まって非常に複雑な地質条件を有しています。このため、北陸本線は建設時から地すべり災害に悩まされてきました。

 工事が始まり山を削る掘削が、新第三紀層の地すべり土塊の末端部を切り取ることにつながって、地すべり土塊を不安定化させたため土砂災害を誘発させることになりました。

 

 

【多発する地滑り】

特に旧筒石駅を中心に糸魚川~直江津間で、記録に残っているだけでも20回以上もの運行停止を招く路盤流出や埋没が発生しました。列車が土砂に巻き込まれる脱線転覆事故も6回を数え、単一区間では異常なレベルの頻度で発生していることがわかります。旧筒石駅自体も、地すべり土塊の中に設置されたため、1916年と1946年の2回、駅構内が地すべりによって移動、破壊されるという災害に巻き込まれました。 

 

 

【大規模地滑りの発生】

 また、昭和和38年3月16日16時35分頃能生町小泊地区において大規模な連続地すべりが発生し、現場を通りかかった敦賀発直江津行き普通列車(7両編成)が地すべりに乗り上げた後に機関車と客車1両が、埋もれた集落の上を海岸付近まで流される惨事(15名の軽傷者で済んだ)となりました。

 

 

【北陸本線の付け替え】

 北陸本線の複線電化工事では、従来のルートは地質学的に今後も地すべりの被害が予想されたこと、海岸至近を走る為に波浪等の影響や電化設備の塩害も無視できないこと、地形的に狭隘な場所を通っているために複線化の用地を確保するのが非常に困難な事などから、この区間の線形を山側へ振り、一直線にトンネルで抜ける経路が選択されました。

 

 

【モグラ駅の誕生】

 筒石駅周辺は明かり区間などの適地がないため、保安面の管理の役割も兼ねて頸城トンネル内への設置が行われることになりました。筒石駅は、集落のある海岸沿いから離れた山中にあり、駅舎とホームとの高低差は40mもあり、駅舎の改札口からホームまでは洞窟のような階段を降りて行きます。途中で上りと下りそれぞれのホームへと分岐しており、改札から下りホームまでは290段176m、同じく上りホームまでは280段212mとなっています。東京駅で新幹線ホームから京葉線ホームに乗り換えるよりは楽です。