4次元空間を考えてみよう | 科学は面白い

4次元空間を考えてみよう

 先日、「時間軸なんて見えると困るから、虚軸にしてある」という意味のことを、特殊相対論のところで書きました。でも、実際もし、第4の次元が存在して、私たちが知らないだけだとしたら、どんな幾何学が通用するのでしょう。ちなみに、x,y,zに続く第4の次元を、qとすると、球面(3次元超球面)の式は、


 x2+y2+z2+q2=r2


となります。・・・と言っても、いまいちピンと来ませんよね。そりゃそうです。書いている私もピンと来ていない。どだい、3次元人に4次元を理解しろと言うのは無理な話ですが、このブログは無理を承知で書く物ですから、そこを何とかしなければ行けません。


 そこで、立方体を考えてみます。まず2次元立方体・・・って、正方形ですよね。もし、1次元人がいて、2次元は理解できないとしたら、これを展開図にしてやる手があります。・・・でも、単なる直線になってしまいますが、これは仕方がありません。何しろ1次元の世界は、直線しかありませんから。


 じゃぁ。3次元立方体・・・と書かなくてもこれが普通の立方体ですが、2次元人に説明してあげるには、これも展開図にしてやると、何となく理解してもらえるような気がします。この展開図は良く出てくるやつなので、問題ないですよね。さて問題は、4次元立方体です。3次元立方体は、正6面体ですので、6つの正方形から成り立っていますが、4次元立方体は、8つの立方体から成り立っています(正8胞体と呼ばれる)。展開図は、下図のようです。



展開図


「えっ?この立方体8つをどうすれば正8胞体になるんだ?」などと、私に尋ねないで下さいね。私は4次元人ではありませんので、そんな超能力は持ち合わせておりません。ただただ3次元に展開「図」を書くと、上図のようになると言うだけの話です。


 ところで、3次元の正多面体は、星形を除けば、正4,6,8,12,20面体の5種類しかありませんが、4次元の正多胞体は、


 正5胞体  5個の正4面体からなる。

 正8胞体  上記の通り、8個の正6面体(立方体)からなる。

 正16胞体  16個の正4面体からなる。

 正24胞体  24個の正8面体からなる。

 正120胞体 120個の正12面体からなる。

 正600胞体 600個の正4面体からなる。


 の6種類あることが知られています。これがユニークな点ですが、無限に正多面体(正多角形)のある2次元空間を除けば、多次元空間で、4次元空間が、最も正多胞体を多く持っています。5次元空間以上では、正多胞体は、3種類しかありません。


 ちなみに、4次元多胞体(正多胞体でなくてもいい)では、以下の式が成立します。


  頂点の数 - 辺の数 + 面の数 - 立体の数 = 0


 3次元空間のオイラーの多面体公式に相当しますが、これを発見したのが、「ポアンカレ予想」のアンリ・ポアンカレです。才のある人は、いろんなことをやっていますね。