風邪をひいていた。
先々週末は特にひどかった。
私は彼と週に1回会っているが、この前はデートできる状態ではなかった。
今、我が家は3人暮らしだが、家族としては崩壊しているので、3人家族とは言いたくない。
パンを口にし、薬をのみ、私は深く眠っていた。
ケータイの音。
出てみると彼がクルマで近くに来ているという。
イチゴや冷凍食品を持って来てくれたそうだ。
「やっと起きたか。ゆっくりでいいよ、取りに来るのは」そう言った。
彼は愛犬を連れていた。
ワンちゃんは外が大好きで私に飛びついた。
ボサボサの髪を1つに束ね、着の身着のままで家を出てきた。
「おサイフは持ってきたから、飲み物を買いに一緒に行ってくれる?」
「ああ、いいよ」
そう言って彼はクルマを走らせた。
アクエリアスや緑茶のペットボトルを半ダースも買った。
レジでお札を手に待つ私より素早く、彼はオカネを出してくれた。
「どうもありがとう」と言うのが精一杯だった。胸が熱くなった。
「早く元気になりなよ。よく寝てね」
そう言って彼は帰って行った。
彼が持たせてくれたものだけで、私の1人用冷蔵庫は一杯になった。
冷凍庫もパンパンだ。
彼の家は決して近くない。
それを食料品を届けるためだけに来てくれたなんて。
私は生きてきてここまで男性に良くしてもらったことがない。
せいぜい「お大事に」という電話くらいか。
これで飢えずに臥せていられる。
そして彼の情愛に心から感謝した。
私以外、誰もいない家の、レースのカーテンが揺れていた。
本物の家人よりも私を気遣ってくれる人。
ありがとう。
本当にありがとう。
愛しています。