PTAミッション・インポッシブル〜その3 誤算 | はれ、ときどきリウマチ

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時々痛みが出るリウマチ主婦の、時々下手っぴな絵がついてくる「時々絵日記」

(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→  その2→

「302…」
電話で聞いた部屋番号を確認し、ドアチャイムを鳴らす。迎え入れてくれたわこちゃんのお母さんにお土産を手渡し、急に訪問したことのお詫びなどを一通り終えたところで「実はPTA次期会長の件で…」と切り出した。

「やっぱりそのことかなーと思ってた(笑)」
「よねー(笑)」

話し合いは2時間にも及んだ。
大きな誤算は、わこちゃんのお母さんが幼稚園の役員をやりたがっていたことだった。
あさ月も清水会長もてっきり幼稚園の役員は仕方なく引き受けるものだと思い、だから「夫が小学校のPTA会長になるから」を免罪符に幼稚園の役員から逃れられるよ☆というのをセールスポイントだと考えていたがそれはおよそ見当違いだったということだ。
言われてみればわこちゃんのお母さんは子ども達がまだ2歳くらいの頃からボランティアのような活動に携わっていたなあ…と今更のように思い出す。
幼稚園の役員もやりたくて仕方なかったが、わこちゃんの時は下の子がまだ小さく、その下の子が入園した今年度は旦那さんが小学校の役員なので我慢して、来年度からやっと…!というところだったのだそうで、もう下に子どももいずラストチャンスなのでこれは譲れない、という主張には筋が通っていた。突き崩すのは無理だと悟り、途中からは他の候補者を挙げてもらう方向にシフトした。

わこちゃんちのあるこのマンションはとある大手企業の借り上げ社宅で、会社関係の知り合いが多いのだ。
「○○さんはバレーボールクラブの監督をされてて、リーダーシップがありそう」
「△△さんは子ども好きで面倒見の良いお父さんだし、向いてるかも」
等々。
なお件の「会長になってはいけない副会長No.1」早見さんも実はこの社宅の住人で、木原さんが会長になるのを渋るのはそのせいもあった。同じ会社だし家も同じマンション(ついでに子どもも同級生)。早見さんが「誰もいなかったらしょうがないから俺がやるしかないよねー」などと言いながら内心では会長になりたがっているのを知っているから、それを差し置いて会長になったりしたらどれほど気まずいか…ということを心配しているのだった。それも理解できる。

あさ月は帰宅後、清水会長に電話し「木原さんの奥さんに幼稚園役員を諦めさせるのは無理。イコール、木原さんを会長にはできない。社宅内の他の候補者を何人か聞いてきたから当たりましょう」と進言した。
これを受けて木原さんに正式に辞退を受理する旨連絡した、と清水会長からメールが入った。

おまけとしてわこちゃんのお母さんは
「もし下の子が入学したら、その時は本部役員をやるから!会長は無理だけど、書記とか会計とか…」
と言った。
いやいや旦那さんが今既に本部役員だから、もう本部はやらなくて大丈夫だよ!?と言っておいたが「ううん、いいの、下の子とは学年が5年も空いてるし、また回ってくるのも覚悟してるから」と言っていた…
と清水会長に言うと

「いや、本部役員に関しては『やりたい人よりやってほしい人』という格言があってだね、やりたい人は往々にして危険なんだよ(苦笑)」

とのこと。
この格言を作った(?)のは他校の会長さんだそうだが、PTA役員経験者の中には頷いている人もいるかもしれない。

さらにおまけの2として、この翌日からわこちゃんの妹がインフルエンザを発症した。2日後あさ月が高熱で倒れた。翌日には次女が、その半日後に長女も高熱を出し、子ども二人ともインフルエンザの診断。
あさ月だけは検査の結果陰性だったのだが、でもどうもあの2時間でわこちゃんちからインフルをもらってきてしまった気がしてならない…。(参考記事→

さて、木原さんをすっぱり諦めその日から他の候補者に次々アタックを開始した…と聞いている。アタックするのは今回任期切れになる本部役員と常任委員の一部(兼任)で構成される選出委員会の役割で、あさ月は委員ではないのでメール等のやりとりで経過を断片的に知るのみだが。

なお現会長と会計監査役は任期切れでも例外で選出委員ではなく、選出委員長は任期切れになる方の副会長と決まっている。すなわち早見さんである。
本来選出委員は自分自身を選出することができない。そのため常任委員から選出委員となり本部役員に選ばれることを回避する人もいるくらいだ。早見さんが大っぴらに「会長になる」と言えない理由もここにある。だが大っぴらには言わないが「誰もいなかったら俺が会長になる」と度々発言しているので、清水会長はこのルール無視の所行も苦々しく思っているようである。

アタックの結果は相変わらずNG(お断り)の報告が並ぶ。
そんな中、清水会長は新機軸を打ち出してきた。

(つづく)