5月3日夜公演、23階の笑い、
再度観劇してきました。



自分の初日に2公演観ちゃったので、
2日目なのに3公演目って。




1日に2公演は私には消化しきれないのかもしれません(←贅沢いうか)。



でも、この舞台ほど、レポを観てそこに自分が入ってなかったことを悔やんだことは今まで無かったと思うのです。



毎回毎回が違う。



だからこの観劇後にチケット追加で買いたいと思った気持ちを、
いろんな理由で抑えて抑えてます。



宣伝でふぉ〜ゆ〜がいろんな場所で力説してくれていましたけど、
ファン目線で見てるのに、
毎回がこんなに違って面白いのって、
すごいことです。



お笑いのプロとのタッグだというせいもあるし、
そもそもがお笑い作家の話だし、
そして笑いを芝居にした脚本に則って演じている、
言わば「毎公演がいつも初回」みたいなポリシーのもとに作られた作品なのですね。





今回私、
演じているふぉ〜ゆ〜のみならず、
共演者さんも、
作品も、
原作も、
作品の生まれた時代背景も、
まるっと愛しちゃってます。




こんなにどっぷり浸ってるのも我ながらすごいこと。


あ、これは初演の観劇後からです。









さて。
今日もネタバレがっつりですので、
NGの方はお引き取りください。





















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今回のお席は、半分より後方の上手寄り。

全体が見渡せるお席でした。


今回はこのお席ならではの見え方があったので、
やっぱりお席にはちゃんとどの場所にも意味があるのだなと再認識できて、
自分の考えが正しかったと安心しました。






辰巳さんはこの公演では初演の時とは違う場所から登場するのがお決まりなのですね。





3回目に感じたのは、
舞台上から話しかけるより、
通路のすぐそばで話しかけた方がより一層観客に近くて答えを引き出しやすいからかな、
ということです。



最初の問いかけが、どこから来たのか、
そして2つ目の問いかけがが、好きなバラエティ番組はなんですか、
これを聞くのが芝居の導入部分となって観客を引き込んでいく。


掴みはオッケーってやつですね、初演より進化した。



辰巳さんのこの登場で、おおっ、っとなるのです。




次に登場するのがこっしーミルト。




前回観劇の後、
ミルトが帽子をかぶり変えてホジャマカホジャマカするくだりを思い出したくて、
改めて冒頭部分の脚本を読んで見たら、
まー、お下品な言葉遣いが多いし、
下ネタ多いし。



スタイリッシュに仕上げてくださった脚本家さんに本当にありがとうです。



次に登場するのが、
辰巳ルーカスとこっしーミルトのダンスを遮っての福ちゃんヴァルです。



ヴァルも、
初演に比べてキャラが濃くなってます。


訛りはひどくなってるし、
面白さも増してる。


声が大きくてよく通る。


ヴァルは終始、張った声で演じてる印象があります。


セリフがよく聞こえることで、
訛ってるんだな、ってことがより分かりやすくなった。



だから「白いスーツ」のところを、
「スロいシーツ」と今回言い換えたことが、
噛んでしまったんではないんだな、
敢えてセリフがそうなってるんだな、
ってわかるようになってる。









キャラの濃さ、で言えば、
辰巳さんも、
どこがどうなのかはわからないけど、
前回より一層「小粒」感が強くなってます。


小粒、言い換えれば、下っ端、新人。





劇中ではストーリーテラーでキャストの紹介もするしナレーションもこなす大事なポジションだけど、
役の中では脇役だし職場の内部階層でも入社したての新人くん。



その感じが一層強い。



のは、
電話が鳴ったらすかさず飛んでいくのも新人の仕事だからだし、
アドリブやアクシデントで間髪を入れずに拾うのはルーカスの役割なこともあるし、
いろんな局面で、「気がきくヤツ」な役回りだから。







こっしーミルトは、
だいぶいじられ度が増してますね。

こっしー自身のミルトのキャラがどうとかでなくて、
ブライアンやケニーやアイラのお笑い芸人さんの弄りターゲットになる場面が多い。


女好きで下手したらセクハラギリギリなところをさらっと演じてるのはこっしーの持つキャラのなせる技だと思うけど、
こっしーの、
いじられたときの返しのおもろさ(大阪出身のせいもある?)を、
知ってるから余計にいじってくるのか、
毎公演のやりとりがミルトの役を越えておもろい。






入山法子さんのキャロル。



私はこの方詳しく存じませんでしたので、
蒼乃夕妃さんのキャロルの、
あの鈴を転がすような声が大好きだったから、
最初は少し不安を持って観ました。



結果、
法子さんキャロル、大好きになりました。


声は鈴を転がすようなソプラノ声ではなく、アルトですが、
下品な言葉と下ネタ連発でタバコ臭い職場で働く仕事が大好きな女性を、
しっかりきっちり演じています。




そして、
最初から最後まで凛として演じきっていた蒼乃夕妃さんキャロルとは一味違う、
途中涙声になりながら演じている入山法子さんキャロルは、
これはまた私の好きなキャロルです。



キャロルは働く女子の思っていることを代弁している。



女性として扱ってほしいのでなく、
仕事ができる人として扱ってほしい。


本当に同感ですよ。


たとえマックスの奥さんが女性としての人生を謳歌しているとしても、
マックスに養ってもらっている人生を謳歌する奥さんみたいになるより、
作家キャロルとして仕事をする人として謳歌したいのですよね?


その考え方は、1950年代ではまだ少数派だったのかな。


所詮は男性が描く女性像だから。


この、
女性としてではなくて作家として評価されたい、
と語るシーンの入山法子キャロル、
このシーンでは毎回、泣けます。


そして入山法子さん自身も涙声ですね?


それを観てまたもらい泣きするという。




入山法子さんキャロルのもうひとつ私が好きなところが、
話し方のイントネーションが、
ちょっと洋画吹替版みたいな、
独特なイントネーションを感じるところ。




なだぎ武さんが以前やってらしたアメリカンコメディみたいなあれを彷彿とさせるイントネーション。


胸がすく感じが好きです。










マックスプリンスのザキさん。


こちらもキャラが際立っています。


初演を観た時は、
「登場シーンで空気が変わる」のはなだぎ武さんアイラ登場の時で、
本当にそれまでと違う空気にガラッと変わる感じが、
ふぉ〜ゆ〜まだまだ至らないんだなと、
悔しく思ったし、尊敬もしてた。



今回の再演では、
なだぎ武アイラ登場と同じか、それ以上に、
マックスプリンスが登場したら空気がガラッと変わるようになってます。



私、
マックスプリンスが最初にドアを開けて登場するシーン、
いつも無意識に拍手してるんです。


周りが誰もしてないので、
音を出す前に気づいてやめてしまいますが。



コメディ界の大スター・マックスプリンスの登場シーンは、大好きなシーンの1つです。




ラストでマックスが23階の作家さんを集めてこの先のことを話すシーン。


ルーカスとキャロルが感情を抑えきれなくなっているのには気づいていたのですが、
マックスプリンス自身も、
あの長いセリフをきっちり言いながら、
感情が高ぶってしまった場面を見て感動してしまいました。



マックスプリンスが一人で作り上げたマックスプリンス像、
それを影から支える作家集団。


この信頼関係があっての23階の終わりを告げるシーン、
初めて愛してると言えるシーン、
「ずっと走り続けていれば死なないってことをな」
(戯曲集では「ずっと走り続ければ大丈夫」、英語では、「"not if they run all the way."」)の言葉を発するシーン。
ここに、
私は本当にずしんときてしまいました。



ここを観ると、実際モデルになった元の人物がどんな半生を送ったのか、
知りたくなってしまいます。









そして、
私自身に、
この作品を本当に理解できる土壌がないなぁと、いつも思うのです。


ヴァルが何度も言う「神よ」という言葉や、
ルーカスがラストで語る、
ヘレンは法学部を出てその後のことは神のみぞ知る、という言葉に現れ、
マックスが聖書のどこそこのページに載っていると言うことなどに現れる、宗教観。



政治的な言葉を発しようものなら、狩りに来られて捉えられるような政治的弾圧のはびこる社会。


テレビ番組創成期でいろんなことが試行錯誤だった時代。




こんなことはみんな、私はわかってないです。






わかってなくても十分楽しめる作品になっているけど、
それ以上に味わいたいと、
思ってしまう欲張りものなのですね。










それと。


私が観劇した帰り道で、ちょうど脚本家さんがブログをアップしてくださいました。




ラストでふぉ〜ゆ〜が歌って踊る曲について。


これは岸田敏志さんがふぉ〜ゆ〜のために書き下ろした新曲なのだそうです。






脚本家さんがおっしゃっているのによれば、
歌詞が今現在のふぉ〜ゆ〜にぴったり合っていると。



これを読んで、
それまで新曲のメロディラインしか追えなかったことをすごく後悔しました。


歌詞に疎い私。


でも、ふぉ〜ゆ〜に合っているとしたら、
なんとかしてそれを覚えて帰りたい。
(歌詞をアップすることは法に触れるそうで、脚本家さんはブログには載せていらっしゃらないです)



次に観劇するときには、
ここに注目してしっかり歌詞を聞いて、
できる限り記憶したいと思います。