先日、東工大リベラルアーツ研究教育員教授でありワークショッププロデューサーとしてもご活躍されている中野民夫先生のイベントに参加してきました。

 

テーマは「からだと心を調えて自分の軸と向き合う」。

 

場所は鎌倉の由緒正しいお寺、光明寺

 

ベトナム出身の禅僧でマインドフルネスを広められたことで有名なティク・ナット・ハン氏が1995年に1day セミナーを開催された場所とのこと。

 

あいにくの雨でしたが、庭園の池に広がる雨のしずく、風の音などまた風情があって。

都会の喧騒から離れてゆったりした時間を持つのにふさわしいロケーションでした。

 

 

 

中野先生のゆるやかで心地よいファシリテーションのもとスタートしたワークショップでは、ヨガと瞑想から始まり、歩く瞑想、食べる瞑想など、いつもとは趣向の違う「瞑想」が盛りだくさん。

 

後半は、「えんたくん」を使って自分史を振り返り、最後は自分の「軸」を見つめて参加者とシェアして終了しました。

 

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中野先生が即興?で決めたワークショップのサブテーマは「無理しない」「頑張らない」。

 

毎日頑張っている自分のペースを少し緩め、体感を使って体の奥から沸いてくる自分の本当の声と向き合いました。

 

「歩く瞑想」を初体験したのですが、これが驚きでした。

 

呼吸を意識的にしながら、一歩一歩、足が地面に着いて、離れる感覚を丁寧に意識しながら歩きます。

 

瞑想によって感覚が開いたせいか、歩きながら目に入ってくる景色が全く違って見えたのです。

 

新緑の鮮やかな緑、枯葉の茶色、石の灰色、苔の深いグリーンなど、自然界にあるすべてのものの色がそれはそれは美しくて。

 

その時私の中に浮かんできたコトバは「調和」。

 

枯葉が落ちている場所、何気なく生えている苔、塀の上にいるかたつむり。それらすべてが一切の狂いなく、「そこにいる・ある」という感じでした。

 

うまく表現できないのですが、自分の目に入ってくる景色がすべて完璧な構図の絵画のよう、そんな感じでした。

 

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「食べる瞑想」では、一口食べたらお箸を置いて味わいながら50回以上咀嚼。

 

親しい人と食事をする以外は、「摂取する」感覚でものを食べていた自分にとって、丁寧に味わうことは忘れていました。

 

そうやって食べると、満足感、満腹感も全く違うのです。食べ物を「頂く」という感覚を改めて思い出した時間でした。

 

ワークショップ前半は、チェックインで自己紹介を簡単にした以外は、参加者とほぼ話はしません。

「自分と向き合う」一日なので、参加者と社交はしない。

 

普通のワークショップでは、意見を述べたり、シェアをしたりしますよね?

そいういうソーシャルな時間を手放して静か環境で自分と丁寧に向き合うことができたのは、本当に贅沢な時間でした。

 

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後半のワークで行った自分史の振り返りでは、自分がこれまで「頑張た体験」をもとに自分年表を作りました。

 

私がこれまで「頑張った」経験で自分を支えていたものは、「義務感」「責任感」「負けたくない」といったもの。

 

頑なに張る」という字のごとく、歯を食いしばって、気を張って生きてきたような気がします。

 

頑張って取り組むことで手に入ることも沢山ありました。

ただその代償?も色々とあった気がします。それは肉体的なダメージだったり、精神的なものだったり。

 

人生は試練があるからこそ楽しい、とよく言います。

 

一方、「我慢することに価値はない」的な思考もありますが、自分の目的に合った適度な「葛藤」や「試練」は、豊か学びに不可欠なんだと私は思います。

 

楽して何かを得ようとすると、結果的に手に入ったものは味気ない、表面的な経験だったりでしかないのかもしれません。

まあ、それは人それぞれかもしれませんが。

 

しかし、1つ言えるのは、誰かと比較して自分にないものを得ようとすることは適切な「葛藤」ではないのではないかな、と。

 

自分の理想の状況に必要な「正しい試練」や「葛藤」をいかに自分の内側で持っておくか、ということが大切なのだと思います。

そして、葛藤のコアとなるのが「自分が大切にしたいこと」や「自分が体現したい価値観」といった「軸」なんだと思います。

 

自分なりの「頑張る」というスタイルをもっと探求したい、と思いつつ、「頑張りすぎない」ことも大切だなーと思った一日でした。

紫陽花が美しくなるこれからの季節、鎌倉にも近いうちに遊びに行きたいなあ。