野良犬の襲撃  牧場での思い出             

 

この牧場へ引っ越す前日にラブラドルリトリバーとアメリカンピットブルの雑種の子犬を広告の中に見つけて10ドル(現在のレートで円に換算すると1000円ぐらいでしょうか)で買いました。

牧場で犬が必要になると思ったからです。翌日の引越しまで、一晩だけステーションワゴンのトランクで寝かせました。

 

広告の中では、どの犬もこの子犬よりは高かった。

今回もニワトリの例と同様なことが起きました。それはメス犬一匹では残念ながら牧場にはいまいちだってことが後になって分かったのです。

 

野生状態のニワトリの場合は群れにオスがいないとそれぞれの役割の点で不都合が生じたのです。前に書いた,ニワトリが鳥のように飛んだ、

で起こったと同じような事になったのです。

 

犬の場合にも牧場という野生に近い環境の中では似たような事が起こりました。

この犬が一歳ぐらいの頃の明け方に鶏小屋が野良犬か野犬か飼い犬かははっきりしませんが、襲われたのです。

 

侵入犬は見た目、ヒマラヤンハスキーのようなかなり大型のオス犬でした。その大きな野良犬に対して家の飼い犬は全く無力だったのです。

 

相手のオス犬に対して、家の犬がメス犬だったということがおおきな原因だったと思います。

これがオス犬だったら相手も見知らぬオス犬のテリトリーに侵入するのは気分的にも抵抗があったはずなのですが、こちらがメス犬だったため、何の抵抗もなしに侵入でき、大暴れしたのでしょう。

 

今回もまたオスという存在の欠如が悪い結果を導いてしまったようです。

 

ちょっと話がそれますが、

その辺りでは明確にビーグル犬のようなハンターの猟犬であると分からない限りは牧場に入り込んだ犬は射殺するというのが地域のやり方です。鹿を追いかける猟犬をよく見かけるのです。

これは近くの牧場主で、私にいろいろ教えてくれたアメリカ人から聞いた話です。

と言うのも、一度ニワトリなどの家禽を襲って味をしめた動物は将来必ず、また襲いに来る可能性がとても高いからです。特別な理由でも無い限り、獲物がいなくなるか、自分が死ぬかするまでは獲物を恐らくは狙い続けるのでしょう。

 

射殺するのは酷の様ですが、その姿勢に牧場の家禽の命がかかっているのです。これを甘くするなら、その代わりに自分の家禽が命を落とす危険が高まります。ですから犬がよその敷地に行ってしまわないように注意しなくてはならないのです。ましてや自分の犬が他人の牧場で家禽類を殺戮したりしたら、相応の覚悟がいるものと思います。

 

後で襲撃の結果を調べてみると、死亡6、負傷数名。食べた訳では無く、ただ面白半分に暴れまわって殺戮しただけです。

 

けれどこの暴れイヌは結局、牧場から無事に出る事は出来なかったのです。

 

私がこの犬を家の中から発見した時は一羽のニワトリがこの犬にバタバタと追われている時でした。しかしその野良犬は既に何羽も殺戮を終えていたのか、私が発見した時には、すでに最後のニワトリの追跡もいい加減になっていたのです。もう遊び飽きたのでしょう。

 

敷地のあちこちに白いニワトリが倒れていたのが目に入りました。その犬は家のつないでいたメス犬の近くまで来てから、これ見よがしに意気揚々と片足をあげてマーキングをしていた。

 

こういう時に畜生と言うのでしょうか。私は急いで階下に降り、ショットガンをとりました。

 

ところが家から出て、犬はどこかと探してもつい先ほどまでいた場所にはいない。その犬は既に、あの鷹との戦いでニワトリの殺された牧草地を既に、トコトコと小走りで走っていた。帰ろうとしているのでしょう。

私と犬との距離が広がるばかり。長射程に弱いショットガンでは犬までの距離が遠すぎてダメかも知れない。

そう思って、大急ぎで戻ってショットガンを置き、ライフルとその銃弾を持ち、家から飛び出しました。タッタッと走りながら銃弾を込めた。それで相手も私が彼を追っているのに気付いたようで逃げ足が早まった。小走りしながら振り返ったりして、逃げるところを見ると、自分が何をしたかを承知のようだ。

 

大型の犬が中型か小型犬ぐらいの大きさに見える程、遠くに離れてしまっている。もうほとんど牧草地の外れだ。あせって、立ち姿勢のままで狙いをつけて引き金をひいた。ピュンと銃声が牧草地に響く。

 

ダメだ、ミス。私の手に入れたライフルはもともと歩兵の使う軍隊用で強力だけれども、年代物だ。きっと火縄銃の次に生産されたものに違いない。

上は私の持っていたライフルとそっくりで、同じ型かも知れない。

 

一発目をミスして、今度は片膝をついてしっかりと狙いをつける。しかし驚くほど大きくて重いのでやりにくい。

電信柱を持って狙いをつけているようだ。

 

銃口の先がちょっとブレただけでも目標に到達する頃には象にでもあたらなくなるほどに誤差が広がってしまう。

 

慎重に銃口がさらに小さくなっていく目標を追う。

二発目の引き金にゆっくりと力を込めていく。ピュンと二発目の銃弾が牧草地を飛んでいく。犬の近くに土煙のようなものをあげただけでまたミス。

 

近くに銃弾が着弾したことで、犬は驚いて逃げ足を速めたようだ。もう一度、撃鉄を引いて、走る犬を慎重に銃口が追う。もう目標はさらに小さくなってしまい、これでは逃げられそうだと心の中で思った。ピュンと三発目を発射した。銃声が消えた途端に遠くの犬がひっくりかえった。当たったようだ。

 

しかし、しばらくもがいていたと思ったら、また起き上がって逃げ出した。しぶとい。もう牧草地の外へ出てしまっていた。

 

どこに当たったかは分からないけれど、死んだニワトリ達の為にも痛いお灸はすえてやることが出来たと思う。たとえ生き延びたとしても、もう二度とは来ないだろうと思った。

 

ニワトリは孵化後、直ぐに送られてきたヒヨコ達で、良く人間に懐いていたのに残念だった。

 

 

早急にオス犬をどこかで買わねばと考えている内に、ちょっと前に、どこかの庭で子犬が5,6匹チョロチョロ歩いているのを見かけたのを思い出した。不思議な実体験にでも出て来たドーベルマンピンシャ―の子犬のようだけれども毛並みを見ると雑種のようだったが、今はそんなことは勿論、どうでも良かった。

 

譲ってもらおうと、話を聞くとメスがドーべルマンでオスはラブラドルだと言った。けれどその持ち主は無料でくれた。アメリカ人の外国人に対する気持ちが嬉しかった。後に成長してこのオス犬は爪の鋭いアライ熊と鶏の為に戦うことになるのですけど、今回も長くなっていますので、その話は次回に回します。またその時に読んで下さい。

   

 

上下ともカナダでの私の自家製手乗り文鳥です