アメリカの牧場での思い出
牧場の為に色々準備をしたのですけど、初めに産卵用のヒヨコを30羽注文しました。
この鳥は産卵用の種類ですので、オスは必要無いと思ってメスだけを購入したのです。けれどこの後で書きますけど、これは失敗でした。
出来るだけ鶏も野生に近い状態で飼っていたのですけど、それでもトウモロコシを夕方にはあげます。
牧草地で餌を探している鳥たちをいつも夕方に同じ呼び方で呼ぶのですが鳥たちもこの言葉を覚えます。
夕方の牧草地に響く呼び声を聞くと、日の終わりのごちそうタイムの事ですので、声のする方へ一刻も早く来ようと大騒ぎになります。トウモロコシのような穀物は、ほぼ野生化している鳥たちには大変なごちそうなのです。
ソレっとばかりに皆が一斉に走り出します。ボストンマラソンのスタートのようです。ところが初めは飛行機が助走するように必死に駆け続けているのですが、そのうちに空気抵抗を受けて空中に舞い上がります。
いくつもの白が空を飛んでいるのです。飛んで来る、とはこの様な事を言うのでしょうか。
胸程の高さの牧場のフェンスのかなり上空をサーと簡単に飛び越えて私のところまで、いくつもが空中からバタバタと舞い降りて来ます。
着地もどこでどう覚えたのか転びもせず、普通の鳥と変わらず上手に着地をします。鳥たちも、自分が飛べたことには驚きもしません。
このメス鳥の群れには初めからオスがいないのですけど、群れにオスがいなくてはこういう放し飼いのような野生的な環境の中ではダメなようなのです。
メスは自分の分と卵の分までということでオスよりも餌をかなりの量で余計に必要とします。その為、牧草地では夢中になって餌を探すのです。
初めは牧草地のそこいらじゅうにいた殿さまバッタが最後には一匹も見かけなくなるほどに食べ尽くしてしまう。ニワトリの前には殿さまも足軽も無いのでしょう。
最後には餌を求めて危険な森の中にまで足をのばし始めるのです。しかしこのメスが餌に忙殺されている時が危険になります。
そういう時のオスの目は鋭く身じろぎもせずに牧草地の動きや変化を見渡しているのです。
敵を見つけると警戒の声を張り上げて知らせます。それを聞くとメスはクモの子を散らすように一斉に安全な場所に逃げ出します。
しかし見張り番のオスが不在のため、その一年が終わるまでに鳥の数が半分に減ってしまったのです。
いったん、鳥を捕らえて味を覚えると、動物は現状が続くかぎり獲物を狙い続けます。
昼間であるにもかかわらず、草に隠れながら接近し、メス鳥を捕獲するほどに敏捷な相手は恐らくはキツネです。
ところがキツネはその姿を私に見せたことは一度もなく、こちらに存在を示したのはその鳴き声だけなのです。
私も家から外に出るときには大抵はショットガンを持って出ます。キツネのような野生動物にはこれがないと距離的にも、時間的にも、いざという時に到底、間に合わないのです。
ショットガンは命中率がよく、狙いを定めるとミスをすることはまずありません。しかしこれをキツネに使う機会はとうとう一度もありませんでした。キツネの姿さえ捕らえることが出来なかったからです。
キツネは私が家から飛び出すのを事前に察知していたのかも知れません。
しかし後になって、ようやくニワトリのオスを群れの中に入れたのです。オスが群れの中にいることでオスを中心にして全体がまとまったような印象に変わりました。
危険管理はオスにまかせるのです。メスのそれぞれは、あちらこちらにいるかも知れない敵に注意を向ける必要はなく、ただオスが警戒音をだすかどうかだけを注意すればいいのですから、。
しかし敵はキツネだけではなく、鷹、野犬、アライグマなどがいた。鷹が牧草地の外れの大木に止まっているのは知っていたのですが、、。
さて、この先を続きがあるのですけど、長くなりましたのでそれは次回にします。
自家製手乗り文鳥
