「日本の産業を巡る現状と課題」が話題だ。

このなかで、ドメスティック企業とグローバル企業の一人当たりの付加価値の伸びを比較して、ドメスティック企業の付加価値を高めることが鍵と主張している。

これは全くナンセンスだ。

薄利多売のビジネスモデルと、手厚いサービスを売り物にするビジネスモデルと比べているに過ぎない。
前者は「標準化」して以下に生産性を向上するかが重要であり、後者はいかに顧客満足度を上げるかが重要である。

当然、後者は生産性は悪くなってしまう。

具体的な例を挙げると、ソフトウェア業界でいえば、汎用パッケージと個別SIを比べていると言える。
当然、コードの行あたりの付加価値は汎用パッケージのほうが高い。


ナンバーワン企業の法則―勝者が選んだポジショニング (日経ビジネス人文庫)/M.トレーシー

¥730
Amazon.co.jp


この本によれば、会社が生き残っていくには「業務の卓越性」「製品リーダーシップ」「カスタマー・インティマシー」の3つの戦略のうち、どれか1つを選択、実行する必要があるのだ。

ドメスティック企業はこのうち「カスタマー・インティマシー」を実践しているにすぎない。
そして、付加価値の増大も非常に限られるのだ。

ただ、それ自体は決して悪いことではない。