おれはその母親との暮らしには何不自由してなかった様な…


問題あってもただ忘れてるだけかもしれないけど…



そのころは確か4歳位だったかな


保育園にも行ってなかった気がする



あの日普通に平屋の自宅の前で何かして一人で遊んでた

母親は家にいた










そして









それは突然だった








大人の男の人に無言で担がれ強引に連れていかれてった


おれは何がなんだか解らず大泣きしてた



知らない人にどこかに連れてかれる




そう思ったんだろうと…




近所の人も見かけない大人に近所の子供が泣きながら担がれて連れていかれるのを見てただろうけど誰にも止められる事はなかった





そのまま近くに置いてあった車に連れていかれた


そこで初めて小学生くらいの女の人がいることに気付いた





そう






父親が姉貴一人を連れておれを奪いに来た




車に乗ってからの姉貴のあの一言が今でも忘れられない




「もう泣かないの?」




車に乗ってからはなぜか泣き止んだのも覚えてる





父親が言うには担いで連れていく時に小学生の姉貴がそばにいたから周りの近所の人は何も言わなかったんじゃないかって言ってた



普通人さらいが小さい女の子連れて誘拐しにくるか?っていう事でしょ




それからの記憶はない




当時のそれぞれの気持ちを考えてしまう



父親はどんな気持ちで家を出てうちに到着しおれを発見して強引に連れ去ってったんだろう


心臓バクバクいってたのかな


浮気相手と鉢合わせての修羅場も予想してたんだろうか


母親とのバトルもあるかもって思ってたかも





姉貴は一部始終隣で泣いてるおれの姿や連れてかれる場面を見て何を考えてたんだろう


前日まで学校の友達とこのことで話してたかもしれない


おれを見てなんでそんなに大泣きするの?って思ってたと思う




近所の人はただただびっくりしてたんじゃないかな













母親は…


どうしてたんだろう…


その時は母親の姿は見えなかった

もちろん外で息子の大泣きする声が聞こえたんだから気づかなかった訳ではないと思う





浮気相手の人は仕事で居なかったとはず

母親は少なくとも外に出てその様子は見たと思う


でも奪い返せるわけないって思った諦めただろうに


きっと泣いただろう





それまでおれと過ごした毎日


その日を境に息子が居ない毎日になってしまってどう思っただろう


家に帰ってきた浮気相手はおれが居無くなったって聞いてどう思っただろう


せっかく買ってくれた服や下着やおもちゃ


あの自転車はどうしたかな


すぐ処分したかな


また戻ってくるかもしれないって少しの間残してたかな





今となっては知ることもできない







それはそれで良かったのかもしれない


おれがいなくなって二人だけになる






おれという昔の出来事を思い出すものが消えたから

新しい生活を始められたんだと思う



その浮気相手の人はおれの事は邪魔だったんじゃないかって今は思える

自分の子じゃないから


もうおれはいないから新婚生活を満喫できるわけで…

どんな毎日を送ったんだろう



後々聞いた話によると姉貴二人と父親でさらう計画を立ててたみたいなんだけど
先頭になって乗り気だったのは長女の方らしい

だから現場にまでついて来て…


あの人は極度のSで気が強いからねぇ…

納得できるよ…












それから長い年月が過ぎたある日

殆ど関わることが無い親戚の人から連絡があり

おばあちゃん(母親の母親)が入院してるということを聞いた





しばらくして会いに行ったんだけど…


それがまた




一悶着あってね…