今回はファンタジーが学術とかかわりが深いことを紹介しましょう。
「ティマイオス」 プラトン著
最古のファンタジーといってもいいでしょう。
プラトンといえば、ソクラテスの弟子であり、アリストテレスの師匠です。
アトランティスを扱った物語なのですが、持論である【宇宙論】の説明がなされています。
「アーサー王物語」 著者多数
十字軍の時代に流行しました。 主にキリスト教の伝道師が、語り部や作劇をすることで民衆に信仰を広げました。
なにしろ、文字は読めないし、聖書を行儀よく読むような習慣はない。
日々、農作業で疲れ果て、勉強するよりは寝ていたいという人々が多かった。
ファンタジーな展開で、民衆の心をつかむための創意工夫がみられます。
「ナルニア国物語」 C・S・ルイス 著
著者がクリスチャンです。
一平信徒としてキリスト教信仰を伝えました。
アーサー王物語と、効果は似ているといえるでしょう。
「指輪物語」 トールキン著
トールキンは言語学者です。
独自の言語を作る、というのが彼の夢でした。
しかし、言語とは文化の結晶であり、知的生物の営みが必要だったのです。
というわけで、トールキンは【ホビット】や【エルフ】を創作し、文化を作って言語を作ったのです。
異世界を作ることで、言語をシミュレートしたわけですね。
研究学術でも、シミュレートは非常に重要な要素です。
「ゲド戦記」 アーシュラ・K・ル・グイン 著
この人は心理学者です。
プラトンの哲学もまた、精神論が軸になっています。
プラトン型と呼ばれる理由の一つですね。
「エミール」 ルソー著
ファンタジーではありませんが、みなさんにかかわりに深い作品なのでしょうか。
これは教育書です。
教員免許を取る者が、大学で読むように、レポートを書くようにと、よくテーマにされます。
エミールという一人の少年が、教育を受けて大人になっていく過程を描いた作品。
教育技術のストーリー仕立てですね。
これは、フランス革命の時代にパリ市民の間で流行しました。
フランス革命のきっかけとまで言われる著書です。
学術をストーリー仕立てで紹介し、民衆に広く受けられた最大の例と言えるでしょう。
成功事例をサクセスストーリーい仕立てて紹介する技法は、現在にも通じます。
読書習慣が重要視される理由も、納得がゆくというものです。