「いつになったら北方領土に行けるんだろうね。」
「……」
「じいちゃんがさ、悲しんでいたんだよ。うちのばあちゃんは北方領土生まれで、どうしてかばあちゃんを故郷に還したいって言ってた。」
「ああ、ばあちゃん、そうか」
「うん…、でもさ、なんで行っけねーのかな?北方領土。ロシアでも日本でも、子供からしたらどっちでもいいのにさ~。あっ、行くこともできない国ってあそこくらいじゃない?」
「そんなことは…、うん、ないよ。今は北朝鮮も危険。ニュースでもやってるじゃん。かく爆弾がどうしたって。」
「ああ!確かにそうだった!」
「しかもニュースになっていないだけで、探せば日本人が歓迎されないとこは沢山ある筈だよ。」
「そうなのかー。はぁ、日本ってもっと持て成されてると思ったよ。」
「日本も日本で他国に嫌われるようなことしてるからね。」
「……。———それにしても、早くいきたいなー。」
「もし行けたら、まず最初に何所に行く?」
「そうだなー。やっぱり、まずはばあちゃんのお墓に行ってみたいかな。ついでにご先祖様のお見舞いもできるし。うーんと、確か『しこたん諸島』って言ってた」
「それはなんと先祖思いだね。昨今の世の中、若者にそういう面を持ってるやつは結構すくないからね。先祖はちゃんと供養してあげなくちゃならんよ~?」
「ハハッなんか年寄りくさい」
「そうかな?そうかもね。…おばあちゃんのとこに行くのか。うん、私のところも確かそのあたりだよ。」
「ふ~ん。じゃあ一緒に行こうよ!」
「アハハ~、それはダメかな。まず行けるかどうかの問題だよ?」
「はぁ、そうだね。一緒に行きたいな~」
「そのためにはさ、政治家になればいいんだよ。今の現状とはなにも変わらない、むしろそれを甘受しかけている大人たちじゃいつまでたっても駄目だ。お前が必死になって国家公務員になって、今の政治に改革を起こせばいいんだよ。人は改革という言葉に弱い。うまくいけば返還も夢じゃない。メディアでやってる形だけのマニイフェストを掲げるんじゃない、アメリカとも対立できる、そんな国をつくればいいんだよ。」
「難しそうだね。それはまた。」
「それぐらいしなきゃ取り返せない。」
「うーん。取り返す必要はないんだけどな。」
「まあそうだよね。行くだけだったらもっと楽かもね」
「それよりばあちゃんのことよろしくね」
「はい?」
「神社なんでしょ?君の家って」
「だからって別に幽霊と会話できる訳じゃない。そんな化け物じみたこと」
「化け物なの?」
「一般的に世間ではそういう奴らを総じてどう呼ぶの!」
「ふーん。でも君は化け物じゃないよ。人間だよ」
「当たり前だって」
「俺を誰だと思っていやがる!!」
「普通の人間だよ馬鹿。」
「え~。」
「『え~』ってどういうことだよ!」
「いや、なんか面白いことを期待してたんだけどなー」
「お前初対面になに望んでんだよ」
「あ!そういえば名前聞いてないや。自分は××××って名前なんだけど、君は?」
「うはっ、話を逸らされた。……✻✻。よろしく」
「うん。よろしくね」
「それじゃあ、もう日も暮れたし帰ろう。いつまでも黄昏てたら怒られる」
「もう行くのか。じゃあ今度はいつ会える?」
「ああ、それは。えっと…もう少ししたらこっちに引っ越してくるから、その内、早くて来週かな?」
「そっか。じゃあそれまで会えないか。…元気でね」
「私より君の方が心配だよ。大丈夫。絶対また会えるから」
「また来週」