「5」 佐藤正午 | When Poets Dreamed of Angels

When Poets Dreamed of Angels

変わらないものはない、終わらないものもない。だけど永遠につづくものがきっとある。そう信じていたい。

5/佐藤 正午
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佐藤正午の本を読み始めて何年になるだろう。
始めて読んだ本がデビュー作の「永遠の1/2 」。
そのあとも出版された本は大体読んできた。

大学生から20代前半に読んできた本は
世の中を斜めに見て、皮肉のような冗談もしくは
冗談のような皮肉を言う、そんな主人公が
出てくる本が好きだった。
村上春樹、川西蘭、引間徹等々。
もちろん佐藤正午も含まれる。
今では守備範囲が広くなってまともな主人公の
小説もちゃんと読んでる。

「5」、この本の主人公も世の中を斜めに見ていて、
誰が聴いても皮肉にしか聞こえない
冗談を言う(本人がそう思ってるだけ)。

相変わらず佐藤正午だった。

ストーリー的には今時のケータイ出会い系を
織り交ぜつつ、女性関係のトラブルと
不思議な能力のトランスファーの話。

前作の「ジャンプ」があちこちのメディアに取り上げられ
映画化もされて、やっと佐藤正午も表舞台に出てきたなと
思っていたら、いつの間にか表舞台から去っていた。

彼らしいと言えば、彼らしい。
表舞台は似合わない。
マイナーな小説家として、
地道に活動して欲しい。
新作が出たらちゃんと読むから。

それと、この小説では競輪の話が出てこなかったなぁ
そだけでも進歩したって事かな。