薄明の世界 第十七話
若い僧――ああ、見つけたよ。
そう……あれは最悪な出会いだったかな。無論、私にとってというわけではなく、彼にとってだがね。
その時、色んな事情があって仕事上の都合で彼を探さなくてはならなかった。
私もあの時は、世間様に背くような、汚い仕事ばかりしていたからね。深くは利かないで欲しい。
もう時効だろう?
いい世の中になったものだな。君たちのような若い人間が、私のような人間に笑顔を向けてくれる。
もっと、このような世の中が訪れれば良かったと思うよ。
ああ、済まないね。若い僧侶の話だったかね。
その若い僧侶は、聡明だったが暗い人間だった。元々、どんな人間だったかは知らないけれどね。
彼は高名な僧になるはずの人間だったらしい。
それが、ある女を殺めることで破戒僧という道を歩んだのだよ。
私にも大いに関係のあることだ。
何? その話を聞かせて欲しい、と。
長い、長い話になるよ。その話を聞く時間と根性が君にはあるのかね?
よかろう。
話してあげよう。
しかし、大昔の話だ。記憶は曖昧でバラバラだ。
年寄りの話だと思って気軽に聞いてくれ。
粗茶だが、飲みたまえ。