それでも同じように呼び続けた。
「でも君は何となく『しょこたん』に似た印象や雰囲気があるぜ。」
そう言われた彼女は、まるで意を決したかのような姿勢と態度で顔を向け直して次のように言い放った。
「容姿や見た目からの判断は勝手にして貰っても構わないけど、いい加減な『呼び名』をつけないで!
私の名前は『しょうこ』じゃなくて『よしこ』なんだから!!」
半ば呆れた風な表情を浮かべながら一気に言い続けた彼女だったが、あまり意味は無く
「へぇ『よしこ』ちゃんって言うんだ!!
やっと下の名前を教えてくれたね。
凄くかわいいじゃん!
それじゃあ『よしこたん』って呼ぶ事にするよ。」
売り言葉に買い言葉とでも言うような結果で何を言っても無駄に思える為か、または名前を「かわいい」と誉められて少しは気を良くしたのか、とうとう彼女も根負けしたようだ。
「ねぇ、どうして私に声をかけて来たの?」
もう一度、最初に返した言葉を投げ掛けてみる。
すると
「この娘しかいない!って感じる特別な女の子と出逢ったら、そのまま素通りは出来ない。
たとえ指輪をしていてもね。」
そう言って彼女の手を握り、その美しく綺麗に輝いている『指環』を指し示した。
「よく見てるのね」
たった一言だけ呟くように言った彼女は、手を握られた事に嫌悪感は示さなかった。